という事例をお伝えします。 輸液ポンプでの「あれっ?故障?」
この事例は旧式の針式の人工呼吸器を使用していて、強制換気が入り気道内圧が上昇していく過程、つまり気道内圧計の針が上昇していく過程で、針が上下にバイブレーションしながら上昇してました。
この時音も「デロデロ、デロデロ」といった震えるような音を発していました。
本来ならば針の上昇は「スーッ」とスムーズに上昇し音も「スーッ」とスマートな音が聞こえます。
しかし、この時ばかりはそうではありませんでした。
原因は呼吸回路の吸気側のジャバラ管の中に水が貯留していたのです。
このため、吸気時に強制換気の空気が貯留した水の水面を波立たせ、その波立った水面が吸気の空気を振動させていたのです。
なぜこの様な事が起ったのでしょうか?
それは、このケースの場合はウォータートラップの水を抜くのを忘れて、ジャバラ管の中で水が溢れてしまいオーバーフローを起こしてしまっていたのです。
このケース以外に、吸気側にウォータートラップを設けず熱線を入れてジャバラ管内が結露しないようにするシステムもありますが、熱線の温度がうまく制御されていないと結露を起こし、水の貯留を起こすことがあります。
高価ですが温度制御がきっちりできる加温加湿器がありますので結露するような事は無いと思います。
また、グラフィックモニターの付いた最近の人工呼吸器の場合、吸気側のジャバラ管に水が貯留すると、気道内圧が上昇する時に波形が振動して上昇していくことが観察できます。
水の貯留は空気を送る際の大きな抵抗となり、十分な空気を患者さんに供給できなくなりますので注意が必要です。
呼吸器を使用する上で加温加湿器の温度管理は重要な要素です。特に夏場で冷房が効いている場合の方が結露が起こりやすいです。
医療機器の動作と安全はその使用される環境にも大きく左右されることがありますので注意が必要です。