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田中嘉一プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

たまにしか使わない医療機器でも安全安心を担保するベッドサイド日常管理法

田中嘉一

田中嘉一

「ベッドサイド看護の見直しと改善」看護部長が看護業務改善の中で最も重視している課題です。
そして看護管理者として最も力を入れたいことは「教育」と言われています。
「教育」は将来的に「業務改善」にもつながっていくが、その「業務改善」にも力を入れたいと思われている事でしょう。
ところが実際は現実的に労力を割かれているのは「欠員補充」で、病院看護を取り巻く状況から現実的に対応せざるを得ない課題だと思います。

看護師さんの慢性的な人手不足は今も昔も変わらぬ問題ですが、それだけに看護師さん1人あたりに課せられる業務は多く多忙を極めております。特に女性の多い看護師さんにとって医療機器の扱いは難しそうなイメージがあり苦手意識を持っている方は多いと思います。

その筆頭は「人工呼吸器」ではないでしょうか?

人工呼吸器は長期~短期に渡り、単に呼吸器疾患の方以外でも使用される機器ですが苦手意識を持つ看護師さんは多く、特に年に数回程度しか使用しない病棟では、患者さんに装着した直後に「なにをどう看れば?」「換気モードがよくわからない」「アラームの対応策に自信がない」etcなど悩みは尽きないと思います。

私の経験した事例でこういう例が有りましたので紹介します。
病床数 約150床   臨床工学技士 不在   人工呼吸器年間使用回数 2・3回   当該病棟 内科
人工呼吸器装着日  事例発見の3日前      事例発見当日部屋持ちの看護師  経験1年目の新人
人工呼吸器の設定吸入酸素濃度 60%
状況:月例でのME機器の巡回点検中(隔週で点検)人工鼻を使用し加温加湿器を用いない方法で使用。しかし、人工鼻の取付位置を間違えていた。通常口元のYピースの先に取り付けるのを、吸気側に取り付けていたため患者からの呼気を捉える人工鼻本来の機能を働かせない状態だった。
その結果痰の吸引ができなかったのと、動脈血酸素飽和度値が80%台後半(正常は97~99%位)という通常ではあり得ない低値を示していた。
この状況を直ちに是正し強制的に高効率の加温加湿デバイスに付け替えて難を脱した。



この事例で問題なのは人工鼻を使用した方法を選んでいたことではなくて、正しい人工鼻の使用方法ではなかったことと、3日間もこの状態が放置されていたことが重大な問題であるわけで、このような事例があると責任の所存を人工鼻にして片付けられてしまう事であります。
この事例はあと3日放っておいたら患者さんは亡くなっていた可能性が高いです。原因は基礎疾患ではなく人工鼻の誤った使用方法による加湿不足から痰が吸引できなかった事による窒息死ということになります。完全な医療過誤です。
この事例は例え患者死亡となっても医療過誤として報告されない可能性が極めて高いです。
何故なら、担当看護師も、当該病棟の師長・主任などのチーフも、患者家族も、主治医も誰もこの使用方法が間違えって使われていることに気付いて(または知らない)いなかったからです。
たまたま専門家が廻ってきたから発見されたということだけで、そうでなければ見落とされていたからです。仮に患者家族がこのような事が分かる専門家だった場合問題はかなり大きくなっていたでしょうから病院側の損失は計り知れないものになっていたはずです。

私はこのような事例は氷山の一角に過ぎないと思っています。米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の発表では医療ミスによる死亡例は心疾患と癌に続いて3番目に多いというデータがあります。これは、アメリカでの話ではありますが、世界各国どこに行っても起こりえることで、世界各国で、医療ミスの実態が把握できていない問題が存在することが明らかになっているとされています。

安全安心を担保するベッドサイド日常管理法
人工呼吸器の適正使用法:対象者⇒たまにしか使わないので使用に不安があるナース
a.自信をつけるには定期的なトレーニングが必要
b.トレーニングは始業点検の実施で身につく
c.まずは専門家にレクチャーしてもらう
d.適正使用の最初のポイントたったの3つ(気道内圧の上昇確認・Drの設定・電源の取り方)
e.継続的適正使用ポイントはチェックリストの活用で時系列的に(血液ガス測定・加温加湿・リークの有無・痰吸引・設定確認・手動式蘇生バッグの設置)
これだけやればあとはアラームのみ!

安全安心な呼吸器使用でコストも抑えよう!

~ベッドサイドでの人工呼吸器セーフィティマネジメントの見直しと改善~
その不安を払拭するためにはベッドサイド看護の何を改善していけばよいでしょうか?
それは、適正使用の徹底です。
適正使用を徹底するための教育が必要であり、その効果は
安全の担保=ヒューマンエラー低減=誘発故障発生件数の低減=耐用期間の延伸=コスト削減

といった経済効果も見込まれます。

・適正使用とは
1、保守点検がきちんと正しく為されていて、機器の状態が正常かつ良好であること。
2、取説・添付文書で指示された使用法で正しく使用されている事。
3、使用上危険なファクターが存在しない事
4、使用環境が誤動作や故障を誘発しない状態であること

・適正使用を徹底させる方法
1、医療機器安全管理責任者が現場を巡回し適正使用のチェックを行う。
2、チェックしたデータをきっちり管理し、統計化すること。
3、現場使用者に適正使用方法を正しくレクチャーすること
4、正しい機器の保守点検を実施すること。
・これらが事実上できない場合(臨床工学技士不在の場合など)
1~3を専門家にコンサルしてもらう。
4を外注する
簡単な部分だけやって、あとはプロに任せる

適正使用を徹底すると、安全安心を担保し、ヒューマンエラーが原因のトラブルを低減し、ヒューマンエラー自体が減少する
・ヒューマンエラーが減るということは
1、看護業務に集中できる
2、患者さんのケアが行きとどく
3、病院の評判が上がる
4、患者数の増加
5、収益アップ
6、看護業務の負荷軽減
7、増員しなくても看護の質が上がる
8、離職率が下がる
ということです。

ME機器管理コストを22%圧縮するベッドサイドME日常安全管理術を習得しましょう。


ME機器

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田中嘉一
専門家

田中嘉一(臨床検査技師)

MEテック・ラボラトリー合同会社

医療機器保守点検・安全管理のエキスパート。300床以下の病院を対象に、「医療機器安全管理と運用」「コストダウン」「丁寧な病院内研修・指導」の3本柱で、病院の医療ミス防止の一翼を担っている。

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