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脳性まひなど〝小児障がい〟に特化した訪問鍼灸マッサージを提供

小児障がいに特化した訪問施術を行う鍼灸師

千田靖之

千田靖之 ちだやすゆき
千田靖之 ちだやすゆき

#chapter1

筋肉や関節に働きかけるマッサージと、脳に刺激を与えるはりを施術

 脳性まひやPVL(脳室周囲白質軟化症)、てんかんなど、脳に障がいのある子どもに向けたマッサージとはりを行う「La・ケイキ治療院」。
 代表の千田靖之さんは、「日本小児障がい児支援協会」の認定院として、10年以上の臨床経験と脳科学に基づいて開発された、小児障がい専用のプログラム「GLITTER式®」を採用。新宿区を拠点に、出張訪問にあたっています。

 「一度損傷した脳の細胞は元に戻りませんが、周辺の細胞が新たな神経回路をつくり、その機能を補えることが研究により分かっています。障がいにより筋緊張が高く、関節が硬い状態のままでは、骨の変形など二次的な障害にもつながります。筋肉をゆるめたり、手足を動かしたりするマッサージで体のバランスを整え、頭にはりを打ち刺激を与えることで、体と脳の土台づくりをします」

 利用者は、生後6カ月から10代半ばまで。原則、健康保険の対象となるため、担当医の同意書が必要で、訪問範囲は拠点から半径16km以内となります。
 「ご自宅に伺いますので外出の負担もありませんし、お子さんにもリラックスして受けてもらえます。当方の訪問範囲外の方には、協会を通じて対応できる認定院の紹介もできます」

 千田さんは、日常的にできるケアもレクチャーしています。
 「子どもたちはお母さんをはじめご家族に触れてもらうと喜び、〝幸せホルモン〟と呼ばれるオキシトシンの分泌が活発化します。スキンシップの効果を高めるため、足の動かし方や、お風呂上りのオイルマッサージなどの方法をお伝えしています」

#chapter2

長期にわたる付き合いで、子どもとのコミュニケーションも重視

 以前の職場では、高齢者宅を訪問していたという千田さん。ある利用者から寄せられた相談を機に、子どもに目を向けるようになりました。
 「お孫さんに生まれつき脳の障がいがあり、何とかできないかとのことでした。当時は知識がなく歯がゆい思いをしたので、改めて勉強する中でGRITTER式®のプログラムを知りました。子どもたちには、これから長い人生が続きます。〝一生寝たきりの可能性がある〟状態から、少しでもいい方向に変えるお手伝いをしたいと進路を定めました」

 初めての利用は、「実際の施術を見て判断してほしい」と、無料体験を実施。約20分の全身マッサージを行います。また、「子どもにはりは怖い」という不安には、保護者に刺される感覚を試してもらうこともあるそうです。

 千田さんは、「小児障がいに対するはりやマッサージは即効性があるものではないので、コツコツ続けることが大切」と強調します。日々成長する子どもだからこそ、一度マッサージで関節をゆるめても、身長が伸びると再び硬くなってしまうこともよくあるそう。発達に応じて繰り返し丁寧にケアを施します。

 長い付き合いの中で、千田さんが来るのを楽しみにする子どもも少なくないとか。
 「3年以上通っているある男の子は吃音があり、家族以外の人とは話そうとしなかったそうですが、訪問するうちに自分からおしゃべりしてくれるようになりました。またマッサージをすると、気持ちよさそうに笑顔を見せてくれる子もいて、心もほぐれている感じがしてうれしいですね」

千田靖之 ちだやすゆき

#chapter3

子どもの輝く未来につながる鍼灸マッサージの選択肢を知ってほしい

 千田さんが鍼灸の世界に興味を持ったのは、会社員として勤めていたときのこと。仕事中ぎっくり腰になり、鍼灸院の施術ですぐに良くなり、感激したことがきっかけだとか。

 志も新たに、技能を身に付けるため専門学校へ。高齢者を対象に訪問サービスを行う会社で鍼灸マッサージの経験を積み、2018年に独立開業。「La・ケイキ」の名前は、ハワイ語で〝太陽・子ども〟という意味です。

 「子どもたちに太陽のように光り輝いてほしいという願いを込め、好きなハワイの言葉から取りました。〝足が少し動くようになった〟〝声を出してくれた〟といったほんの少しの変化にご家族が喜んでくださったときに、『やっていて良かった』と思いますね」

 数多くの家族と接する中で、千田さんは実店舗をオープンしたいと考えるように。リハビリ室を設けて、子どもたちがマシンを使って運動療法に取り組めたり、大人には〝病気にならない体づくり〟をテーマにセミナーを開催したり、地域に開かれた拠点づくりを計画しています。

 障がいのある子どもを持つ母親の強さに触れる機会も多いという千田さん。
 「みなさん、お子さんの症状について詳しく調べておられ知識も豊富なので、私も負けないように勉強し続けなければと気が引き締まります。とはいえ、鍼灸マッサージの選択肢を知らない方もまだまだ多いです。『この子のために何かできることを』と、懸命に障がいと向き合う気持ちに、全力で応えていきたいですね」と力を込めます。

(取材年月:2023年7月)

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千田靖之

小児障がいに特化した訪問施術を行う鍼灸師

千田靖之プロ

鍼灸師

La・ケイキ治療院

脳に障がいのある子どものために開発されたプログラム「GLITTER式®」に基づく、訪問鍼灸マッサージを提供。筋肉の緊張や硬くなった関節をマッサージでゆるめ、頭部のはりで脳に刺激を与えアプローチします。

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