自毛植毛をして10年経ったらどうなる?
薄毛部位に移植するドナー株は、後頭部の生涯にわたって髪が生え続ける範囲から採取します。その範囲は意外と狭く、耳の付け根(耳たぶではない)の上側からさらに2cm上の位置より水平に伸ばした線と頭の真後ろで交わる点が基準ポイントです。そこを基点に後頭部を帯状に包み込むように約5x20cmの約100cm2(図:緑色の部分)が安全なドナー範囲になります。この範囲から逸脱すればするほど、薄毛の原因となる男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けやすい頭髪になってしまいます。
安全なドナー範囲からFUTではドナー株を総取りできますが、FUEでは薄毛が目立たない約半分の密度まで1株づつ間引きします。生涯に採取できるドナー株の総数は、頭の大きさや頭髪密度によって異なりますが、目安としてはFUTで5,000~6,000株ぐらい、FUEでは2,000~3,000株ぐらいになります。FUEで安全なドナー範囲から3,000株以上のドナー株を採取すると、安全なドナー範囲が薄毛でスカスカになってしまうので、FUEでは採取するドナー株数には注意が必要です。
FUTでは安全なドナー範囲から必要なドナー株は充分確保できるので、逸脱してドナーを採取することはありません。しかしFUEではドナー採取部の密度を下げ過ぎないように散らして採取した結果、安全なドナー範囲を越えた部分からもドナー株を採取してしまったという場合には問題です。若い頃は頭頂部に髪があるので隠れているドナー採取の傷痕も、男性型脱毛症(AGA)が進行して高度な脱毛になり、頭頂部の髪が薄くなった段階で、安全なドナー範囲を越えて採取した部分の傷痕が見えてくる可能性があります。日本人の肌の色の頭皮にFUEパンチでドナー株を採取した白い点状の傷痕が多数残ると目立ちます。
さらにドナー採取の傷痕が目立つ可能性があるだけではなく、安全なドナー範囲を越えた部分から採取したドナー株は、薄毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けやすい頭髪なので、移植した時点で問題はありませんが、年齢を重ねたときに産毛になる可能性があります。せっかく移植したのに将来残念な結果になってしまう可能性があります。
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