自毛植毛の傷痕について

林光輝

林光輝

テーマ:自毛植毛

 植毛を検討されている方にとって、植毛の効果と同じくらい気になる所として、植毛の傷痕があるかと思います。本コラムでは、頭皮の毛包炎について当院公式サイトの「自毛植毛の傷痕について」より簡単にご紹介させて頂きます。なお、クリニックによって採取方法や移植方法など細かい部分含めて違いますので、極力複数のクリニックで実際の傷痕の症例を見ながら確認される事をお勧めします。

FUT法とFUE法の特徴

 まずは、植毛の2つの大きな方法であるFUT法とFUE法について、手術方法の簡単な特徴をみてみましょう。どちらが優れているという訳ではなく、どちらにもメリットとデメリット、向き不向きがあります。詳しくは本参照元コラムの「自毛植毛の傷痕について」や「FUT植毛とFUE植毛どちらが良いのか」でもご紹介していますので、ご参照下さい。

FUT法

 FUT(Follicular Unit Transplantation)は、主に大量のドナーを必要とする植毛に向いている方法です。ドナーエリア(後頭部や側頭部)からストリップ(帯状にした頭皮の組織)を切り取り、そこから毛包単位に移植する株を切り分けてから植毛する手法で、FUSS(Follicular Unit Strip Surgery:ストリップ法)と呼ばれることもあります。

FUE法

 FUE(Follicular Unit Excision)は、眉毛、ヒゲや傷痕など、比較的少量のドナー株で充分な植毛に向いている方法です。また、頭皮が硬くて可動性が少ない方や、それ以前に施行したFUT法の縫合痕を修正したい場合にもFUE法は適した方法です。

FUT法の傷(ドナー部の傷)

移植毛採取の過程

  1. ドナー部位の切開
  2. 縫合
  3. 毛根の分離

傷の形状と治癒過程

 FUT法による傷は後頭部を水平に走る線状の傷で、縦幅は通常数ミリ(1~2mm)程度、長さは採取する皮膚の帯の長さによって異なります。手術後、傷は最初の数日間は腫れや痛みを伴い、その後数週間で徐々に回復します。傷は縫合処置されており、クリニックによっては抜糸が必要な場合があります。

傷の特徴

 後頭部の髪で隠れるため、通常は目立ちにくく、2cm~3cm以上伸ばしておくと傷を隠す事ができます。傷痕が気になる場合は、SMP(Scalp Micropigmentation)やFUEによる傷修正などが有効です。FUE法と違って、人の手で縫合を行う方法となりますので、クリニックが持つ技術力やノウハウ等によって大きく差が出てくる手術法となります。事前に必ず手術を検討しているクリニックの傷痕の症例写真を確認しておくようにしましょう。

FUE法の傷(ドナー部の傷)

移植毛採取の過程

  1. 毛根の採取
  2. 穴の閉鎖

傷の形状と治癒過程

 FUE法による傷は点状で、直径は約1.0ミリメートル程度です(小さな米粒程度)。これらの点状の傷は、採取した数と同等の数残ります(1000株なら1000個の点状の傷が残る)。小さな穴は通常、数日から1週間以内にかさぶたが形成され、自然に治癒します。

傷の特徴

 傷の一つ一つが非常に小さく、周囲の髪の毛が伸びることで目立たなくなります(1cm~2cm以上あれば隠れる場合がほとんどです)。しかし、採取株数が多くなるほど、くり抜く数が増えて、傷痕の総面積は増えていってドナー部の密度は低くなっていきますので注意が必要です。傷痕が気になる場合は、SMP(Scalp Micro Pigmentation)が有効です。

移植先の傷

ラインスリット(Line Slits)

 細長いスリット(線状の切開)を頭皮に作る方法で、傷口は線状になります。ホールスリットに比べてより自然な傷痕や高密度が期待できますが、移植毛を切れ目に早く正確に入れ込む技術が必要になります。

ホールスリット(Hole Slits)

 針やパンチを使用して頭皮に小さな穴(ホール)を開ける方法で、傷口は円状となります。個々の毛包単位を移植するためのスペースを確保するのに適しており、大きな株の移植や時間短縮に向いています。但し、ホールという特性上、ラインよりも高い密度での移植が難しいという事や、傷痕が目立ちやすくなる可能性があります。


 植毛はFUT法とFUE法のいずれの方法を行うにしても、必ず傷痕は残ります。FUT法であれば細い線状の縫合痕が1本、FUE法であれば小さな米粒大のくり抜き痕が採取した分だけ残ります(1000株採取なら1000個)。さらにドナー採取部のこれ等の傷痕は、手術を行うクリニックによって大きく差が出る部分でもありますので、FUT法及びFUE法で、希望移植数を採取した際の傷がどの程度になるのかをそのクリニックの症例写真などで事前に確認しておくことが望ましいでしょう。当院公式サイトの「自毛植毛の傷痕について」では、さらに詳しくご紹介をしていますので、興味のある方は是非ご参照ください。
 1998年より自毛植毛専門院として、国内でも数少ないFUT植毛とFUE植毛両方の実績を持つ紀尾井町クリニックでは、FUTの傷を目立ち難くするトリコフィティック縫合法を標準採用しており、傷修正にも対応、植毛の傷痕を出来る限り目立たなくするよう心掛けています。傷痕の症例も豊富にございますので、植毛を検討されていらっしゃる方は、まずはお気軽にご相談下さい。

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林光輝
専門家

林光輝(医師)

紀尾井町クリニック

医師として精神科の診療経験を持ち、25年以上にわたり自毛植毛の先駆的存在として薄毛対策に携わる。心理的なケアに配慮しつつ、熟達したチーム医療による植毛技術で違和感ない自然な仕上がりを目指す。

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