事業承継と経営者保証の解除⑩
「銀行は、晴れの日に傘を貸す?」
ドラマの『半沢直樹』にも「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」というセリフがありました。金融機関に対する批判的な気持ちが伝わってくる表現ですが、融資を受ける側から見れば、たしかにそう映るのかもしれません。
しかしながら、できるだけリスクを抑えようとする金融機関の視点は違います。会社や経営者の方を信じて融資を実行したにもかかわらず、その信頼が裏切られてしまったという見方が強いのです。
実際、私も銀行員時代には担当先の倒産を経験しましたが、最悪の事態に追い込まれる前に、なぜ相談してくれなかったのかと、自分の力不足をくやしく感じたものです。つまり、雨が降りそうな状況を早く教えてもらえれば対策が考えらえることがありますが、雨が降り出してしまうとなかなか対策の打ちようがありません。仕入れ先への支払い遅延や給与の遅配など、真に資金繰りに窮する状況におちいると雪だるま式に悪化するケースが多いのです。金融機関で同じような経験をもつ方は、そうした落胆に心当たりがあるはずです。銀行も私企業なので最終的に自衛のために撤退せざるを得なくなってしまったことを残念に感じている担当者は、少なくないと思います。
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