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建築家・造園家として住まいの内と外をトータルプロデュース

緑と住宅の調和に挑むガーデナー建築家

勝田無一

緑と住宅の調和に挑むガーデナー建築家 勝田無一さん
有限会社創設計 勝田無一さん

#chapter1

「インナーテラス住宅」や「囲いの建築」で庭のある暮らしを提案

「フレームの建築だけでなく、建物の内と外をつなぐ部分にもともと強い関心を持っていました。日本の伝統的な住宅でいえば縁側です。縁側を開け放すことで座敷と庭が一体になる造りが特徴で、内と外をつなぐ『あいまいな空間』として縁側は重宝されていました」

 そう話すのは「創設計」の代表・勝田無一 さん。建築だけでなく庭造りに対して深い造詣を持ち、建築家・造園家として建物の内と外の総合的な設計を手がけています。

 前庭や後庭、住まいの敷地を囲う塀など、エクステリアと住まいをトータルにプランニングすることで「建物の内と外を一つの住空間として楽しむことができる」と勝田さん。

 「都会の小さな土地でも、庭をあきらめる必要はありません。小さなスペースだからこそできる手法がたくさんあります」と話す勝田さんの得意技のひとつが “インナーテラス住宅”。これは大きなガラスサッシで室内テラスを囲い、家の内側に“半戸外”型のアウトドアスペースを設ける方法です。

「ガラス張りなので豊富に光を取り込み、植物を育みます。雨風が強くても布団を干すことが可能ですし、リビングから続くインナーテラスにテーブルを置いて、サブダイニングとして活用している方もいらっしゃいます。お休みの日には窓を開け、家族やご友人とバーベキューをするなどアウトドア気分も味わえます」

 狭小敷地を最大限に活用するために、“囲いの建築”という手法も。「こちらは敷地全体を、半透明の外壁や高い塀で大胆に囲い込んでしまおうという発想。人や車の往来が多い通りに面していても、外からの視線を気にせず、ゆったりとしたプライベートガーデンを作ることができます。まさに都会の中のリゾートハウスです」
 過去の施工例でいえば、1階に中庭を、2~3階には中庭を臨むテラスを設け、土地のサイズを感じさせない開放感あふれる二世帯住宅を実現させています。

#chapter2

建築の力で生活の中に自然を取り入れたい

 建築と造園は別業者に分業されるケースが多いそうですが、家と庭をひとつの空間として捉え、トータルでデザインすることが勝田さんの強みです。

「私たちの先人は田畑を耕すなど、大地とともに生きてきました。そのため、自然ととけ合う生活スタイルが、DNAに刻み込まれていると思うんです。庭で農作業をしながら縁側で休憩を取るなど内と外がつながり、物理的にも心情的にも豊かな空間づくりをしてきました。昔から“夢の庭付き一戸建て”と言われるのもそのためでしょう。しかし現代の住宅事情では、満足のいく庭を確保することは難しい。『自分にできることは何か』ということを考え、植物や造園について独学しました」

 柱と梁で構成されていた日本家屋は、部屋の仕切りは障子やふすまで、開口部が大きく家の中や外の景色を見通せる造りでした。しかし、2×4工法が採用されるようになったことで、建物は壁で覆われ、緑との調和が取りづらくなってしまったと勝田さんは指摘します。

「家と外の中間部分を楽しむ生活を、みんな忘れつつありますよね。私は、建築の力で生活の中に自然を取り戻したいと思っています。そのため、依頼主には最初の見積もり段階で、造園に必要な材料費を計上してお見せするようにしています。造園植栽の設計施工についてはサービスで行っていますので、庭をふまえた家づくりについてご相談いただければ」と勝田さん。緑とのレクリエーションを提供したい、その一心が原動力になっているようです。

ギャラリースペース「ART・IN・GALLERY」

#chapter3

自社ビルでギャラリーを運営するなど若いアーティストをサポート

 家づくりと庭造りを担うガーデナー建築家として、長きにわたり創作活動をしてきた勝田さん。事務所を構える自社ビルの1階には、ギャラリースペース「ART・IN・GALLERY」を運営しています。
「私自身、物づくりで今日までやってきた人間ですから、同じく何かをクリエイトしている若い人たちに還元したいと考えました。絵画、版画、クラフトなどさまざまなジャンルのアーティストの方が、思い思いのアイデアで活用してくれています」
人通りの多い路地に面する同ギャラリーは、前面ガラス張り。道行く人は、外からでも展示物を見ることが可能で、ここにも内と外をつなぐ勝田さんの思いが感じられます。

 また、銅製オブジェ作家の一面も持つ勝田さん。これは本業の建築において、エクステリアまわりのオブジェを自作するケースがあったことから、「いっそ本格的に」と発起。植物の器をメインに数多くの作品を手がけ、展示会に出品したり自社ギャラリーに展示したり、販売も行っています。

 建築、造園、そして銅製オブジェと、多方面で創意工夫を忘れない勝田さん。確かな技術と豊かな想像力で、依頼主の住まいの夢をサポートしてくれる建築家です。
 
(取材年月:2018年12月)

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専門家プロフィール

勝田無一

緑と住宅の調和に挑むガーデナー建築家

勝田無一プロ

一級建築士

有限会社 創設計

日本のトップガーデナーである建築家が建築のみではなく庭の設計から造園まで行います。一流の建築とガーデニングが織り成すこだわり抜いた住宅をお届けいたします。都会の中のリゾートハウスを目指しています!

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