新日本保険新聞連載 新米社労士イノキュウの現場からの本音の報告 その2(2024年7月~9月掲載分)

井上久

井上久

テーマ:不良社員・クレーマー社員対応

新日本保険新聞連載 新米社労士イノキュウの現場からの本音の報告④(2024年7月掲載分)

こんにちは「社労士・行政書士イノキュウ」の井上久です。
前回までは、私が損保ジャパンの本社お客さま相談室で遭遇した「まともな苦情」ではなく、別の目的をもって、「苦情の名を借りて、ルール違反の攻撃をしてくる輩(やから)」である「クレーマー・ヘビークレーマー」の説明をさせていただきました。

今回は、現在の私の仕事の中心であります「働き方改革推進支援センター」の話をさせていただきます。
「働き方改革推進支援センター」とは、政府が2019年にスタートさせた「働き方改革」の推進に向けて全国47都道府県設置したセンターで、その概要は、「東京働き方改革推進支援センターのチラシ」の通りですが、事業主様のさまざまなお悩みや課題の解決に、いろいろな方法でお応えする機能を有したセンターです。
現在、私は、「東京」、「神奈川」、「千葉」、の3センターで、訪問コンサルタントの仕事をさせていただいており、1日に2社から3社、センターに支援要請をいただいた事業主様を訪問(Zoomミーティングを含む)し、「悩んでいること」や「困っていること」を伺い、解決に向けたアドバイスを行っており、延べ1,000社を超える事業主様の様々な相談に接してまいりました。今回からは、この訪問の中で、いただいたご相談の中から、具体名等は出せませんが、いくつかの事例をご紹介させていただきたいと思っています。
 
事業主様からのご相談は、作り事ではない「本気・本音・本物」の相談ですので、正直、即答できるようなことはめったにありません。しかし、原則、当日、どんなに遅くとも翌日、朝一番までに返事をするようにしております。この事業主様からのご質問・ご相談は、新米社労士の私にとっては宝の山なのです。なぜなら、この「本気・本音・本物」のご相談・ご質問に対し、ひとつひとつ懸命に対応してきた結果、知らない間に、力がついていたというのが実際のところです。
今回は、私が事業主様のところに伺って一番、よく聞かれる質問、悩みごとの相談について、お伝えさせていただきます。
面談時間は平均1時間くらいですが、やはり、最初はお互い緊張しているせいか、なかなか本音の話がでてきません。ただ、苦情受付の仕事と同じで、事業主様のお話を丁寧に粘り強く聞いていますと、だいたい、15分経過したころに「実はですね、井上さん。」というフレーズが出てきます。この「実はですね」がでたらしめたもので、「実はですね」からが本当の相談だと思っています。
 そして、「実はですね」のあとに続く言葉は、ほぼ、全員と言っても過言でありませんが、「社員が採れないんです。」「すぐ、辞めちゃうんです。」「採用した社員が育たないんです。」の3フレーズです。別に私が誘導している訳ではないのですが、ほとんどの事業主様が同じことをおっしゃいます。最初はたまたま、同じことをおっしゃるのだろうと思っていましたが、いつまでたっても同じご相談が続くものですから、中小零細企業(もしかしたら、大企業も・・・)の事業主の方々は、本当に人のことで困っているのだ。と実感いたしました。
 そして、そのあと、少ししてから出てくる言葉は「井上先生、どうしたらいいのですか?」です。 私は正直で作り話はできませんので、いつも、こう答えます。「申し訳ないのですが、私は打ち出の小槌ではございませんので、このような問題に対する答えは用意しておりません。」
 ただ、それだけでは、あまりにも不親切ですので、過去に訪問した事業主様から伺った、人の採用に功を奏したいくつかの取り組み事例をご紹介させていただきますが、決定的な解決方法はありません。
 特に中小零細企業の事業主様の最大の悩みは「社員が採用できない。」「採用した社員がすぐに辞めてしまう。」「社員がなかなか育たない。」であります。


新日本保険新聞連載 新米社労士イノキュウの現場からの本音の報告⑤(2024年8月掲載分)

こんにちは「社労士・行政書士イノキュウ」の井上久です。
前回は、現在の私の仕事の中心であります「働き方改革推進支援センター」の話をさせていただき、ほとんどの事業主様が人の採用と育成に悩まれていることをお伝えさせていただきました。

今回は、その中でも、ひじょうに問題がある「不良社員」「クレーマー社員」の話をさせていただきます。
その前に、私が必ず事業主様に持参する資料のご案内をさせていただきます。
それは、①働き方のルール~労働基準法のあらまし~、②労働基準法素朴な疑問Q&A、③就業規則作成の9つのポイント、④令和6年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)、⑤働き方改革取組事例集、の5種類(表紙の画像をご確認ください)の資料です。この資料は、ひじょうにわかりやすくまとめられておりますので、私は事業主の方に「この資料を手元に置いておいていただけば、ほぼ、すべての課題に対応できます。是非、お手元に置いておいてください。」と説明の上、お渡ししております。
 この資料はネットで検索でき、プリントアウトすることができますが、私の事務所には、お客さまへ持参用の現物がございますので、現物をご希望の方は、私の事務所にお越しください。お待ちしております。

 話を戻しますが、私は1000社を超える事業主様のところに伺い、いろいろなご相談に接していりましたが、ひじょうに多くの事業主様が、「問題のある社員」の対応に悩んでおられることがわかりました。
 一昨年(2022年)の9月にコンビニエンスストアを2店舗、30年間、経営されておられる事業主様のところに伺ったときの話をさせていただきます。
最初のご相談は、「助成金の活用」についてで、その話は比較的、早く済み、その事業主様と同世代だったこともあり、雑談をしておりましたが、訪問して約15分経ったころ、その事業主様の口から、
「実はですね、井上さん」と本音の合図の「実はですね、」が飛び出したのです。
「実はですね、井上さん」「このごろの社員ときた日にゃ、ちょっと、注意すると、口ごたえするんですよ。」さらに、「この前なんか、ちょっときつく言ったら、私に向かってくるんですよ。」「一体、どうなってるんですかねえ!」
 私は、間髪入れずに、「社長、そんな社員、くびにすればいいじゃないですか!」
と申し上げたところ、「だけど、先生、うちは就業規則がないもので、同業者に相談したら、「それは就業規則がないのであれば、無理だ、くびにすれば、問題になるぞ!」と言われたのですよ。」 このようなやり取りがあり、まずは、しっかりとした就業規則を作成することにした次第です。
 さらに、その半年後に再訪問した際には、このような悩みを打ち明けられました。
「半年前に採用したアルバイトから、「有給休暇をくれ。」と言われたので、有給休暇を10日与えたら、その翌日に、「来週から、今までは5日のシフトだったけど、2日にしてもらいたい。」と言ってきた。」と言うのです。
私が、「理由は何ですか?」と伺うと「よそでも働きたいから」だというのです。
間髪入れず、半年前と同じように「社長、そんな社員、やめさせればいいじゃないですか!」と申し上げたのですが、その後、社長の口から飛び出した説明にびっくりして、返す言葉もありませんでした。社長の説明は、「井上さん、その通りなのですが、あんな奴でも、辞めさせてしまったら、その後の人間がいないのですよ。ですから、あんな奴でも我慢して使わざるを得ないのです。」
この言葉に接し、現在の人手不足の深刻さを、身をもって実感した次第です。
いろいろな媒体が方の採用について発信していますが、出したくても収支を考えると社員が満足するレベルの賃金を出せない経営者が、どれほど、苦労しているのかを身をもって実感した瞬間でした。

新日本保険新聞連載 新米社労士イノキュウの現場からの本音の報告⑥(2024年9月掲載分)

こんにちは「社労士・行政書士イノキュウ」の井上久です。
前回は、私が事業主の方から受ける相談の中で、ひじょうに問題がある「不良社員」「クレーマー社員」がいる話をさせていたました。
今回は、そのひじょうに問題がある社員対策用に2022年3月に
「不良社員・クレーマー社員完全撃退マニュアル「おまえは、くびだ。」は絶対に言ってはいけませんか?」というセミナーを開催いたしましたので、その内容ご案内申し上げます。

はじめに
おかげさまで、社労士・行政書士イノキュウも開業してから、約11カ月が経過することになりました。この間、いろいろな経営者の方のお話を伺う機会に恵まれましたが、驚いたことにひじょうに多くの経営者の方が「不良社員」「クレーマー社員」「因縁をつけてくる半ぐれ社員」の扱いに頭を悩まされていることに気がつきました。

そこで、私はこう思いました。「これは、おかしい。」「何で、一生懸命、額に汗して会社のため、お客様のため、ひいては社員のために仕事をしている経営者がこのような目にあわなければならないのか?」です。
 原因は、頭でっかちの専門家が現場を知らずに、マニュアルに書いてある内容を説明するだけで、本質的なアドバイスや助言ができていないからだと確信いたしました。
 つきましては、「本気・本音」のイノキュウが「本物」のご提案をさせていただきます。もし、「そうだ。」「その通りだ。」と思われた経営者の方、イノキュウまでご連絡ください。
いっしょに闘いましょう。

「おまえは、くびだ。」は絶対に言ってはいけませんか?
そんなことは、ありません。
「おまえは、くびだ。」はやや、乱暴な物の言い方ですが、
言っていることは、⇒「あなたを解雇します。」です。
ですから、ただちに違法となる言動ではありません。
法に違反する場合は、無効になる可能性があるということです。

「おまえは、くびだ。」は法違反ですか?
根拠となる条文は、労働基準法29条と労働契約法16条です。
(労働契約法16条のみご案内申し上げます。)
労働契約法(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

確かに乱暴な言い方は控えるべきですが、経営者が有している解雇権は立派な権利です。
権利を行使することは、何ら問題はありません。
ただ、その権利の行使が、「権利を濫用」とみなされたり、「違法」となる場合に
①無効となったり、
②法違反による罰則・罰金が科せられるというだけの話です。

申し上げたいことは、まだ、何も決まっていないのに、あれこれ心配ばかりして、自己規制ばかりしていると、相手(「不良社員」「クレーマー社員」「因縁をつけてくる半ぐれ社員」)になめられ、いいように振り回されるということです。
さらに、もっと恐ろしいことは、真面目に一生懸命に働いてくれる大切な社員から、
「な~んだ、所詮、うちの社長は何もでないのか!」と愛想を尽かされてしまうことです。

では、どうしたらいいのでしょうか?
①就業規則の懲戒規定に、経営者ご自身が「こんな行為は絶対に許せない。」という事項をしっかり入れる。
(例)
・年長者に対し、反抗的な態度を示した場合
・年長者の助言・アドバイスを聞かず、同じ過ちを繰り返した場合
②就業規則および就業規則の懲戒規定について、
入社時および契約更新時等に経営者自身が丁寧に説明する。
③もし、許しがたい行為を社員が行った場合の対応は次の通りです。
1.まずは、その瞬間、すぐに注意をする。
2.注意した内容について、記録をとっておく。
3.口頭で注意しただけにしておかないで、後になってからでもいいので、
文書(改善勧告書)を渡す。
 4.3の改善勧告書に対する改善誓約書をできる限り取得しておく。
2~4は、最悪、裁判になった際の証拠の確保です。

いかがでしょうか?
このような社員の対応に悩んでおられる経営者の方、ご遠慮なくイノキュウにご相談ください。ご相談は無料です。連絡、お待ちしております。

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井上久
専門家

井上久(社会保険労務士・行政書士)

井上久社会保険労務士・行政書士事務所

損保会社で3000件超の苦情に対応した経験から、中小企業のクレーマー・ヘビークレーマー対策をサポート。セミナーで実践に基づくノウハウを伝え、社員を守る体制づくりをアドバイス。交通事故の相談も得意です。

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