会社員のまま起業準備を始めたい人が陥る「情報収集の罠」とは? 起業支援25年のプロが明かす、リスクゼロで始める起業準備の新常識
知識は増えた。でも何も変わっていない
――新井さん、今日は「起業準備と行動」についてお話を聞かせてください。「本をたくさん読んでいるのに行動できない」という悩みをお持ちの方は多いですか?
新井:多いですよ、とても。よくある相談のひとつです。ビジネス書を1年で30冊以上読んで、セミナーにも10回以上参加した。でも起業準備として何かを始めることができていない、という方が相談に来られます。
――知識はかなりあるはずなのに、なぜ動けないのでしょうか?
新井:これは意志力の問題ではありません。インプットとアウトプットのバランスが根本から崩れているのが原因です。「よし動こう」と思うたびに、次の本を手に取ってしまう。次のセミナーを探してしまう。インプットが行動の代わりになっているのですよ。
「知っている」と「できる」はまったく別の話
――具体的に、何が違うのでしょうか?
新井:水泳に置き換えると明確です。水泳の本を10冊読んでも、実際にプールに入らなければ泳げるようにはなりません。起業準備も同じ構造です。この1年で増えたのは「知識」であって、「実体験」ではない。次のセミナーや本から何かが変わる、という感覚は残念ながら幻想ですよ。
――「準備ができたら動く」という感覚も、そこから来るのですか?
新井:まさに。インプット過多の典型症状は、「もう少し準備ができたら動く」という先送りです。知識の量で安心感を得ているのですが、それが逆に「あとひとつ学んでから」というループを作ってしまう。これ以上インプットしても、行動力は上がりません。
行動できないのではなく、行動のサイズが大きすぎる
――では、何から変えればいいのでしょう?
新井:行動のサイズを極限まで小さくすることです。「起業準備として何かを始める」という言い方が、実は行動を阻んでいます。「何かを始める」が漠然としているから、何もできない。
――具体的にはどんなレベルですか?
新井:「今日、自分のスキルを3つ紙に書く」「来週、知人に『起業を考えている』と話してみる」。こういった「今日の30分でできること」まで分解するのです。そのレベルに落とすと、「動けない」が「動いた」に変わり始めます。実際に「知人1人に話してみる」それだけで流れが変わった方が、何人もいますよ。
インプット中毒から抜け出す、1カ月の切り替えルール
――インプットを減らすのには、勇気がいりますよね。
新井:完全にやめる必要はありませんよ。まず「次のセミナーや本は、先月試したことの結果を確認してからにする」というルールを設けるだけでいい。これだけで、インプット中毒から抜け出す第一歩になります。
――具体的にどんなルールですか?
新井:今月の読書は2冊まで、残りの時間はアウトプットに使う。読んだ本から「1つだけ」行動課題を決め、今週中に試す。週末に「今週試したこと」をノートに1行書いて、実績リストを積み上げていく。1冊の本より、1回の小さな実体験のほうが何倍も価値があります。現場で積んだ経験は、知識では絶対に代替できません。
「焦り」はエネルギーがある証拠
――「このままでいいのか」という焦りを感じている方に、メッセージをお願いします。
新井:焦りを感じているなら、それは良いサインです。動きたいエネルギーがある証拠ですから。そのエネルギーを、次のセミナー探しではなく、今週の小さな行動に使ってみてください。1冊の本を読む時間で、知人に電話してみる。それだけでも全然違いますよ。
――動き出すと、学び方も変わってきますか?
新井:変わります。まず行動すると、「次に何を学べばいいか」が自然と見えてくるのですよ。現場を経験していない状態で闇雲にインプットしても、どの情報が自分に必要なのかすら判断できない。動いてから学ぶ、この順番に変えることが、起業準備を前に進める一番の近道ですね。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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