「ひとり起業=孤独」は大きな誤解。会社員のまま始める1人ビジネスの真実

新井一

新井一

テーマ:起業

「ひとり起業」のイメージ、実はほとんど間違っている

――新井さん、「ひとり起業」と聞くと、カフェでMacを開いてひとりで黙々と作業している姿を思い浮かべる人が多いと思うのですが、このイメージは正しいですか?

新井:(笑) 典型的なイメージですよね。でも、それはひとり起業の「雰囲気」であって「本質」じゃないのです。僕が会社員の起業をサポートしてきた中で気づいたのは、世間で語られているひとり起業像と現実がずいぶんズレているということ。「1人でやる」と「すべて1人で抱える」は、まったく別の話ですよ。

――どう違うのでしょうか?

新井:ひとり起業とは、従業員を雇わずに自分1人でビジネスを回すスタイルのこと。個人事業主としてスタートする人が多い。ただ、「1人でやる」は「全部自分でやる」という意味ではありません。経理はAI×クラウド会計に任せればいい。デザインは外注すればいい。自分がやるべきは「自分にしかできないこと」だけです。つまり、ひとり起業の正体は「自分の得意なことに集中する経営スタイル」ということ。これを勘違いして「全部自分でやらなきゃ」と思い込むと、起業する前から疲れてしまいます。本末転倒でしょう?

なぜ今、ひとり起業が注目されているのか

――確かに「ひとり起業」という言葉をよく聞くようになりましたよね。これはなぜでしょう?

新井:理由はシンプルで、3つの変化が同時に来たからですよ。終身雇用の崩壊、副業解禁、そしてAIやクラウドツールの進化。この3つです。以前なら事務所を借りて、スタッフを雇って、数百万円の初期投資が必要でした。でも今は、スマートフォン1台あればビジネスの種を撒ける時代になっている。

――会社員の方にとってはチャンスですね。

新井:そうです。実際、起業18に来る方の多くが「会社の将来が不安です。でも、いきなり辞めるのは怖い」とおっしゃる。それは正しい感覚ですよ。だからこそ「ひとり起業」なのです。会社員のまま、小さく始める。リスクを最小化しながら自分のビジネスを育てる。これが今の時代に合った起業のかたちだと思っています。

26年で見えた「失敗する人の共通点」

――サポートしてきた中で、失敗しやすいパターンはありますか?

新井:圧倒的に多いのが「完璧主義」ですね。理屈ばかりで、1年経っても何も始まっていない人。なぜか? 「完璧」なんて存在しないからです。次に「最初から大きくやろうとする人」。月100万円を目標にしちゃう。気持ちはわかりますが、ひとり起業は「0から1を作る」ことがまず大事。月1万円を稼ぐ経験が、月30万円への最短距離になりますよ。

――他にも共通点はありますか?

新井:「全部ひとりで抱え込む人」も多いですね。営業も経理も集客もWebサイトも全部自分でやろうとして、どれも中途半端になって体を壊す。これ、聞いていてドキッとした方もいると思いますが(笑) 気づいたなら、もう半分は解決しています。

会社員が6カ月で起業する「3つのフェーズ」

――正しいステップを踏むとはどういうことですか? 具体的に教えてください。

新井:僕が提唱しているのは「6カ月で起業する」ロードマップです。まず最初の2カ月は、自分の「才能」を棚卸しします。才能といっても難しくない。あなたが10年間やってきた仕事の中に、必ず「人から頼られること」があるはずですよ。後輩に教えること、お客さんに感謝されること。それが才能の種です。新しいスキルを学ぶ必要はない。

――3〜4カ月目はどうなりますか?

新井:次は「小さく試す」フェーズです。友人や知人に「こういうサービス、どう思う?」と聞いてみる。ここで大事なのは完璧を求めないこと。20点でいい。反応を見て修正する。この繰り返しがビジネスを育てます。そして5〜6カ月目は「修正しながら売ってみる」。テスト販売でもモニター価格でもいいので、とにかく「売る」経験をすること。このフィードバックが、あなたの人生を変えていきます。

ひとり起業に向くビジネス・向かないビジネス

――ひとり起業でおすすめのビジネスはどんなものでしょうか?

新井:会社員がひとりで始めるなら、初期投資が少なく在庫を持たないビジネスが鉄則ですね。コンサルティングがわかりやすい例で、自分の専門知識を困っている人に提供する。必要なのはパソコンと電話だけ。オンライン講座も良いですよ。自分の経験をコンテンツにまとめて繰り返し販売できますから、仕組みを作れれば寝ている間に売上が立ちます。

――逆に、ひとり起業でおすすめしないものは?

新井:ライティングやWebデザイン、動画編集などの労働力×スキル系は、AI時代には完全に下り坂ですよ。飲食店やカフェのような「場所と設備が必要なビジネス」も、最初のステップとしてはリスクが大きすぎる。ポイントは「小さく始めて、大きく育てる」こと。最初の目標は月10万円。そこから30万円を目指す。いきなり月100万円ではありません。

「孤独に起業する」は思い込みだった

――ひとり起業の「孤独感」が心配という方も多いと思います。この不安はどう解消すればいいのでしょう?

新井:不安を感じるのは正常なことです。「お金が稼げなかったらどうしよう」「失敗したら恥ずかしい」「家族に迷惑をかけたら……」そう思うのは、あなたが真剣だから。ただ、その不安の正体は「未知への恐怖」。つまり、やったことがないから怖いだけですよ。解消する方法のひとつが、会社員のまま小さく始めること。給料という安全ネットがある状態なら、失敗しても生活は壊れない。

――もうひとつの方法は?

新井:仲間を持つことですね。「ひとり起業」は「孤独に起業する」ことじゃない。同じ志を持つ人とつながることで、不安は驚くほど小さくなりますよ。僕がフォーラムを運営しているのもそういう理由です。あなたが何年もかけて積み上げてきた経験は、他の誰かにとってお金を払ってでも手に入れたい「価値」。まずそれに気づいて、会社員のまま、小さく始めてみてください。

――「会社を辞めなくていい、孤独じゃない」。それがひとり起業の本当の姿なのですね。今日はとても参考になりました。ありがとうございました!

新井:こちらこそ、ありがとうございました。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、25年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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