起業アイデアを思いついたらとるべきリサーチ、商品化のアクションプラン
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
なぜ99%の会社員は「起業したい」で止まってしまうのか?
――新井さん、今日は「会社員のまま起業準備する方法」について伺いたいのですが。起業に興味がある会社員って、実際にはどれくらい動き出せているのでしょうか?
新井:正直に言うと、ほぼ動けていません。私のところには毎月何百件もの相談が来ますが、相談した後に実際に動き出す人は全体の1%くらいです。残りの99%はどうなるかというと、「もう少し準備してから」「今は忙しいので来月から」と言いながら、気づいたら2年、3年と経っている。これは本人の意志が弱いのではなく、「動き方を知らない」だけなのです。会社員って、言われたことをきちんとこなす訓練はしてきたけれど、自分でゼロから始める訓練はしていない。だから止まるのは当然なのです。
――それは耳が痛い話ですね。では、具体的にどんなところで止まってしまうのですか?
新井:大きく3つの壁があります。1つ目は「お金の不安」。起業にはお金がかかると思い込んでいる人が多いのですが、実はひとり起業なら初期費用はほぼゼロから始められます。2つ目は「アイデアがない」。これもよく聞きますが、アイデアは机の上で考えても出ません。目の前の人の悩みに耳を傾ければ、いくらでも見つかります。3つ目は「相談できる人がいない」。会社の同僚に「起業したい」なんて言えませんよね。このように相談先がないから、不安が増幅して動けなくなるのです。
「両立できない」は思い込み? 具体的な準備ステップとは
――会社員の仕事をしながら起業準備って、現実的に両立できるものなのですか?
新井:できます。というか、会社員のまま始めるからこそうまくいくのです。いきなり辞めて起業するのは、泳ぎ方を知らないのにプールに飛び込むようなもの。まず水に足をつけるところから始めればいい。具体的には、最初の3カ月はスキルの棚卸しと市場調査に使います。この時期は収入ゼロでも全く問題ありません。そして4カ月目から6カ月目で小さな案件を受けて、月5万〜10万円くらいを目指す。この流れなら、平日の夜2時間と週末を使えば十分回せます。60000人以上を見てきて、このステップが一番再現性が高いのです。
――月5万円からでいいというのは、ちょっと安心しますね。
新井:そうでしょう? みんな最初から「月50万円」とか「年商1000万円」とか目指すから動けなくなる。「まず5万円」でいいのです。なぜかと言うと、最初の5万円を自分の力で稼いだ経験は、その後の100万円より価値があるからです。「自分でも稼げた」という実感が、次の行動を生む最大のエンジンになるのです。
完璧主義が最大の敵。「20%で動く」の意味
――起業準備で失敗する人に共通するパターンはありますか?
新井:ズバリ、完璧主義ですね。名刺を作るのに1カ月かけたり、ホームページのデザインにこだわりすぎて半年経ったり。気持ちはわかりますよ。会社員として「ミスなく仕事する」ことを叩き込まれてきたわけですから。でも起業は違います。20%できたら動く。これが鉄則なのです。なぜなら、起業は市場に出してみないと正解がわからないから。完璧に準備してから出すより、不完全でもお客さんの反応を見ながら修正する方が、結果的に早く成功に近づく。私自身も27年前に始めた最初のサービスは、今思い出すと恥ずかしいくらい雑でしたよ(笑)。
「やりたいこと」ではなく「求められていること」をやる
――「好きなことで起業しよう」とよく言われますが、新井さんはどうお考えですか?
新井:「好きなこと」だけで起業するのは危険です。正確に言うと、好きなことの中に「求められていること」を見つけるのが正解ですね。よくあるのが、趣味のハンドメイドで起業したいという相談。でも「自分が作りたいもの」と「お客さんが欲しいもの」がズレていたら、それはビジネスではなく趣味のままなのです。私がいつも勧めるのは、「やりたいこと」と「求められていること」の重なる部分を探すことです。例えば料理が好きなら、料理教室より「忙しい会社員のための15分作り置きレシピ」の方がニーズは圧倒的に高い。このズラし方がビジネスのセンスなのです。
仕組み化しないと、いつまでも「忙しい自営業者」のまま
――起業した後もずっと忙しいイメージがあるのですが……
新井:それは仕組み化ができていない状態ですね。自分が動かないと1円も入らないビジネスは、起業ではなくて「自営業の労働者」です。仕組み化のポイントは3つ。機械化・自動化できるものはツールに任せる。人に頼めるものは外注する。そして、自分がやるべきことは楽しむ。この3つを意識するだけで、1日の作業時間は半分以下になります。会社員時代に8時間働いていた人が、起業して1日12時間働くのでは本末転倒ですからね。
まず「30分後にできること」を1つ決める
――最後に、今日この記事を読んでいる会社員の方に、最初の一歩を教えてください。
新井:これを読み終わったら、30分以内に1つだけ行動してください。スマホのメモに「自分ができること」を10個書く。それだけでいいのです。完璧なリストじゃなくて、思いつくままでいい。大事なのは「考えた」ではなく「手を動かした」という事実です。起業18フォーラムでは、60000人以上の会社員がこの最初の一歩から始めています。「いつかやろう」を「今日やった」に変える。それが99%から抜け出す唯一の方法なのです。
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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