中小企業倒産32ヵ月連続増加の裏に隠された「3つの機会」とは?
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
「起業家」って、特別な人のことだと思っていませんか?
――新井さん、本日はよろしくお願いします。早速ですが、「起業家」というと、ホリエモンさんや前澤さんのような、ちょっと普通じゃない人たちのイメージがあって。会社員には縁遠い存在、みたいに思っている方が多い気がするのですが。
新井:よろしくお願いします。いや、まさにそこが一番の誤解なんですよね。起業家って、何か特殊な才能を持った一部の人間のことではなくて、「自分で事業を興して、そこから収入を得ようと決めた人」のことなんです。決めた人、なんです。才能じゃない。
――決めた人。シンプルですね。
新井:シンプルなんですよ。ただ、シンプルだから簡単かというと、そこが落とし穴で。会社員時代に「起業家マインド」を鍛えていない人が、いきなり会社を辞めたら、90%は失敗します。
――90%というのは、かなり厳しい数字ですね。
新井:延べ60,000人の会社員を見てきた実感値です。統計じゃないですけど、肌感覚としてそれくらいは失敗している。なぜかというと、会社員と起業家では、頭の使い方が全然違うからです。
会社員と起業家、頭の使い方はここが違う
――頭の使い方が違う、というのは?
新井:会社では「指示を待つ」「失敗を避ける」「協調性を重視する」のが当たり前じゃないですか。これって別に悪いことじゃないんですよ。組織を動かすには必要なことです。でも起業家は、「自分で決める」「失敗から学ぶ」「結果を出すことがすべて」という世界で動いている。
――真逆ですね。
新井:真逆です。で、簡潔に言うなら、会社員と起業家の決定的な違いは「意思決定の主体が誰か」なんです。
――もう少し詳しく教えていただけますか?
新井:会社員は、上司の指示を受けて動きます。決断は基本的に会社がしてくれる。だから、個人責任の重みが軽い。対して起業家は、全部自分で決めます。そして、その決定の全責任を負う。ここが、ものすごく重い。
――責任の重さが、全然違うと。
新井:そう。でも、その「重さ」が人を成長させるんですよ。会社では5年かけて身につく力が、起業したら3カ月で身につく。そんな感覚があります。判断ミスは直接、お金と時間という「返ってこない資産」に変わりますから。
起業家に必要な3つのチカラとは?
――それで、起業家に必要な力というのは、具体的にどんなものがあるのでしょうか?
新井:大きく3つあると思っています。
1つ目は「決めたことをやり抜く力」
新井:起業家は覚悟を持って決断を繰り返すわけですが、もっと大変なのは、つまらないことを継続することなんです。退屈だけど、逃げずに続けられるか。ここが本当の分かれ目です。
――つまらないことを続けるって、地味ですね(笑)。
新井:地味なんですよ(笑)。でも、そこなんです。成功している人って、泥臭い作業を続けた人なんです。キラキラした起業ストーリーの裏には、地味な繰り返しがある。
2つ目は「お金の流れを読む力」
新井:会社員って、給料の仕組みを深く考えないですよね。毎月、銀行に振り込まれるから。でも起業家はお金がどこに消えているか、毎日チェックします。たとえば、営業で100万円の売上が出た。経費が50万円かかった。実質50万円の利益で、税金で15万円持ってかれる。残り35万円。そこから来月の家賃や人件費を——という具合です。
――リアルですね(笑)
新井:リアルでしょう? この「お金の流れ」を日々グリップできる人が、起業で生き残ります。逆に、ここを感覚的にやっている人は、売上は上がっているのに手元にお金が残らない、という状況に陥りやすい。
3つ目は「顧客の気持ちを読むチカラ」
新井:会社員は、会社組織に守られているから、顧客からのクレームを直接受けることが少ないですよね。でも起業したら、すべて自分に突き刺さってきます。「顧客が本当は何を求めているのか」を、言葉の裏から読み取る力が求められます。
――顧客の言葉の裏、というのはどういうことですか?
新井:たとえば、「もっと安くしてほしい」という言葉は、表面上は価格の問題に見えますよね。でも、本当は「この価格に見合う価値があるかどうか、まだ信じられていない」ということだったりする。そこを読み違えて値下げだけしても、根本解決にならない。
――なるほど。本質的な悩みを読む力ですね。
新井:そうです。これは、会社員のうちから鍛えられる力でもあります。社内のコミュニケーションでも同じことができますから。
会社員のまま起業家マインドを鍛えることが、成功への近道
――新井さんが「いきなり会社を辞めるな」とおっしゃる理由が、よくわかってきました。
新井:そうです。よく「起業したいなら、退路を断って覚悟を決めろ」みたいなことを言う人がいますけど、私はその逆の立場で。会社員として給与という安定がありながら、起業家マインドを鍛える。それが絶好の機会だと思っています。
――会社員でいる間に、頭の使い方を変えていく、ということですね。
新井:まさに。よく「起業って、やっぱり若い方がいいですか?」と聞かれるんですが、私は30代〜40代が有利だと思っています。なぜなら、人間関係・信用・業界知識がすでに蓄積されているから。これらは、そのまま起業の資産になります。
――では、特別な資格や学歴も必要ないですか?
新井:要りません。必要なのは、決めることと、やること。それだけです。明日から、誰でも起業家になれます。ただ、続けられるかどうかは別の話ですけど(笑)
――最後に、起業を考えている会社員の方へ、メッセージをいただけますか?
新井:起業家になれる人となれない人の違いは、運はもちろんありますけど、突き詰めると「小さなことを積み重ねられるか」という、本当につまらない話なんです。かっこいい話じゃない。地味な積み重ねができるかどうか。まずは会社員のまま、小さく始めてみてください。失うものが少ないうちに、頭の使い方を変えていく。それが、起業で生き残るための一番の近道だと思っています。
――ありがとうございました。
新井:ありがとうございました。
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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