フリーランス1300万人時代の盲点! 「働けば働くほど疲れる」起業家が知るべき仕組み化の本質
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
倒産5,000件時代でも、成長分野は確実に存在する
――新井さん、2025年度上半期の企業倒産が5,146件と、12年ぶりに5,000件台に達したというニュースが話題になっていますね。中小企業を中心に厳しい状況が続いているようですが、こうした時代に会社員が起業を考えるのは無謀なのでしょうか?
新井:いえ、むしろ逆だと私は考えています。確かに倒産件数は増えていますが、それは従来型のビジネスモデルが通用しなくなっているということです。サービス業、小売業、建設業といった伝統的な分野で倒産が目立つ一方で、急成長している分野も明確に存在します。大事なのは、どの分野が伸びているのかを見極めることなのです。
――なるほど。つまり、選ぶ分野を間違えなければチャンスはあると?
新井:その通りです。人手不足倒産が2025年上半期に202件と過去最多を記録したという事実も、見方を変えれば省人化・効率化ソリューションへの強いニーズがあるということです。インバウンドは10月だけで389万人と過去最高を更新していますし、年間では政府目標を大きく上回る見込みです。倒産が増えている時代だからこそ、成長分野に注目すべきなのです。
生成AI関連ビジネスはチャンス?
――具体的に、どんな分野が注目なのでしょうか?
新井:まず第一に挙げたいのが生成AI関連ビジネスはダメです。
――え? チャンスなのでは?
新井:それが大きな誤解なのです。確かにAI市場はすさまじく発展しますが、個人で追うには成長スピードが速すぎ、変化が激しすぎます。AI開発は無理でもAIを活用したサービス提供ならできそうな気もしてしまうのですが、実はめちゃくちゃ危険です。来月には開発した機能が標準化されてしまいますから。我々が手を出すのはまだ危ないのです。
インバウンド×省人化が生む新たなビジネスチャンス
――では注目分野は何でしょうか?
新井:インバウンド関連の省人化ビジネスですね。訪日外国人が増え続ける一方で、人手不足が深刻化しています。この矛盾を解決するのが、省人化ソリューションですが、その導入支援をすることです。システムを売るのではなく。
――観光庁も支援しているそうですね。
新井:そうです。「デジタルノマド誘客支援事業」や「人材不足対策事業」で最大500万円の補助金を提供しています。
――具体的には、どんなビジネスが考えられますか?
新井:システムやAIに弱い人はまだまだ多いですから。例えば、地方の旅館やホテルにAI多言語対応システムを導入する伴走支援コンサルとかですね。AI以外でも、外国人観光客向けの体験型コンテンツの提供、富裕層向けのプレミアム体験(伝統工芸など)サービスなどは大チャンスありです。
――会社員経験も活かせるかもしれませんね。
新井:まさにそうです。例えば、営業経験があれば宿泊施設への提案ができますし、IT系の仕事をしていればシステム導入コンサルができます。会社での経験を横展開するだけで、十分に価値を提供できるのです。
会社員が今すぐ始めるべき「小さな一歩」とは?
――でも、会社員が実際にビジネスを始めるには、何から手をつければいいのでしょうか?
新井:まずは自分の会社での経験と、これら成長分野との接点を見つけることです。営業経験があるなら、AI導入支援の営業代行から始められます。IT部門なら、インバウンド向けシステム導入支援が可能です。
――失敗しないための注意点はありますか?
新井:大きく3つあります。
- 1つ目は、自分の専門性を明確にすること。「AIなら何でもできます」ではなく、「町工場の品質管理AIに特化した導入支援をしています」というように絞り込むことです。
- 2つ目は、補助金や支援制度を積極的に提案すること。観光庁の補助金のように、国や自治体が成長分野を後押ししているケースが多いので、お客様に提案できるようにすることです。
- 3つ目は、会社での立場を活かすこと。例えば、自社にAI導入を提案して実績を作り、その経験を他社への横展開に活かすといった方法です。会社員という立場は、実は起業準備に最適な環境です。
――倒産が増えている時代だからこそ、新しいビジネスチャンスがあるということですね。
新井:まさにその通りです。古いビジネスモデルが淘汰される時代は、新しいビジネスモデルが台頭する時代でもあります。会社員の皆さんには、リスクを最小限に抑えながら、成長分野で小さく始めることをお勧めします。会社での経験を活かして、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
――貴重なお話、ありがとうございました!
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1,000人を超える。
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