起業時のサービス展開は絞るべき? 多角化すべき? 新井一が語る「失敗しない商品ラインナップの鉄則」
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
「3人に1人が貧困」時代に、会社員だからこそできること
――新井さん、2026年から日本の貧困がさらに加速すると言われていますが、本当にそんな時代が来るのでしょうか?
新井:残念ながら、その可能性は極めて高いと思います。賃金は長期にわたって横ばいで推移していますし、可処分所得は減少し続けている。中間層が崩壊して、これまで普通に生活していた層が一気に貧困層に流れ込んでいく… そんな未来が現実味を帯びてきています。
――特に、どの世代が深刻なのですか?
新井:特に深刻なのは、60代以降のシニア世代ですね。年金だけでは生活できない、医療費は上がる、働こうにも雇用のドアは狭い。でも、今日お話ししたいのは、絶望的な話ではなく、会社員のあなたにこそ、今がチャンスだという話です。
2026年から何が起きるのか? 3つの構造変化
①雇用の崩壊が加速する
――具体的に、何が起きているのでしょうか?
新井:まず、雇用の崩壊です。大企業は黒字リストラにまい進している。退職金を倍増させ、3年分のお給料を払ってでも、ホワイトカラーの中高年には出ていってもらいたい。終身雇用は完全に崩壊しています。
――AIと自動化の影響も大きいですよね?
新井:そうでしょうね。製造業や物流だけではなく、かつて安定していた専門職や資格職がAIで置き換えられる時代が来ている。これは避けられない現実です。
②福祉の削減が始まる
新井:2026年以降、財政難を背景に生活保護や医療保険が大幅に制限される見通しが高い。「健康な高齢者は働ける」と判断され、制度から除外されるケースも増えるでしょう。医療費や介護費の自己負担率も引き上げられ、年金の実質的な目減りも重なって、生活防衛の手段がほとんど残されなくなります。
③経験のないレベルの物価高
――物価高も深刻ですよね。
新井:食品を中心に、体感では物価高は猛烈に進行中です。円安も重なり、インフレは今後さらに加速するとみる方が妥当でしょう。利上げすると景気悪化のリスク、対策が手遅れになればインフレ激化。舵取りが難しく、心配な情勢になっています。
定年後に直面する「3つの大問題」
――定年後の生活は、具体的にどんな問題に直面するのでしょうか?
新井:大きく3つあります。
- 年金だけでは生活できない
- 医療費の増大
- 住宅ローン問題
①年金だけでは生活できない現実
新井:実質的に受給額が減少する可能性が極めて高い。厚生年金も国民年金も、期待していたよりも少ない額しかもらえません。背景にあるのは、言うまでもなく少子高齢化です。「年金さえあれば老後は安心」なんていうのは、もうおじいちゃん、おばあちゃんの時代の話。年金だけで生活を維持することは、そもそも不可能です。
②医療費の増大が家計を圧迫
――医療費の負担も重くなるのですね。
新井:薬代、診療費、入院費用、リハビリ費用… 改革もある程度進むでしょうが、増加していくでしょうね。これまで公的保険が幅広くカバーしていた部分も、財政難を背景に自己負担率が引き上げられ、対象サービスの縮小が進んでいくと思われます。
③住宅ローン問題が追い打ちをかける
新井:金利が上昇すれば返済額が膨らみ、可処分所得は圧迫される。加えて東京の一部地域以外で住宅価格が下落。資産価値が減少してローンの残債が資産評価を上回る「逆ザヤ状態」に陥るケースも出てくるでしょう。老朽化した住宅の修繕費や維持管理費は年々高騰。定年後なお、住宅ローンを抱えて持ち家を維持できない層は、賃貸や公営住宅で暮らすことになります。
会社員だからこそ、「小さく起業」が最強の選択肢
――ここまで聞くと、本当に不安になってきます… でも、新井さんは「会社員にチャンスがある」とおっしゃいましたよね?
新井:そうです。ここで考えてほしいのが、「自分で事業を作る」という選択肢です。
――でも、いきなり起業するのは怖いです…
新井:もちろん、いきなり「じゃあ明日から起業しよう」とはいきません。大事なのは、40代、50代のうちから小さく準備を始めることです。
――具体的に、どう準備すればいいのでしょうか?
新井:今の時代、リモートワークも当たり前になって、働き方は多様化している。AIのスキルも簡単に習得できる。だったら、怯えていないで、自分で小さく事業を始めればいい。会社員のまま、週末や夜の時間を使って、少しずつ自分の事業を育てていくのです。
新井:家族がいる。住宅ローンがある。物価高でさらに生活費がかかる。もう、動くしかないのです。給料が上がるのを待っていても、積み立て投資を始めても、40代、50代なら、もう手遅れと言わざるを得ません。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
新井:2026年、「お金がない」「不安だ」と嘆くのではなく、「まだまだやりたいことがある」「これから事業を大きくしていく」と言える人生を選んでください! 今日から、小さな一歩を踏み出してください。
――ありがとうございました!
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。
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