女性起業2025年版|40~50代で注目の成功ジャンル3選と挫折しない実践ステップを起業18フォーラム代表・新井一氏が解説
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
――新井さん、今日は「社員を雇わない起業」というテーマでお話を伺いたいと思います。起業が軌道に乗ってくると、多くの経営者が「そろそろ社員を雇った方がいいのかな?」と考えると思うんですが、新井さんはむしろ慎重になるべきだと?
新井:そうなんです。25年以上この世界を見てきましたけれど、社員を雇わなくても年商数億円は達成できるんですよ。むしろ、安易に社員を雇うと経営が一気に不安定になる可能性すらある。
――それは意外です! 世間では「事業拡大には人材採用が必須」というイメージが強いですよね?
新井:ええ、でも実際には業務委託を上手に使えば、年商数億円規模は十分可能です。私の周りにもゴロゴロいますよ、外部パートナーを活用しながら驚くような売上を達成している起業家たち。
「社員ゼロ」でどこまで稼げるのか?
――具体的には、どれくらいの規模まで1人でいけるんでしょうか?
新井:実際の目安はこんな感じです。年商2000万円なら完全に1人でいけます。年商5000万円は家族や親戚を巻き込めば何とかなる。年商1億円も外部スタッフの協力で達成可能なんです。
――思っているより、社員って必要ないんですね...。
新井:そうなんですよ。ただ誤解しないでほしいんですが、社員雇用自体を否定しているわけじゃありません。人材育成に情熱がある人、チーム作りにやりがいを感じる人は、どんどん雇うべきです。
――でも?
新井:でもね、経営者の最大の悩みって、結局「人の問題」なんです。これ、私が25年間見てきた現実なんですよ。
社員を雇わない5つのメリット
1. 人材獲得競争に巻き込まれない
――確かに、最近はどの業界も人手不足だと聞きます。
新井:世間は「人手不足だ!」って騒いでますけど、社員を雇わなければ関係ない話です。求人広告を出す手間も、面接に費やす時間も、採用活動にかかるコストも...全部ゼロですから。
2. 人材育成の負担がない
――仮に良い人材を採用できたとしても、育成が大変だと?
新井:ええ、最近の若手って、ちょっとした残業でも手当を強く要求するケースが多いんですよ。権利意識が強いというか...。
――価値観の違いがあると?
新井:本来は「まず貢献してから対価を得る」はずなのに、「対価が先、貢献は後」という考え方の人が増えてる。こういう価値観のギャップがある人材を育てるって、想像以上に大変なんです。
3. 経営判断が自由にできる
――社員がいると、従業員の目を気にしなきゃいけないですもんね。
新井:そうなんです。「繁忙期なのに社長は海外出張か」とか「会社の資金で接待して、従業員の待遇は後回しか」みたいな不満や批判って、組織がある限り避けられない。でも1人経営なら、誰の目も気にせず、ビジネスに必要な投資や行動を自由に選択できます。
4. 財務体質が強固になる
――人件費の負担は大きいですよね?
新井:社員雇用で発生する固定的な人件費は、経営を圧迫する最大の要因です。給与って、売上の多寡に関わらず毎月必ず支払わなきゃいけない。特に中小企業は収益の変動が大きいから、売上が低迷する月でも人件費負担は変わらず...これが資金繰り問題を引き起こすんです。
――給与だけじゃないコストもありますよね?
新井:ええ、法定福利費が給与の約15%、デスクやPCなどの設備投資、増床に伴う賃料上昇、給与計算システムや担当者の人件費...。給与以外にも、関連する様々なコストがドカドカ発生するんですよ。
5. 税務面でも有利
――税務面でのメリットもあるんですか?
新井:給与には消費税が課税されないけど、業務委託費には消費税が含まれる。一見不利に思えますよね? でも実際には、仕入税額控除により消費税の納税負担を軽減できるという税務上のメリットがあるんです。
固定費と変動費の決定的な違い
――ここ、重要なポイントですよね?
新井:めちゃくちゃ重要です。正社員の人件費は固定費なんです。業績の好不調に関わらず、毎月決まった金額を支払う義務がある。一方、業務委託費は変動費。必要な業務量に応じて支払額を調整できる。
――売上が減った時に対応しやすいと?
新井:ええ、売上が減少した時期には委託量を減らせば、人件費をコントロールできる。極論を言えば、すべてのコストを変動費化できれば、会社は倒産しようがありません。
――そういう考え方があるんですね!
新井:企業の赤字って、固定費によって生まれるんです。固定費がある限り赤字リスクは常に存在する。だからこそ、倒産しない強い会社を作るには、できる限りコストを変動費化することが重要なんですよ。
業務委託で何ができるのか?
――実際、どんな業務を外部委託できるんでしょうか?
新井:驚くほど幅広い業務を外部委託できますよ。
- 動画コンテンツ制作:撮影、編集、チャンネル管理など
- セミナー・講座運営:ファシリテーションや事務局機能
- SNSマーケティング:各プラットフォームでの発信サポート
- コンテンツライティング:記事作成や書籍の共同執筆
- スケジュール管理:秘書業務的なサポート
- 資料作成:プレゼン資料の制作代行
新井:私自身も、そして私の周りの成功している起業家たちも、業務委託を積極的に活用してますよ。
業務委託のデメリットも知っておく
――もちろん、デメリットもありますよね?
新井:ええ、最も大きな違いは、「正社員なら急な予定変更や臨時の業務にも対応してもらいやすいが、業務委託では契約範囲外の依頼がしにくい」という点です。
――確かに、柔軟性という面では正社員の方が...。
新井:でもね、業務委託には労働時間という概念がないため、早朝や深夜の対応が必要な場面では逆に融通が利くんです。経営者の仕事って、夕方以降の商談や会食が多いじゃないですか。そう考えると、時間的制約の少ない外部スタッフの方が、かえって都合が良いケースも少なくないんですよ。
「1人起業」という選択肢
――改めて、新井さんが「1人起業」を推奨する理由をまとめていただけますか?
新井:ええ、まず採用や人材育成の負担から解放されます。固定費を抑えて倒産リスクを最小化できる。経営判断の自由度が大幅に高まる。業務委託を戦略的に活用すれば、大規模なビジネスも1人で運営可能。税務面でも有利な側面がある...といったところですね。
――社員雇用が悪いわけじゃないけれど?
新井:ええ、繰り返しますが、社員雇用自体が悪いわけじゃありません。人材育成や雇用創出に情熱を持つ方は、ぜひ積極的に採用していくべきです。でも、多くの経営者が人材関連の課題に苦しんでいる現実を見ると、業務委託を中心とした経営スタイルは非常に有効な選択肢だと言えます。
――まずは外部パートナーを賢く活用しながら、ということですね。
新井:ええ、倒産しない強固な経営基盤を築く。これが「潰れない起業」の本質ですね。
――今日は貴重なお話をありがとうございました!
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。
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