「起業したいけどやりたいことがない」はむしろチャンス! 起業18代表が明かす会社員のための逆転発想術

新井一

新井一

テーマ:起業

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

やりたいことが見つからないのは、あなたのせいじゃない

「やりたいこと」が明確な人なんて少数派

――新井さん、今日はよろしくお願いいたします。起業したいと思っているのに「やりたいことが見つからない」と悩んでいる会社員の方が本当に多いんです。こうした悩みについて、新井さんはどのようにお考えですか?

新井:こちらこそ、よろしくお願いします。実はですね、これ、むしろチャンスなのです。やりたいことが最初から明確な人なんて少数派ですよ。

――え、そうなのですか? 世間では「好きなことを仕事に」とか「情熱を持って」とよく言われますよね?

新井:言われますね(笑)。申し訳ないのですが、僕も言ってます、正直。なぜなら、それが教科書だから、理想だからです。でも現実は違うのです。

――現実は違う...?

新井:やりたいことがない方が普通なのです。むしろ、こだわりがないということは何でも試せるということじゃないですか。言語化できていない人もいるし、本当に何もない人もいる。でも、どっちでもいいのです。

――なるほど。焦る必要はないということですね。

新井:まったくないです。皆さんのせいじゃありません。それが普通なので。ただですね、ここで大事なのは行動を起こすことなのです。

既存の起業準備論は会社員に合っていない

会社員にはゆとりがない

――新井さんは「既存の起業準備論は間違っている」とおっしゃっていますが、具体的にどういうことでしょうか?

新井:今、僕みたいな仕事をしている人はたくさんいます。でも、どこに行っても会社員には合っていないのですよ。なぜなら、会社員ってそんなにゆとりがないからです。

――確かに、時間もお金も精神的余裕も限られていますよね。

新井:そうなのです。お金だってそんなたっぷりあるわけじゃない。時間もない。あったとしても、わざわざ会社が終わってからもう1仕事するような精神的な余裕もないのです。

――従来の起業支援は、どのようなアプローチなのでしょうか?

新井:「やりたいことを見つけてください」「自分らしさって何ですか」とか言うわけです。できるわけないじゃないですか、そんなこと。たまたまできる人はいるかもしれないけど、みんながそうやってできるわけじゃないのです。

――なるほど。それは会社員向けではないということですね。

新井:効率的な方法じゃないと続けられないのです、会社員は。ここにポイントがあります。

「情熱」「夢」は後からついてくる

――新井さんのアプローチは、従来の起業論とどう違うのでしょうか?

新井:僕は「求められていることから始めてください」と伝えています。つまり、需要がもうはっきり確認されていることという意味です。

――でも「求められていることなんてないです」という声も聞こえてきそうですが...?

新井:それがですね、あなたに求められていることじゃなくて、世間が求めていることなのです。

――なるほど! それは大きな違いですね。

新井:例えば、資料を上手に作ってくれ、プレゼンの上手なやり方を教えてくれ、便利なこういう道具を売ってくれとか、世間で売れているものってあるじゃないですか。その中から自分ができるものを選ぶのです。

――それは...就職と同じですね?

新井:まさにそうです! 就職したらその会社の商品を売るじゃないですか。売れているじゃないですか、すでに。自分で0からクリエイトするのは起業家にとって理想の働き方ですけど、最初からは難しい。不可能じゃないけどね。

――まずは売れているものに乗っかって売ると。

新井:そうです。で、慣れてきて考え方も人脈も能力も上がってきたところで0→1をスタートする。こういう方がよっぽど楽なのです。

会社員のまま半年で起業する具体的プロセス

①基礎学習フェーズ:体系的に学ぶ

――それでは、具体的にどのように進めていけば良いのでしょうか?

新井:うちは半年を目処にビジネスの立ち上げまで持っていくのですが、まず基礎学習フェーズがあります。基礎知識を体系的に学ぶことが大事なのです。

――「体系的」というのがポイントなのですね?

新井:そうです。バラバラに知識を得るのではなく、きちんと基礎を固める。そうすると、今後バラバラな情報が入ってきてもきちんと本棚に整理できるようになります。

――情報の取捨選択ができるようになると。

新井:これは今の私にいらない、これは後だな、これはもう終わってるな...主体的な選択ができるようになるのです。なので、体系的に学ぶことはめちゃくちゃ重要です。

②事例のインプット:需要の確認

――次はどのようなステップでしょうか?

新井:事例のインプットです。世の中にどういう需要があるのか。これは先ほど言った、もう確立されている需要ですね。

――具体的には?

新井:仕事術であったり、恋愛術であったり、衣食住に関連するものであったり。うちの場合はそれが全部リストアップされていて、需要が決まっています。で、そこから選んでやっていきます。

――自分が好きなこと、やりたいことをその中から選ぶわけですね。

新井:そうです。直感でいいのです。「あ、これなら自分ができそうだな」「真似できそうだな」っていう直感で選んで、検証します。それだけです。

③AI活用アウトプット:すぐに形にする

――AI活用というのは、最近ならではですね。

新井:はい。文章作成も今はどんどんAIを使いますよね。昔は選んでからそれを形作るまでめちゃくちゃ大変だったのです。今はAI使えばもうすぐできちゃいますから。

――スピード感が全然違いますね。

新井:それをパッとできて、すぐテストできる。ま、そういうことなのです。

④テスト:売れるかどうかを試す

――テストでは何を確認するのでしょうか?

新井:実際に売れるかどうかを試すわけです。すでに売れているものだから売れるはずなのですけど、売れないことがよくあります。

――それはなぜでしょうか?

新井:知られていないということですね。それから自分が信用されていないとか、見せ方が悪いとか。チェックポイントというのはもう決まっているのです。

――それをきちんとやっていけば売れるようになると。

新井:極めてシンプルです。で、その間に自分のことって自分で分からないので、ま、うちの場合は仲間と一緒にやっていくのです。お互いに「ここもちょっとこうしようよ」とか「こういう風にした方が伝わるよ」とか、色々こう叩き合って形作っていくと。

――わけの分からないことをやらなくていいというのは、安心ですね。

新井:はい。もう極めて明解です。

0→1のクリエイトはハードルが高すぎる

実際にできる人はほとんどいない

――0から何かを生み出すというのは、やはり難しいのでしょうか?

新井:0→1からのクリエイトはめちゃくちゃハードルが高いです。実際にできる人はほとんどいないです。

――成功している起業家は、最初から独自のアイデアで始めたわけではないと?

新井:会社員のまま起業準備をして成功している人、起業にもいっぱいそういう人いるのですけど、じゃあそういう人たちが最初から情熱を持っていたか、夢を追っかけていたか、好きなことに特化してやってきたか...そうでもないのです。

――意外ですね。

新井:だから、まずはすでに売れているものに乗っかる。これが現実的なのです。

今日から始められる3つのアクション

①体系的に学ぶ

――では、具体的に今日から何を始めれば良いでしょうか?

新井:まず、体系的に学ぶということです。それによって理解がかなり深まっていくと思います。

②本を読んで繰り返しチェックする

――その後は?

新井:本を読むといいと思います。ま、これは自分の本の宣伝になっちゃって申し訳ないのですけど、僕の本はこういう人たちに特化して書かれていて、繰り返しチェックできるようにチェックリスト形式で作ってあるので、大変役に立つとは思います。

――どのように活用すれば良いでしょうか?

新井:最初は流し読みしていただいて、やりながらそのステージの自分に合った内容を読んでいく、順番にね。そうすると今まさにリアルタイムでやっていることなので、すごく理解が深まります。

――実践しながら読むということですね。

新井:なんかおかしいな、抜けているかなと思ったら1回戻ってまた読んでいく。そうするとすごく実用として役に立つと思います。

③コミュニティで仲間と一緒に進める

――1人で進めるのは不安という方も多そうですが...?

新井:起業18フォーラムでは、全国から集まっている仲間たちと協力し合ってチーム戦に持ち込んでいます。同じ想いの仲間と一緒に、楽しみながら進んでいく。これが続けられる秘訣なのです。

――最後に、これから起業準備を始めようと考えている会社員の方へメッセージをお願いします。

新井:やりたいことが明確に決まっている人なんて少数派です。だから、焦る必要はありません。まずは世の中で求められていることから始めて、慣れてきたら自分らしさを出していく。この順番の方が、よっぽど楽ですし、成功率も高いのです。是非、一緒に始めてみましょう!

――今日は貴重なお話をありがとうございました!

新井:ありがとうございました。

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。

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新井一
専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、25年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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