AI時代に読まれる起業家ブログの書き方|ゼロクリック検索6割時代のコンテンツ戦略を起業支援の専門家が解説

新井一

新井一

テーマ:マーケティング

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

――新井さん、最近「AI検索でゼロクリックが6割」という衝撃的なデータが話題になっていますね。起業家や会社員が発信する上で、これはどのような影響があるのでしょうか?

新井:そうなのです、伊藤さん。特に私たちのような情報発信をしている側には深刻な問題です。せっかく時間をかけて書いた記事が、AI要約だけ取られて誰も読まない。これ、笑えないですよ(笑)

AI検索が変えた情報の流れ

便利さの裏に潜む「情報の分断」

――確かに、私もGoogleのAIモードを使うことが増えました。でも、便利な反面、何か問題があるのですか?

新井:便利です、本当に。浅めの情報をパッと知りたい時には最高です。でも問題は、元記事を辿ってみると「あれ、全然違うことが書いてあるぞ?」ということがあったり。今の時点でのAI要約の限界ですね。

――なるほど。要約だけでは伝わらない部分があるということですね。

新井:その通りです。AIが提供するのは「情報」であって「知識」ではありません。この違いが、これからのコンテンツ作りの鍵になります。

情報発信者が直面する3つの危機

――具体的に、どのような影響が出ているのでしょうか?

新井:3つあります。

まず、せっかく作った記事が要約だけ取られて見られない。記事の評価は上がっているのに、読者がページを訪れなくなるのです。次に、PV数の減少は問い合わせや広告収入の減少に直結します。ビジネスとして成り立たなくなる。そして最も深刻なのは、時間をかけて情報を出す意味が薄れていくこと。Webの存続そのものを脅かしています。

――それは深刻ですね。起業準備中の会社員が情報発信を始めようとしても、読まれないのでは意味がないですよね。

新井:だからこそ、「何を書くか」よりも「誰が書いたか」が重要になってくるのです。

生き残るコンテンツの条件

「情報」と「知識」の決定的な違い

――AI時代に生き残るコンテンツとは、どのようなものでしょうか?

新井:ポイントは4つあります。

1つ目は、一次情報や独自の体験に基づいた内容。事実情報や直接的なデータは、AI要約で完結しやすいのです。でも、実際に体験した人の話は要約だけでは足りません。

2つ目は、ニッチで専門的な知識。誰もが知っている情報ではなく、その人だから語れる深い専門知識です。

3つ目は、「誰が書いたか」という権威性と信頼性。これが差別化の決め手になります。

4つ目は、要約では伝わらない面白さや深み。人の強さ、人間らしさです。

――なるほど。でも個人や零細メディアが評価されるのは難しいですよね?

新井:確かに難しいです。でも答えがないわけではありません。それは、「専門家が書いた価値ある情報で、要約では伝えきれない情報が詰まっているコンテンツ」です。

GoogleのAIが重視する情報源とは

――GoogleのAIは、どのような情報源を信頼するのでしょうか?

新井:実は明確な傾向があります。Wikipediaや政府系サイトは当然として、検索エンジンは専門的な免許を持つ人、実績のある人、権威性のあるサイトから紹介されている著者のスコアを高く評価するのです。

――つまり、信頼性が可視化されている人が有利ということですね。

新井:その通りです。だからこそ、会社員のうちから実績を積み、専門性を高めておくことが重要なのです。起業してから慌てて権威性を築こうとしても遅い。

今すぐ始めるべきコンテンツ戦略

守るのか、攻めるのか

――では、私たちはどうすればいいのでしょうか?

新井:選択肢は2つです。自分のコンテンツが一切取られないように守りを固めるか、自分のデータをどんどん食べさせて、AIが「この人は詳しくていい人ですよ」と推薦してくれるようにするか。

――新井さんはどちらを選ばれますか?

新井:後者です。大変な道のりですが、そうするしかありません。要約されやすい1問1答のコンテンツに加え、要約しきれない濃いコンテンツを出す。これ以外にないのです。

会社員の今こそチャンス

――会社員が起業準備をしながら発信する場合、何から始めるべきでしょうか?

新井:まず、自分の専門分野での実績と経験を言語化することです。会社員として培ってきた知識は、まさに「一次情報」なのです。それを惜しみなく出していく。

――でも、会社の情報を出すのは難しいですよね?

新井:守秘義務に触れない範囲で、自分の考え方やアプローチを出せばいいのです。むしろ会社員の今だからこそ、組織の中で得た知見は価値があります。

AIが提供できないもの

――最後に、これからコンテンツを作る人へメッセージをお願いします。

新井:AIが提供できるのは情報まで。知識や経験、そして人間らしさは、これからも読者に求められ続けます

だからこそ、自分にしか書けないことを書く。要約では伝わらない面白さや深みを追求する。それが、AI時代に読まれるコンテンツの条件なのです。

――会社員のまま起業する準備として、情報発信は欠かせませんね。

新井:その通りです。今日から始めてください。あなたの経験は、誰かにとって必要な「知識」なのですから。

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。

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新井一
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新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、25年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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