会社員の起業は「儲かる起業アイデアランキング」を見てはいけない理由|嫌われ仕事こそ穴場ビジネスの宝庫

新井一

新井一

テーマ:起業

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

「儲かる起業アイデアランキング」の罠

人気ジャンルは激戦区、会社員には向かない

――新井さん、YouTubeを開くと「今年流行る副業トップ10!」みたいな動画がたくさん出てきますよね。私もつい見てしまうのですが、実際のところどうなのでしょうか?

新井:あー、見ちゃいますよね(笑)。正直言うと、僕も作ってます。だってみんな見るから。でもね、会社員が起業するなら、そのランキング、むしろ見ない方がいいのです。

――えっ、それはなぜですか?

新井:答えはシンプルですよ。みんなが見るからみんながやる。人気ジャンルは価格競争で消耗戦になるのです。資金もスキルも時間も限られた会社員が、そんな激戦区で戦っても勝てるわけがないでしょう?

――確かに... ランキング上位のビジネスは、すでに参入者が多いということですね。

新井:そうです。だから僕が25年以上起業支援をしてきた中で、会社員の方に伝えているのは、初仕事は「嫌われてる仕事」で勝負しなさいということです。

――「嫌われてる仕事」ですか? なんだか意外な戦略ですね。

なぜ「嫌われ仕事」がチャンスなのか

心理的な抵抗感が最大の参入障壁

新井:意外に思うかもしれないけど、めちゃくちゃ理にかなってるのですよ。嫌われてる=みんながやりたがらない=競争相手が少ない。でも需要はちゃんとある。むしろ、みんながやりたくないからこそ需要があるのです。

――なるほど。確かに誰もやりたがらない仕事って、いつも人手不足ですよね。

新井:そうです。参入障壁って、お金やスキルだけじゃないのです。むしろ1番高い壁は「心理的な抵抗感」だったりする。技術的にも資金的にもハードルは低いけど、なんとなく気持ち的にやりたくない。そういう仕事って山ほどありますよね。

――具体的にはどんな仕事でしょうか?

新井:例えば、こういうやつです。

  • めんどくさい → 時間や手間がかかる作業
  • 気持ちが下がる → 地味で評価されにくい仕事
  • 恥ずかしい → 人目が気になる、プライドが邪魔する

新井:こういう心理的抵抗感が、実は最強の参入障壁になるのです。

会社員に合う仕事の3つの条件

時間、顔出し、本名の制約を理解する

――でも、嫌われている仕事なら何でもいいというわけではないですよね?

新井:その通り! ここからが大事なポイントです。世の中にある起業支援、ほとんど間違ってます。いや、正確に言うと「間違ってる」のではなくて「会社員には向いてない」ということ。だって、会社員には制約がめちゃくちゃあるから。

――制約というと?

新井:顔出しできない。本名で検索されたら困る。そして何より、時間がない。朝から晩まで働いてるのに、その後さらにガッツリ時間を使う起業準備なんて、続くわけがないでしょう?

――確かに... 本業が忙しいと、起業準備に使える時間って本当に限られますよね。

新井:だから「何をするか」が死ぬほど大事なのです。会社員が選ぶべき仕事の条件は3つあります。

条件①:短時間でできる

新井:本業の合間、隙間時間、できれば朝だけで終わる仕事。時間効率が命です。

――朝だけで終わる仕事というのがポイントですね。

新井:そうです。出社前の1~2時間だけで完結する仕事。これなら本業に影響を与えずに続けられます。

条件②:高単価

新井:短時間しかやらないから、単価が高くないとダメです。じゃあ単価が高い仕事って何か? それは「人がよりやりたくないこと」「人の痛みがより強いところ」でしょう?

――なるほど! だから「嫌われ仕事」なのですね。

条件③:再発注がある

新井:1回お客様になってくれたら、繰り返し発注がある。そうすれば無理に高単価にしなくても、そこそこの値段×繰り返し発注で十分稼げるのです。

――継続的な収入が見込めるということですね。

具体的な3つの穴場ビジネス

ランキングには絶対載らない仕事

――では、具体的にどんな仕事があるのか教えていただけますか?

新井:儲かるビジネスランキングには絶対載ってない、でも実は穴場な仕事を3つ紹介しますね。

①返品処理・退会処理の代行

新井:これ、めちゃくちゃ嫌な仕事なのですよ。生産性低いし、後ろ向きな仕事だから。利益にならない。でも誰かがやらなきゃいけない。

――確かに、返品処理って地味で大変そうですね。

新井:例えば、僕がやってるコミュニティの退会処理。精神的にキツい... なんて言うか... 女性に振られたような気持ちになる(笑)お客様が離れていくのを見るのって、メンタルやられるのです。

――(笑)。そういう心理的な負担もあるのですね。

新井:だからこそ、こういう仕事を代行してあげる価値がある。しかもただ受け付けるだけじゃなくて、ワンストップで対応する。例えば、返品された商品を自分の家に送ってもらって、メンテナンスして、写真撮り直して、別のチャンネルで再販する。Amazonで売れなかったものをメルカリで売る、みたいな。

――なるほど! 単なる返品処理ではなく、その先までサポートするということですね。

②クレーム窓口の代行(メール特化)

新井:クレーム対応も嫌われる仕事の代表格です。だってお客様は怒ってるわけだから、対応するのめちゃくちゃ大変。長いし、精神的に消耗する。

――これも心理的な負担が大きい仕事ですね。

新井:ここを代行してあげればいい。しかも、メールのクレームに特化する。朝、会社に行く前にメールを確認して、記録して、振り分けて、マニュアル通りに一次対応。オーナーさんが後から見やすいように分類しておく。で、自分は出社する。

――朝の短時間でできるのがいいですね。

新井:オーナーさんは二次対応からやればいい。これなら短時間でできるし、継続的な発注が見込める。クレーム対応って毎日発生するものですからね。

③呼び込み代行(いらっしゃいませ!)

新井:これは「恥ずかしい」の代表。駅前でコスプレしてチラシ配り。人前で目立つこと、恥ずかしいって思う人は多いでしょう?

――確かに、プライドが邪魔して避けたくなる仕事ですね。

新井:だからこそ、やってあげる。きちんと契約して、レポートも出す。何枚配ったか、どんな反響があったか、データとして提供する。

――ちゃんと数値化して報告するのがポイントですね。

新井:これ、休みの日の午前中だけとかでできるし、パフォーマンスが良ければリピート発注につながる可能性もある。手軽に始めやすいのもポイントです。

常識の逆を行け

みんなが避ける場所にこそチャンスがある

――今日のお話を聞いて、発想を転換する必要があると感じました。

新井:そうなのです。儲かるビジネスランキングに載ってる仕事は、確かに儲かるかもしれない。でも、それはすでにレッドオーシャン。資金もスキルも時間も豊富な人向けの戦場です。

――会社員が起業するなら、別の戦い方が必要だということですね。

新井:その通り。みんなが避ける場所にこそチャンスがあるのです。めんどくさい仕事、気持ちが下がる仕事、恥ずかしい仕事。つまり、嫌われてる仕事。そこに目を向ける。競争相手は少ないのに、需要はちゃんとある。しかも短時間でできて、高単価で、リピートも見込める。

――ランキングに惑わされず、自分の状況に合った仕事を選ぶことが大切なのですね。

新井:これが会社員の起業で成功する秘訣です。他にもこういうビジネス、山ほどありますよ! みんなが「やりたくない」と思う仕事の中に、あなたの起業のタネが眠っているかもしれません。

――今日は貴重なお話をありがとうございました!

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。

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新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、25年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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