三菱ケミカル・50歳以上が標的に。黒字リストラで4,600人削減の衝撃|会社員が今すぐ始めるべき「複業準備」を起業18フォーラム代表・新井一氏が解説
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
「儲かる起業アイデアランキング」の罠
人気ジャンルは激戦区、会社員には向かない
――新井さん、YouTubeを開くと「今年流行る副業トップ10!」みたいな動画がたくさん出てきますよね。私もつい見てしまうのですが、実際のところどうなのでしょうか?
新井:あー、見ちゃいますよね(笑)。正直言うと、僕も作ってます。だってみんな見るから。でもね、会社員が起業するなら、そのランキング、むしろ見ない方がいいのです。
――えっ、それはなぜですか?
新井:答えはシンプルですよ。みんなが見るからみんながやる。人気ジャンルは価格競争で消耗戦になるのです。資金もスキルも時間も限られた会社員が、そんな激戦区で戦っても勝てるわけがないでしょう?
――確かに... ランキング上位のビジネスは、すでに参入者が多いということですね。
新井:そうです。だから僕が25年以上起業支援をしてきた中で、会社員の方に伝えているのは、初仕事は「嫌われてる仕事」で勝負しなさいということです。
――「嫌われてる仕事」ですか? なんだか意外な戦略ですね。
なぜ「嫌われ仕事」がチャンスなのか
心理的な抵抗感が最大の参入障壁
新井:意外に思うかもしれないけど、めちゃくちゃ理にかなってるのですよ。嫌われてる=みんながやりたがらない=競争相手が少ない。でも需要はちゃんとある。むしろ、みんながやりたくないからこそ需要があるのです。
――なるほど。確かに誰もやりたがらない仕事って、いつも人手不足ですよね。
新井:そうです。参入障壁って、お金やスキルだけじゃないのです。むしろ1番高い壁は「心理的な抵抗感」だったりする。技術的にも資金的にもハードルは低いけど、なんとなく気持ち的にやりたくない。そういう仕事って山ほどありますよね。
――具体的にはどんな仕事でしょうか?
新井:例えば、こういうやつです。
- めんどくさい → 時間や手間がかかる作業
- 気持ちが下がる → 地味で評価されにくい仕事
- 恥ずかしい → 人目が気になる、プライドが邪魔する
新井:こういう心理的抵抗感が、実は最強の参入障壁になるのです。
会社員に合う仕事の3つの条件
時間、顔出し、本名の制約を理解する
――でも、嫌われている仕事なら何でもいいというわけではないですよね?
新井:その通り! ここからが大事なポイントです。世の中にある起業支援、ほとんど間違ってます。いや、正確に言うと「間違ってる」のではなくて「会社員には向いてない」ということ。だって、会社員には制約がめちゃくちゃあるから。
――制約というと?
新井:顔出しできない。本名で検索されたら困る。そして何より、時間がない。朝から晩まで働いてるのに、その後さらにガッツリ時間を使う起業準備なんて、続くわけがないでしょう?
――確かに... 本業が忙しいと、起業準備に使える時間って本当に限られますよね。
新井:だから「何をするか」が死ぬほど大事なのです。会社員が選ぶべき仕事の条件は3つあります。
条件①:短時間でできる
新井:本業の合間、隙間時間、できれば朝だけで終わる仕事。時間効率が命です。
――朝だけで終わる仕事というのがポイントですね。
新井:そうです。出社前の1~2時間だけで完結する仕事。これなら本業に影響を与えずに続けられます。
条件②:高単価
新井:短時間しかやらないから、単価が高くないとダメです。じゃあ単価が高い仕事って何か? それは「人がよりやりたくないこと」「人の痛みがより強いところ」でしょう?
――なるほど! だから「嫌われ仕事」なのですね。
条件③:再発注がある
新井:1回お客様になってくれたら、繰り返し発注がある。そうすれば無理に高単価にしなくても、そこそこの値段×繰り返し発注で十分稼げるのです。
――継続的な収入が見込めるということですね。
具体的な3つの穴場ビジネス
ランキングには絶対載らない仕事
――では、具体的にどんな仕事があるのか教えていただけますか?
新井:儲かるビジネスランキングには絶対載ってない、でも実は穴場な仕事を3つ紹介しますね。
①返品処理・退会処理の代行
新井:これ、めちゃくちゃ嫌な仕事なのですよ。生産性低いし、後ろ向きな仕事だから。利益にならない。でも誰かがやらなきゃいけない。
――確かに、返品処理って地味で大変そうですね。
新井:例えば、僕がやってるコミュニティの退会処理。精神的にキツい... なんて言うか... 女性に振られたような気持ちになる(笑)お客様が離れていくのを見るのって、メンタルやられるのです。
――(笑)。そういう心理的な負担もあるのですね。
新井:だからこそ、こういう仕事を代行してあげる価値がある。しかもただ受け付けるだけじゃなくて、ワンストップで対応する。例えば、返品された商品を自分の家に送ってもらって、メンテナンスして、写真撮り直して、別のチャンネルで再販する。Amazonで売れなかったものをメルカリで売る、みたいな。
――なるほど! 単なる返品処理ではなく、その先までサポートするということですね。
②クレーム窓口の代行(メール特化)
新井:クレーム対応も嫌われる仕事の代表格です。だってお客様は怒ってるわけだから、対応するのめちゃくちゃ大変。長いし、精神的に消耗する。
――これも心理的な負担が大きい仕事ですね。
新井:ここを代行してあげればいい。しかも、メールのクレームに特化する。朝、会社に行く前にメールを確認して、記録して、振り分けて、マニュアル通りに一次対応。オーナーさんが後から見やすいように分類しておく。で、自分は出社する。
――朝の短時間でできるのがいいですね。
新井:オーナーさんは二次対応からやればいい。これなら短時間でできるし、継続的な発注が見込める。クレーム対応って毎日発生するものですからね。
③呼び込み代行(いらっしゃいませ!)
新井:これは「恥ずかしい」の代表。駅前でコスプレしてチラシ配り。人前で目立つこと、恥ずかしいって思う人は多いでしょう?
――確かに、プライドが邪魔して避けたくなる仕事ですね。
新井:だからこそ、やってあげる。きちんと契約して、レポートも出す。何枚配ったか、どんな反響があったか、データとして提供する。
――ちゃんと数値化して報告するのがポイントですね。
新井:これ、休みの日の午前中だけとかでできるし、パフォーマンスが良ければリピート発注につながる可能性もある。手軽に始めやすいのもポイントです。
常識の逆を行け
みんなが避ける場所にこそチャンスがある
――今日のお話を聞いて、発想を転換する必要があると感じました。
新井:そうなのです。儲かるビジネスランキングに載ってる仕事は、確かに儲かるかもしれない。でも、それはすでにレッドオーシャン。資金もスキルも時間も豊富な人向けの戦場です。
――会社員が起業するなら、別の戦い方が必要だということですね。
新井:その通り。みんなが避ける場所にこそチャンスがあるのです。めんどくさい仕事、気持ちが下がる仕事、恥ずかしい仕事。つまり、嫌われてる仕事。そこに目を向ける。競争相手は少ないのに、需要はちゃんとある。しかも短時間でできて、高単価で、リピートも見込める。
――ランキングに惑わされず、自分の状況に合った仕事を選ぶことが大切なのですね。
新井:これが会社員の起業で成功する秘訣です。他にもこういうビジネス、山ほどありますよ! みんなが「やりたくない」と思う仕事の中に、あなたの起業のタネが眠っているかもしれません。
――今日は貴重なお話をありがとうございました!
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。
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