【風のセラピー】織田潤一氏に聞く:なぜ今、自然の中でのカウンセリングが求められるのか?
起業家インタビュー(聞き手:新井一@起業18フォーラム)
なぜ今、「人と組織」の課題解決が中小企業の生命線なのか?
IGNITE HORIZON代表 尾関真規子さん
新井:本日は、IGNITE HORIZONで50人以下の中小企業向け人事・組織コンサルティングをされている、人事・組織コンサルタントの尾関真規子さんにお時間をいただきました。尾関さん、よろしくお願いいたします!
尾関さん:こちらこそ、お忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
新井:IGNITE HORIZONという社名も素敵ですが、「地平線を燃やす」という意味でしょうか? 尾関さんの想いが込められているのでしょうね。
尾関さん:ありがとうございます。はい、まさに「地平線に灯した情熱の火がやがて組織を包んでいく」という姿をイメージして名付けました。多くの中小企業が人と組織の課題で悩んでいらっしゃいますが、組織は実態が捉えづらいため経営者は空を掴むような感覚かと思います。しかし、組織を強くしたい、従業員が働きたい会社を作りたいという情熱があれば組織を変えていくことができます。私は、その目標を実現していくパートナーでありたいと思っています。特に、「自分たちは最強のチームだ」と誇れる組織を作ることが、私たちのミッションです。
新井:今日のテーマでもある「強い組織」ですね。実際に中小企業の現場を見ていて、どのような課題を感じていらっしゃいますか?
尾関さん:深刻な問題だと感じているのは、環境変化に対応できずに疲弊している組織が本当に多いということです。特に人手不足が加速する中で、「人が足りない」「優秀な人材が採れない」という声をよく聞きます。でも実は、今いる人材を最大限活かせていない組織がほとんどなのです。
新井:確かに、採用ばかりに目が向きがちですが、既存の人材を活かすことの方が重要かもしれませんね。
尾関さん:そうなのです。私がよく申し上げているのは、「組織の状態は全て現場に出る」ということです。どんなに立派な人事制度を作っても、現場の実情を無視した「形だけ」の制度では、むしろ現場の混乱を招いてしまいます。
「形だけ」の人事制度が組織を壊す:なぜ多くの企業が失敗するのか?
現場を無視した人事制度の落とし穴
新井:「形だけの人事制度」という言葉が印象的でした。具体的には、どのような失敗例を目にされることが多いのでしょうか?
尾関さん:よくあるのが、大企業の人事制度をそのまま導入してしまうケースですね。例えば、10人の会社が100人規模の企業の評価制度を真似して、複雑な評価項目や面談プロセスを作ってしまう。結果的に、評価に時間を取られて本来の業務がおろそかになってしまいます。
新井:なるほど、規模に合わない制度を導入してしまうということですね。
尾関さん:はい。他にも、現場の声を聞かずにトップダウンで制度を作ってしまうケースも多いです。経営者が「やる気を出させたい」という想いで成果主義の評価制度を導入したものの、現場では「チームワークが大切」という価値観が強く、制度と現場の文化がバラバラになってしまう。
新井:制度と現場の温度差が生まれてしまうのですね。そうすると、どのような問題が起こるのでしょうか?
尾関さん:最も深刻なのは、社員が「形だけやらされている感」を持ってしまうことです。本来、人事制度は社員のモチベーションを上げるためのものなのに、逆にやる気を削ぐ結果になってしまう。そして最終的には、優秀な人材が「この会社では成長できない」と判断して離職してしまいます。
組織の成長段階を無視した制度設計の危険性
新井:組織にも成長段階があると思うのですが、そこを考慮することも重要でしょうか?
尾関さん:とても重要です。例えば、創業間もない10人の組織と、安定期に入った50人の組織では、必要な人事施策は全く違います。創業期は「みんなで頑張ろう」という一体感が重要ですが、成長期に入ると組織の階層化や役職定義・責任の明確化が必要になります。
新井:成長段階に応じた組織作りが必要ということですね。
尾関さん:はい。私がよく目にするのは、50人規模になっても創業期の「みんな家族」的な運営を続けてしまい、責任の所在が曖昧になって業務が回らなくなるケースです。逆に、20人程度なのに大企業並みの厳格な階層制度を作って、柔軟性を失ってしまう会社もあります。
新井:組織の現状を正しく把握して、それに合った制度を作ることが大切なのですね。
現場に照準を合わせた人事制度とは? 成功する組織の共通点
強い組織に共通する3つの特徴
新井:それでは、環境変化を乗り越えられる強い組織には、どのような共通点があるのでしょうか?
尾関さん:私がこれまで支援してきた企業を見ていると、強い組織には3つの共通点があります。
- 1つめ:現場の声が経営陣にきちんと届くチーム体制がある
- 2つめ:個人の成長と会社の成長が連動している
- 3つめ:変化に対して「チーム」で対応する文化がある
新井:それぞれについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
尾関さん:1つめの「現場の声が届く仕組み」について言うと、これは単に意見箱を置くということではありません。情報が経営層に上がっていく、または組織の隅々に降りていくチーム体制と指示系統が確立されている組織は、環境変化への対応が早いです。
新井:現場の感覚と経営の意思決定が連動しているということですね。
尾関さん:そうです。2つめの「個人と会社の成長の連動」は、社員一人ひとりが「この会社で働くことで自分も成長できる」と実感できている状態です。これができている組織では、社員が主体的に会社の課題解決に取り組むようになります。
新井:やらされ感ではなく、自分事として取り組むということですね。
尾関さん:はい。そして3つめの「チームで対応する文化」ですが、これは個人プレーではなく、チームの成果に貢献するために個人の成果がある という文化です。この文化がある組織は、属人化や業務の硬直化が起きにくく、環境変化に合わせて業務プロセスを変えていくことができます。
現場に照準を合わせた制度設計の実践方法
新井:これらの特徴を持つ組織を作るために、具体的にはどのような人事制度を設計すればよいのでしょうか?
尾関さん:まず重要なのは、現場の実態を徹底的に把握することです。私がお手伝いする際は、必ず現場の社員の方々と直接お話をさせていただきます。「今の働き方で困っていることは?」「どんな時にやりがいを感じる?」といった生の声を聞くことから始めます。
新井:現場の声を聞くことから始まるのですね。
尾関さん:はい。その上で、その組織の成長段階と文化に合わせた制度を オーダーメイドで作っていきます。例えば、チームワークを大切にしている組織なら、個人評価だけでなくチーム評価も取り入れたり、若手世代への技術の伝承が急務な組織なら、スキルマップを利用した技術習得レベルを評価や報酬に反映させたりします。
新井:一律の制度ではなく、その組織に最適化された制度ということですね。
尾関さん:そうです。そして最も大切なのは、制度を作って終わりではなく、継続的に調整を続けることです。組織は生き物ですから、成長や環境変化に合わせて制度も進化させていく必要があります。
最強の組織で最高の成果を出すための実践的アプローチ
人材育成と組織開発の両輪で回す仕組み作り
新井:強い組織を作るためには、人材育成と組織開発の両方が重要だと思うのですが、どのようにバランスを取られているのでしょうか?
尾関さん:とても良い質問ですね。私は「中長期的な人材育成が上手くいくかどうかは日々のチーム運営で決まる」と考えています。この両方を同時に進めることで、相乗効果が生まれるのです。
新井:具体的には、どのような取り組みをされているのでしょうか?
尾関さん:例えば、個人の成長については、実践の中で成長できるような業務分担と業務ローテーションを意識した育成計画 をマネージャー職の方に作って頂きます。「チームで抱えている業務の全体像が見えているマネージャー職が部下の登る階段を作る」という形で、個人の学習が会社の成長に直結する設計にするのです。
新井:個人のモチベーションと会社の利益が一致するということですね。
尾関さん:はい。組織開発については、定期的な組織診断を行います。チーム内のコミュニケーション状況や、情報共有の仕組み、意思決定プロセスなどを客観的に分析して、改善点を見つけていきます。
新井:客観的な分析に基づいて改善していくのですね。
尾関さん:そうです。そして重要なのは、現場の社員も一緒に課題解決に取り組むことです。コンサルタントが一方的に改善案を提示するのではなく、現場の方々と一緒に考え、一緒に実行していく。これによって、制度や仕組みが現場に根付きやすくなります。
環境変化への対応力を高める「学習する組織」の作り方
新井:環境変化が激しい現代では、組織自体が学習し続けることも重要だと思います。どのような工夫をされていますか?
尾関さん:「学習する組織」を作ることは、まさに私たちが重視していることです。これは単に研修を増やすということではなく、上長からの問いかけが重要 ということです。
新井:日常業務の中での学習というのは、具体的にはどのようなことでしょうか?
尾関さん:例えば、後から振り返ることも重要ですが、 業務ミーティングはむこう3カ月が始まる前に設定し、上長からキーポイントについて問いかけます。「どのように取り組もうとしているか」「課題は何か?」「来週はどう改善するか?」を チーム全体で共有する仕組みです。これを続けることで、常に現状を客観視し、先手で改善を考える習慣が身につきます。
新井:PDCAサイクルを組織全体で回すということですね。
尾関さん:はい。また、失敗を責めるのではなく、学習の機会として活かす文化も大切です。「なぜ失敗したのか?」「次はどうすれば成功できるか?」を打合せで全体共有していくと、業務ローテーションで自分に担当が回ってきたときに既に知見がある状態で取り組むことができます。
新井:それが話せる組織ということは、心理的安全性が確保されているということにもつながりますね。
尾関さん:そうです。そして、外部の情報や知識を積極的に取り入れる仕組みも重要です。業界のトレンドや他社の成功事例を学ぶ機会を定期的に設けて、組織全体の視野を広げていく取り組みを行います。
実践!今日から始められる強い組織作りのステップ
中小企業経営者がまず取り組むべき3つのこと
新井:この記事を読んでくださっている経営者の方々が、明日から実践できることはありますか?
尾関さん:はい、ぜひ試していただきたいことが3つあります。
- 1つ目:めざしたい事業の未来と組織に求められることを端的にまとめ、発信する
- 2つ目:会社のビジョンと個人の目標を関連づける全体ミーティングを実施
- 3つ目:経営者と現場をつなぐキーパーソンを巻き込む
新井:どれも今すぐできそうなことですね。それぞれについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
尾関さん:1つ目の言語化についてですが、これは経営者が考えていることが従業員に伝わっていないことが多いです。 特に、事業の環境変化について、従業員は経営者のように敏感にキャッチできない可能性があります。そのため、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作ることが重要と言われていますが、それに加えて、中小企業では求める人物像(人事ポリシー)[太字]を発信した方が組織を変えたいという想いが伝わると思います。
新井:経営者の考えを現場に直接届けるということですね。
尾関さん:はい。2つ目のビジョンと個人目標の関連づけについては、[太字]「あなたの成長が会社の成長にどうつながるか」を具体的に説明することです。抽象的な話ではなく、「このスキルを身につけることで、こんな仕事ができるようになり、それが会社のこの課題解決につながる」と具体的に伝えてください。これは、毎期の経営目標と一緒に発信しても良いですが、場合によっては別途全体ミーティングを開く必要もあります。
新井:個人のモチベーションと会社の方向性を一致させることですね。
尾関さん:そうです。3つ目のキーパーソンについては、一人で組織改革をやろうとして諦めてしまう経営者が多いと感じます。どんなに小さい企業でもキーパーソンの方がいらっしゃいます。まずは経営者の考えも自己開示し、キーパーソンとのコミュニケーションを増やす必要があります。その方と信頼関係を作り、そこから組織改革をじわじわ広げていきます。
人事制度導入前に必ずチェックすべきポイント
新井:人事制度の見直しを考えている経営者の方に、注意すべきポイントはありますか?
尾関さん:はい、制度を作る前に必ず確認していただきたいことがあります。
- 現在の組織の状態は?(人材レベル・人間関係・業務量・チーム体制)
- 今一番解決したい組織の課題は何?
- マネージャー職の人数とレベルは揃っているか
- 制度運用に割ける時間とリソースは?
新井:現状分析をしっかり行ってから制度設計に入るということですね。
尾関さん:そうです。特に中小企業では、複雑すぎる制度は運用できません。シンプルで実効性のある制度を作ることが重要です。また、一度に全てを変えようとせず、段階的に導入することも大切です。
新井:無理のない範囲で、着実に改善していくということですね。
尾関さん:はい。そして何より重要なのは、制度は手段であって目的ではないということです。「最強のチームを作る」という目的のために、どんな制度が必要かを考えていただければと思います。
プロのサポートを受ける価値とは?
新井:自分でできることもある一方で、プロのコンサルティングを受ける価値についても教えていただけますか?
尾関さん:自社でできることも確かにたくさんありますが、客観的な視点を持つ第三者の存在は非常に価値があります。組織の中にいると、どうしても見えない部分や、当たり前だと思い込んでいる部分があります。
新井:外部の専門家だからこそ見える課題があるということですね。
尾関さん:はい。また、豊富な経験に基づいた最適解の提案ができることも、プロのサポートの価値だと思います。「この規模の組織でこんな課題がある場合、こんなアプローチが有効」といった、実践的なノウハウを提供できます。
新井:経験の蓄積から生まれる知見ということですね。
尾関さん:そうです。そして何より、継続的な伴走支援ができることが重要だと考えています。制度を作って終わりではなく、運用しながら調整を続け、組織の成長に合わせて進化させていく。このプロセスを一緒に歩ませていただくことで、確実に強い組織を作ることができます。
対談を終えて:読者の皆さんへのメッセージ
「最強のチーム」への第一歩
新井:尾関さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、この記事を読んでくださっている経営者の皆さんに、メッセージをお願いします。
尾関さん:こちらこそ、ありがとうございました。経営者の皆さんには、ぜひ「うちのチームは最強だ」と胸を張って言える組織を作っていただきたいです。そのためには、まず現場の声に耳を傾け、一人ひとりの社員を大切にすることから始めてください。
新井:現場との対話から始まるということですね。
尾関さん:はい。そして、完璧な制度を最初から作ろうとしなくても大丈夫です。小さな改善から始めて、継続的に良くしていけば、必ず強い組織になります。大切なのは、「この組織をもっと良くしたい」という想いです。
新井:継続的な改善が重要ということですね。
尾関さん:はい。環境変化が激しい時代だからこそ、変化を恐れずに挑戦できるチームを作ることが競争優位の源泉になります。一人で悩まず、必要に応じて外部の力も借りながら、最強のチーム作りに取り組んでいただければと思います。
新井:IGNITE HORIZONさんでは、そんな経営者の皆さんの伴走をしてくださるということですね。
尾関さん:はい。50人以下の中小企業の皆様の人事・組織課題解決のお手伝いをさせていただくのが私たちの使命です。無料相談も実施しておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。皆さんが「最強のチーム」を作り、環境変化を乗り越えて成長していかれることを心から願っています。
新井:尾関さん、本日は本当にありがとうございました!
尾関さん:ありがとうございました!
50人以下の中小企業向け人事・組織コンサルティング(無料相談実施中)
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