市場調査は無意味? 新井一が語る「9割の起業家が間違える」ビジネスアイデア発見法

新井一

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テーマ:起業

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

「市場調査なんて無意味」の真意とは?

――最近のYouTubeで「市場調査は無意味」とおっしゃっていましたが、これは起業を目指す会社員の方にとって衝撃的な発言だと思うのです。

新井:そうですね。でも、これは25年間で延べ6万人以上の起業家を見てきた中で確信していることなのです。みなさん、ビジネスアイデアを考える時に必ずと言っていいほど市場調査から入りますよね?

――はい、私もそうでした。まずはマーケットサイズを調べて、競合を分析して...という流れが一般的だと思います。

新井:まさにそこが落とし穴なのです。市場調査でオッケーと出たものが、実際にやってみると全然うまくいかない。これが現実です。最近だとAIに市場調査をお願いすることもできますが、それっぽい答えは出てくるものの、実際には全く正解ではないのです。

顧客は嘘をつく生き物?その真意

――「顧客は嘘をつく生き物」というのも印象的な表現でした。これはどういう意味でしょうか?

新井:アンケートで「こういうサービスがあったら使いますか?」と聞くと、多くの人が「使います」と答えます。でも、実際にそのサービスをリリースしても使わないのです。これは嘘をついているというより、自分の本当のニーズを理解していないということです。

――なるほど。では、どうやって本当のニーズを見つければよいのでしょうか?

新井:「なぜ」を5回繰り返すのです。例えば「英語を学びたい」というニーズがあったとします。なぜ英語を学びたいのか?転職で有利になりたいから。なぜ転職で有利になりたいのか?今の会社で評価されていないから。なぜ評価されたいのか?...と掘り下げていくと、自己重要感というインサイトにたどり着くのです。

AIや大手との競争を避ける戦略

――確かに、表面的なニーズだけを見ていては差別化が難しそうですね。

新井:その通りです。表面的なテクニックだけで勝負すると、アプリの利便性などで絶対に叶わなくなります。スモールビジネスには向いていないのです。
――では、競合分析はどのように行えばよいのでしょうか?

新井:既存サービスの悪い口コミをとにかく読み込んでください。ここに答えがほぼ入っています。AmazonやSNSの愚痴なども参考になります。みんなが言語化できていない不満を見つけることができれば、当たるビジネスに近づけるのです。

「手が届く範囲」で勝負する重要性

――市場調査で需要があることが分かっても、うまくいかないケースがあるのはなぜでしょうか?

新井:それは、需要にアプローチすることができないからです。例えば、めちゃくちゃ売れている会社がテレビCMを打っているとします。ニーズはあるでしょうが、私たちがテレビCMを打てますか? Google広告だって10万円、20万円が瞬間でなくなってしまいます。

――確かに、大手と同じ土俵で戦うのは現実的ではありませんね。

新井:だから重要なのは、自分と同じレベルの人間がやっているかどうかを見ることです。個人事業主や小さな会社で成功している事例があるか?広告宣伝費をあまり使っていなさそうか? これがポイントです。

スキルシェアプラットフォームでの実証

――具体的にはどこで検証すればよいのでしょうか?

新井:スキルシェアプラットフォームです。ココナラやストアカなど、自分たちが手が届きそうなプラットフォームを見つけるのが1番早いです。必ずレビューシステムがあるので、良い評価も悪い評価も分かります。

――なるほど。実際に類似サービスが売れているかどうかを確認できるということですね。

新井:そうです。これがスモールビジネスの市場調査です。1円もお金をかけずに始めるなら、ここが市場調査になります。AIに聞いて「市場がある」と言われてもダメです。私たちがアクセス可能な範囲にあるかどうかを見るのです。

完璧を求めずに小さく始める

――検証ができたら、どのようにスタートすればよいのでしょうか?

新井:完璧なサービスではなく、シンプルな1部分のサービスでいいから早く出してしまうことです。最初は安い価格でもいいので、最初から儲けようと思わずに少しずつ価格を上げていくのです。

――段階的にサービスを向上させていくということですね。

新井:はい。そしてある程度のランクまで来たら、月10万円以上稼げるようになったら、思い切って会社を辞めて全振りするのもありです。いつまで経っても覚悟を決めないのも時間の無駄になってしまいますから。

従来の起業論では説明がつかない現実

――新井さんがおっしゃる内容は、確かに従来の起業論とは違いますね。

新井:そうです。様々なYouTubeやマーケティング会社の広告を見ると、ついつい引き込まれて「こういう風にやればいいんだ」と思ってしまいがちです。でも、私たちができるかと思ったら大間違いです。

――理論と実践は違うということでしょうか?

新井:まさにその通りです。従来の起業論では全く説明がつかないことばかりです。だからこそ、実際にやってみて試すしかない。これが私が25年間で得た最大の学びです。

――今日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、これから起業を目指す会社員の方にメッセージをお願いします。

新井:大きく見るのではなく、自分が手を届く範囲で見極めるということです。これを実行していけば、必ず売れるようになり、儲かるようになります。まずはやってみてください。わからないことがあれば、ぜひ私のセミナーにも遊びに来てくださいね。

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。

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専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、25年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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