「起業したいけどやりたいことがない」はむしろチャンス! 起業18代表が明かす会社員のための逆転発想術
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
25年の実績が証明する「普通の人」こそ起業に向いている理由
――新井さん、今日はお忙しい中ありがとうございます。まず「2025年は普通の人が勝つ起業戦略」というお話をお聞きしたいのですが、そもそも「普通の人」が起業に向いているというのは、どういうことなのでしょうか?
新井:こちらこそ、ありがとうございます。私は25年間で60,000人以上の会社員の方の起業をサポートしてきましたが、成功している方の多くは「特別なスキルを持たない普通の会社員」なのです。意外でしょう?
――それは確かに意外ですね! もっと特別な才能や資格を持った方が成功されているのかと思っていました。
新井:そう思われるのも当然です。でも実際は違うのです。「普通」こそが実は一番の強みなのです。なぜなら、多くの人が抱える「普通の悩み」を解決できるからです。例えば、営業を15年やってきた方なら、その「話を聞く力」「提案する力」は立派なスキルです。経理を10年やってきた方なら、その「数字を整理する力」「コスト意識」は大きな価値になります。
――なるほど! でも多くの方は「それって仕事しているなら普通じゃない?」と思ってしまいそうですが...
新井:まさにそこがポイントなのです。自分では「普通」だと思っていることが、実は誰かにとっては喉から手が出るほど欲しいスキルだったりする。特に40代、50代の会社員の方は、若い世代とは違うアプローチが必要ですが、その人生経験こそが最大の武器になるのです。
2025年、会社員が始めやすい3つのジャンルとは?
――具体的に、今どんなジャンルが会社員の方におすすめなのでしょうか?
新井:私が今、会社員の方に強くお勧めしているのは3つのジャンルです。実際に起業18フォーラムの多くの会員さんがこの分野で成果を上げています。
ジャンル1:経験×コンサルティング
新井:これは一番始めやすいジャンルですね。例えば、人事部で働いていた方が「転職サポート」を始めたり、営業畑を歩んできた方が「営業力向上コンサル」を始めたり。重要なのは、自分の経験を「困っている誰か」に提供することです。20年間、中小企業で人事を担当していた女性がいらっしゃいましたが、同じような規模の会社の人事効率化をサポートされています。月に数万円からのスタートでしたが、もう立派に独立されています。
――それは素晴らしいですね! 2つ目はいかがでしょうか?
ジャンル2:デジタルサポート×アナログ思考
新井:これ、意外に盲点なのですが、とても需要があります。最近はどの会社もDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいますが、実際の現場では「ついていけない」という声が多いのです。そこで、会社員時代にExcelを日常使いしていた方が「AI×Excel業務効率化サポート」を始めたり、社内システムの導入経験がある方が「小規模事業者向けシステム導入支援」を始めたり。アナログな視点でデジタルを分かりやすく伝える、これが2025年のキーワードです。
ジャンル3:ライフスタイル×実用性
新井:これは特に40代、50代の方に強くお勧めしたいジャンルです。人生経験が豊富だからこそ語れる「リアルな知恵」に需要があります。子育てを経験した方が「ワーママ向け時短テクニック」を教えたり、親の介護を経験した方が「介護と仕事の両立方法」をサポートしたり。自分が乗り越えてきた課題が、今まさに同じ課題に直面している人の助けになるのです。
――どのジャンルも、確かに特別なスキルがなくても始められそうですね。
経験を価値に変える3つの視点
――でも「私の経験なんて、みんな普通に持ってるものでは?」と思ってしまう方も多いと思うのですが、そんな方へのアドバイスはありますか?
新井:はい、そんな方に向けて、経験を価値に変えるための3つの視点をお伝えしますね。
視点1:どんな時に同僚から相談されることが多い?
新井:「〇〇さんって、いつも段取りが上手ですよね」「〇〇さんに聞けば、なんでも教えてくれるから」職場でそんな風に言われることがあれば、それは立派なスキルです。例えば、いつも会議の進行が上手だと言われる方は「会議効率化ファシリテーター養成塾」ができるかもしれません。資料作りが得意な方は「プレゼン資料作成サポート」ができるかもしれません。
視点2:過去に苦労したことで、今なら楽に解決できることは?
新井:転職に苦労した経験があるなら、その経験は転職を考えている人の助けになります。部下のマネジメントに悩んだ経験があるなら、今同じ悩みを持つ管理職の方の参考になります。あなたの「苦労」は、誰かの「ショートカット」になるのです。
視点3:趣味や日常の習慣で、人から「すごいね」と言われることは?
新井:「いつも健康的ですね」「家計管理が上手ですね」「写真が上手ですね」こういった何気ない褒め言葉の中に、ビジネスのヒントが隠れています。
――なるほど! 確かに言われてみれば、日常の中にもビジネスのタネがたくさんありそうですね。
完璧主義を捨てる「6ヵ月起業法」の極意
――新井さんが提唱されている「会社員のまま6ヵ月で起業する」方法について詳しく教えていただけますか?
新井:はい。この方法の核心は、完璧主義を捨てることです。多くの会社員の方は「ちゃんと準備してから」「完璧になってから」と考えがちですが、それでは永遠に始められません。
ステップ1:まずは身近な人に試してもらう(1〜2ヵ月目)
新井:いきなり不特定多数に向けてサービスを発表する必要はありません。まずは友人や同僚に「こんなサービスを考えてるんだけど、試してもらえる?」と声をかけてみる。これで需要があるかどうか、改善点はどこかが見えてきます。
ステップ2:小さく始めて改善を重ねる(3〜4ヵ月目)
新井:最初は月に数千円でも構いません。大切なのは「お金をもらってサービスを提供する」という経験を積むこと。この段階で、自分のサービスがどんな価値を提供できるかが明確になります。
ステップ3:仕組み化して安定化を図る(5〜6ヵ月目)
新井:ある程度形になってきたら、仕組み化を進めます。でも、まだ会社は辞めません。副業として安定した収入を得られるようになってから、独立を検討するのです。小さく始めて、徐々に本格化。これが一番リスクの少ない方法です。
――段階的に進めることで、リスクを最小限に抑えられるのですね。
絶対避けたい! 会社員が陥りがちなNGパターン
――逆に、失敗しやすいパターンはありますか?
新井:はい、私がこれまで見てきた「失敗パターン」をお伝えしますね。特に会社員の方が陥りやすい罠があります。
NGパターン1:資格取得に逃げる
新井:「まずは資格を取ってから...」この考え方は危険です。資格は信頼性を高める要素の1つではありますが、それだけでは稼げません。大切なのは資格ではなく、「実務経験×分かりやすい伝え方」です。
NGパターン2:完璧なビジネスプランを作ろうとする
新井:会社員の方は真面目なので、分厚い事業計画書を作りがちです。でも、小さなビジネスにそんなものは不要です。「やりながら修正する」これが起業の基本です。
NGパターン3:いきなり大きく稼ごうとする
新井:「月100万円稼ぐ方法」みたいな情報に飛びつくのは危険です。まずは月3万円、次に月10万円、そして月30万円...と段階的に成長していく。これが確実な方法です。
――確かに、会社員の方は真面目すぎて逆に動けなくなってしまうケースがありそうですね。
2025年こそ「普通」を武器にした起業を
――最後に、これから起業を考えている会社員の方へメッセージをお願いします。
新井:起業というと特別な才能が必要だと思いがちですが、実際は違います。あなたの会社員経験、人生経験、そして「普通の感覚」。これらすべてが立派な武器になるのです。2025年は、AIやデジタル化が進む一方で、「人間らしさ」「リアルな体験」の価値がより高まる年でもあります。完璧を目指さず、自分のペースで小さく始めてみてください。きっと景色が変わりますよ!
――新井さん、貴重なお話をありがとうございました!
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1,000人を超える。
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