起業アイデアの探し方は3つの視点で。考え方、発想方法や成功例について
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
「好きなこと=稼げる」の大きな落とし穴を回避せよ
――新井さん、今日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。「好きなことで起業する」という本を書かれた新井さんですが、実際に25年以上のキャリアカウンセリング経験の中で、多くの会社員の方を見てこられて感じることはありますか?
新井:こちらこそ、ありがとうございます。実は「好きなことで起業する」って、すごく誤解されやすい言葉なんですよ(笑)。多くの人が「好きなこと=情熱があるから成功する」と思い込んでしまう。でも、これは半分正解で半分間違いなんです。
――というと、どういうことでしょうか?
新井:確かに情熱は大切です。でも、情熱だけでは絶対にうまくいかない。私がこれまで支援してきた延べ60,000人の中で気づいたのは、成功する人は「好きなこと」を客観視できる人だということなんです。
――客観視というのは、具体的にはどのようなことでしょうか?
新井:例えば、先日もクライアントの会社員Aさんから「パン作りが趣味なんですが、これで起業できるでしょうか? 本当に稼げるのか不安で...」という相談がありました。こういう質問、本当に多いんですよ(笑)。
――確かに「好きなこと」と「ビジネスになること」は別物ですよね。
新井:そうなんです。パン作りが好きなら、「なぜパンが好きなのか?」「どんな時にパンを食べたくなるのか?」「自分のパンの何が特別なのか?」こういう質問に冷静に答えられる人が成功しています。逆に「パンが好きだから絶対売れる!」と思い込んでいる人は...まあ、察してください(苦笑)。
成功する起業家が実践する3つの鉄則
鉄則①:思想を武器にする
――新井さんが特に重要視されている「思想の力」について、詳しく教えていただけますか?
新井:これは何も哲学的な話ではなく、もっと実践的な話なんです。「なぜあなたがその事業をやるのか?」この答えが明確でない事業は、必ず行き詰まります。
――先ほどのパン作りの例で言うと、どのような違いがあるのでしょうか?
新井:「美味しいパンを作りたいから」これはダメな例ですね。「忙しい朝でも家族が笑顔になれる、手軽で栄養満点のパンを届けたいから」これが良い例です。この違い、わかりますか?
――後者の方が、誰に何を提供するのかが明確ですね。
新井:まさにその通りです。思想が明確だと、自然と共感してくれる人が集まってきます。そして、その人たちがあなたの最初のお客さんになるんです。しかも、思想を作るのにお金は1円もかからない。今すぐできる、最強の差別化戦略です。
鉄則②:180日間の小さな実験
――「でも、実際に売れるかどうかわからない」という不安を抱える方も多いと思うのですが、どのようにアドバイスされているのでしょうか?
新井:大丈夫です。180日あれば十分に可能性を見極められます。私が起業18フォーラムの会員さんたちに提案しているやり方があるんです。
――具体的にはどのような方法でしょうか?
新井:1~30日目は土台作り。事業の目的を明文化して、自分の強み・経験を棚卸しし、制約条件を整理する。31~90日目は小さく始める段階で、最小限の投資で試作品を作って身近な人に試してもらう。91~180日目で拡大可能性を検証するんです。
――なるほど。段階的に進めていくということですね。
新井:重要なのは「大きく失敗しない範囲で小さく試す」ことです。パンの例なら、いきなり店舗を借りるのではなく、まずは友人・知人に販売してみる。反応が良ければ地域のマルシェに出店してみる。これだけでも十分に事業の可能性は見えてきますよ。
鉄則③:コミュニティありきで考える
――3つ目の鉄則について教えてください。
新井:このAI時代、ノウハウを教えるだけじゃビジネスになりません。成功している人は、みんな「コミュニティ」を意識しています。
――コミュニティを意識するとは、どういうことでしょうか?
新井:単に商品・サービスを売るのではなく、「共通の価値観を持つ人たちの集まり」を作るということです。例えば、英語コーチングなら「外資系転職を目指す会社員コミュニティ」、料理教室なら「時短料理で家族を幸せにするママの会」といった具合に。
――商品ではなく、コミュニティから考えるということですね。
新井:はい。するとSNSでの発信も自然になるし、お客さんも「商品を買う」のではなく「コミュニティに参加する」感覚になります。結果として、リピート率も上がるし、口コミも広がりやすくなるんです。
今日からできる3つのアクション
――それでは実際に、今日からできることについて教えていただけますか?
新井:3つのアクションを提案します。まず1つ目は、あなたの「思想」を1言で表現してみること。2つ目は、その思想に共感してくれそうな人を5人リストアップすること。3つ目は、その人たちに1週間以内に話を聞いてみることです。
――シンプルですが、確実に前進できそうなアクションですね。
新井:これだけで、あなたの起業準備は確実に前進します。好きなことで成功するには、好きという感情と冷静な分析の両方が必要。でも、それができれば、会社員でも十分に「好きなことで起業」は可能です。
会社員の強みを活かした起業準備
――起業18フォーラムでは「会社員のまま起業」を推奨されていますが、これにはどのような意味があるのでしょうか?
新井:会社員には会社員の強みがあるんです。規則正しい生活リズム、安定した収入、社会的信用。これらを活かしながら、朝晩30分・リスクゼロで「稼ぐ力」を身に付けることができるんです。
――具体的にはどのような方法で進めていくのでしょうか?
新井:まずは小さく始めることです。通勤時間や昼休みの30分を「稼ぐ時間」に変える。クラウドワークスの簡単作業から始めたり、ココナラで相談サービスを提供したり。月3000円から始めて、段階的にステップアップしていく方法をお伝えしています。
――月3000円というのは、どのような意味があるのでしょうか?
新井:3000円は「心理的ハードル」として絶妙な設定なんです。ランチ代3日分という身近な金額でありながら、「自分で稼いだ」という達成感を十分に味わえます。実際に、月10万円に到達した方のほとんどが、その後4~5カ月で月100万円を達成しているんですよ。
同じ想いの仲間と協力し合う環境の重要性
――起業準備を1人で進めるのは大変だと思うのですが、どのようにサポートされているのでしょうか?
新井:起業18フォーラムには、正社員だったり、派遣社員だったり、子育て中だったり、休職中だったりと、様々な立場の方が日本全国各地、海外からも集まっています。数百人の仲間たちは、皆、立場もバックグラウンドも違いますが、叶える3つの夢は同じなんです。
――どのような夢でしょうか?
新井:理想の働き方と稼ぐ力を手に入れること。自分と家族を、もっと大切に、幸せにすること。同じ想いの仲間と協力し合う環境を手に入れること。これらの夢を実現するために、みんなで協力し合っているんです。
――1人ではしんどいことも、仲間がいると乗り越えられるということですね。
新井:まさにその通りです。誰だって最初はゼロの初心者から。でも、同じ想いの仲間がいれば、楽しみながら進んでいけます。情報過多で迷走しがちな現代だからこそ、シンプルに基礎をしっかり固めていくことが大切なんです。
――最後に、これから「好きなことで起業」を考えている会社員の方へメッセージをお願いします。
新井:まずは余計な情報を捨てて、シンプルに考えてください。情熱だけでなく、冷静な戦略も必要ですが、それができれば必ず道は開けます。起業18フォーラムで手に入るゴールは「会社をいつでも辞められる」「リストラも怖くない」「副業のまま続けたって構わない」そんな人生の「自由度」と「心のゆとり」です。同じ想いの仲間たちと一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう!
――今日は貴重なお話をありがとうございました!
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。
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