フリーランス1300万人時代の盲点! 「働けば働くほど疲れる」起業家が知るべき仕組み化の本質
物価高と老後不安で注目集まる副業市場
――新井さん、最近副業への関心がとても高まっていますが、その背景をどのように捉えていらっしゃいますか?
新井:そうですね。賃上げ幅を凌ぐ物価高や老後不安、そして自己実現への欲求など、複合的な要因があると思います。私のところにも、25年以上で延べ6万人以上の会社員の方から相談を受けてきましたが、ここ数年は特に切実な声が増えていますね。
――従来のアルバイトとは違うアプローチが求められているということでしょうか?
新井:まさにその通りです。手軽なスキマバイトは雇用契約になってしまうので、時間の制約が多いんです。それよりも、フリーランスとして活動を始めて、副業が順調に進展すれば独立も検討できる、そんな可能性を秘めた働き方を求める方が増えています。
「まずは小さく始める」が成功の鍵
――とはいえ、本業と家庭を両立しながらの副業は大変そうですが...
新井:本当におっしゃる通りです。仕事と家庭を両手に抱え、親を背負うような状況で「もうひと仕事」をこなすのは、思っている以上に骨が折れるものです。よほど好きなことや負担に感じない程度でなければ、1ヵ月も経たずに挫折してしまうでしょう。
――そこで重要になってくるのが、初期費用ゼロという条件ですね?
新井:はい。住宅ローンや子育て、退職金への不安など、資金面での制約がある方がほとんどですから。私がお勧めするのは、「まずは副業で小さく始め、自分の適性や環境に合った働き方を見つける。そして、見つけたら次に『自分の時間を使わない』仕組みを作る」というステップです。
SNS運用代行:スマホ1台から始める現代の必須スキル
――それでは具体的な副業についてお聞きします。まずSNS運用代行について教えてください。
新井:これは本当にお勧めしたい分野の1つです。単なるBot での自動投稿ではなく、クライアントそれぞれのビジネスをしっかり理解して、個別に対応する点がポイントなんです。
――どのような需要があるのでしょうか?
新井:近年シニア層の起業が増加しているものの、SNSの扱いに不慣れな方は少なくありません。今やSNSはスモールビジネスにとって欠かせないインフラですから、その影響力は無視できません。予約投稿とトレンドに合わせたリアルタイム投稿を使い分けて、クライアントの信用力向上や新たな顧客との出会いを創造していくんです。
――働き方の面でのメリットは?
新井:移動中でもスマホで実務が可能ですし、チームを組んで業務を外注化することもできるため、非常に柔軟な働き方が実現できます。これは会社員の方にとって大きな魅力ですね。
専門コンサルタント:あなたの経験が最大の武器
――2つ目の専門コンサルタントはいかがでしょうか?
新井:これはもっともシンプルな副業の1つです。これまでの仕事で培った知識や経験を、そのまま社会や他社のために活用するんです。人事、法務、プレゼン指導、資格試験教育、マーケティング、M&Aなど、どんな分野でも構いません。
――注意点はありますか?
新井:もちろん、競業避止義務や守秘義務を守り、所属企業に迷惑をかけないことが前提です。でも、慣れた仕事なのでメンタル面のハードルは低く、大きなミスが生じることもほとんどありません。
――将来性はいかがでしょう?
新井:これが素晴らしいところなんですが、ノウハウを動画やテキストにまとめて販売するなど、工夫次第で不労所得を得られる点が大きな魅力です。最初は知り合い相手に練習するだけでも、先につながる貴重な機会となります。
ハンドメイド作家:モノづくりを超えたブランド戦略
――3つ目のハンドメイド作家について詳しく教えてください。
新井:自分の作品をネットショップやマルシェなどで販売する副業ですが、多くの場合、大量生産が難しく、高額で売ることも困難なため、単純な物販では赤字に陥る可能性が高いんです。
――それでも推奨される理由は?
新井:成功するポイントは、単なる物販にとどまらず、ハンドメイド作家として自分自身をブランド化し、独自の世界観を発信してファンを育てることなんです。イベントやワークショップの開催など、多角的にサービスを展開していく。
――具体的な成功事例はありますか?
新井:私が主催する起業準備コミュニティ内でも、Instagram を活用して成功している事例が多く見られます。ハンドメイド商品の制作は、自分のペースでコツコツと進めることができ、趣味の延長として始めやすいため、楽しく収入を得られる点も大きな魅力ですね。
便利屋:高齢社会で高まる需要
――4つ目の便利屋はどのような内容でしょうか?
新井:高齢者の1人暮らしが増えるにつれて、日々の生活サポートの需要も高まっています。
- 庭の手入れ
- 家事代行
- 家具の組み立てや設置
- 電球交換
- スマホやパソコンの設定
- 飼い主と共に年齢を重ねるペットケア
これらは都会の独居シニアにとって必要不可欠なサービスなんです。
――特別なスキルは必要ですか?
新井:高度な専門スキルを要求されることはなく、軽い会話やお散歩の付き添いといったサービスも含まれます。マンションの老人会や地域コミュニティで「あの人は電話すれば何でもすぐ対応してくれる」と評判になれば、多くの方に利用してもらえるでしょう。
――やりがいの面ではいかがでしょう?
新井:人や地域に貢献できるやりがいのある副業です。仲間を募り、新人を教育できるようになれば、ビジネスとしての展開も視野に入ってきます。
AI関連教育:リスキリング需要を捉えた教育ビジネス
――最後にAI関連教育について教えてください。
新井:近年、AI技術の発展に伴い、子どもから中高年まで幅広い世代が、新しい知識やスキルを必要としています。プログラミングやデータ解析、デザインなど、生成AI関連のオンライン講座やワークショップを通じ、初心者でも安心して学べる環境を提供できれば、副業でも大きな成果を得ることができるでしょう。
――競合が多い分野だと思いますが、差別化のポイントは?
新井:まさにその通りです。課題は同業者の乱立で、トレンドに乗ったビジネスであるため、すでに多くのライバルが参入しています。いかに子どもたちに楽しんでもらえるか、中高年のプライドを守りながら前向きに取り組んでもらえるかなど、新進気鋭の若手エンジニアとの差別化が必要になるでしょう。
――将来性はいかがでしょう?
新井:教育系の副業は、テキストをブラッシュアップし続け、講師を養成することができれば、単なるセミナー副業から1歩抜け出し、民間資格ビジネスなどにも展開可能です。
副業から独立への道筋
――これらの副業を成功させるための共通点はありますか?
新井:いずれの方法も本業を続けながら少しずつ実績を積み、スキルを磨き、人脈を広げながら進めることができるのが大きなメリットです。最初は月に数万円の副収入をめざしていた人が、気づけば大きく飛躍し、堂々と独立しているケースをいつも見ています。
――読者の方へのアドバイスをお願いします。
新井:皆さんもぜひ、まずは初期費用ゼロでリスクを抑えつつ、熱意を注げるジャンルからトライしてみてはいかがでしょうか。重要なのは「小さく始めて、自分の時間を使わない仕組みを作る」こと。この2段階のステップを意識すれば、きっと道は開けると思います。
――ありがとうございました。
新井:こちらこそ、ありがとうございました。多くの方が副業を通じて新しい可能性を見つけられることを願っています。
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア25年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。現在、会社員を中心に、主婦、フリーランス、経営者など、独立起業・新規事業開発・マーケティング・海外進出を必要とするビジネスパーソンに向けてのセミナーや、自身が運営する起業準備サロン(起業18フォーラム)の受講者は年間のべ1000人を超える。



