三菱電機も! 黒字リストラ時代に会社員が知るべき53歳の壁と起業準備術
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
はじめに
今回は、起業18フォーラム代表として延べ6万人超の会社員の起業をサポートしてきた新井一さんにお話を伺いました。テーマは「最初の30日が大事! 起業準備でやるべき『テッパン』行動」について。会社員時代から事業を始めた新井さんならではの実践的なアドバイスをお聞きしました。
なぜ「最初の30日」がそんなに重要なんですか?
新井さん、今日はよろしくお願いします!まず素朴な疑問なんですが、なぜ起業準備の「最初の30日」がそんなに大事なんでしょうか?
新井:よろしくお願いします! これはですね、僕が1万人以上の会社員の方を見てきた中で気づいたことなんです。起業に成功する人と、結局行動に移せずに終わってしまう人の差って、実は最初の1ヵ月で決まってしまうんですよ。
それは興味深いですね。具体的にはどんな違いがあるんですか?
新井:成功する人は、最初の30日で「考える」から「行動する」にシフトチェンジできるんです。一方で、うまくいかない人は延々と情報収集を続けてしまう。「もう少し勉強してから」「もう少し準備ができてから」って言い続けて、結局何も始まらないんです。
「どうせ上手くいかないから安心してやってください」
新井さんの本を拝読して、「どうせ上手くいかないから安心してやってください」という言葉が印象的でした。これはどういう意味なんですか?
新井:(笑)これ、よく驚かれるんですけど、僕の本音なんです。起業って最初から完璧にいくものじゃないんですよ。僕だって最初の売上は4,500円でした。でも、みんな最初から大成功しなきゃいけないと思い込んでいるから行動できない。
最初は失敗して当然だと思えば、気楽に始められるじゃないですか。そして小さく始めて、徐々に改善していけばいいんです。
起業に向かない人、向いている人の特徴
新井さんの経験から、起業に向かない人の特徴ってありますか?
新井:はい、これははっきりしています。
- すぐお金が欲しい人
- 楽して儲けたいと思っている人
- 今の会社に満足している人
- 「上手くいったら起業したい」と言う人
- 大企業で偉そうにしている人(プライドが邪魔になる)
- 今の自分、会社、日本がこのまま安泰だと思っている人
逆に、起業に向いている人の特徴は?
新井:これも明確にあります。
- 自分で自由に働きたい人
- 思いやりがある人
- 今のままではまずいと思っている人
- 出世しなかった人(処世術などが苦手)
- 不器用な人
- 先輩に可愛がられることが多い人
意外かもしれませんが、会社で出世できなかった人の方が起業に向いているんです。なぜなら、組織の論理よりも、お客様のことを考える傾向があるからです。
気にしなくていいもの、気にしなくてはいけないもの
起業準備で「気にしなくていいもの」があるそうですが?
新井:そうです。多くの人が心配しているけど、実は気にしなくていいものがあります。
- スキルがない
- お金がない
- 自信がない
- アイデアがない
特にアイデアについては、全ての人が既に持っているんです。スキル、人脈、地縁、家業、経験、教育…これらを使って普段生活しているわけですから、それを商品化すればいいだけなんです。
では逆に、気にしなくてはいけないものは?
新井:これは3つです。
- 時間がない
- 体調が悪い
- 周囲の反対
この3つがクリアできていないと、起業準備は難しいですね。特に時間の確保は重要です。
成功者が最初にやっている「3つの分析」
起業に成功した人の初動について、「3つの分析」というのがあるそうですね?
新井:はい、これは僕が多くの成功者を見てきて共通していることです。
1. 自己分析
新井:まずは自分を知ることです。
- 好きなこと・場所・時間
- 得意なこと
- 嫌いなこと・場所・時間
- やりたいこと
- 嫌な働き方
- 理想の働き方
2. 時代分析(上りエスカレーターを探す)
新井:これは時代の流れを読むということです。
- 増えるもの/減るもの
- 好かれるもの/嫌われるもの
- 法律の変化
- 技術の変化
- 大企業の変化
上りエスカレーターに乗るというのは、時代の流れに沿ったビジネスを選ぶということです。下りエスカレーターで頑張るより、上りエスカレーターでちょっと頑張る方が楽に成功できますからね。
3. リスク分析
新井:現実的なリスクを把握することです。
- 起業のために使える自己資金
- 初期費用
- 月々費用
- 借り入れ
- 時間
- 生活の変化
具体的な30日のスケジュール
具体的に、30日をどう使えばいいんでしょうか?
新井:1週間ずつ区切って考えるのがポイントです。
第1週:決意と目的
新井:まずは覚悟を決めることです。
- 決意と目的を明確にする
- 3つの分析を開始する
- アイデアリサーチを始める
第2週:分析の継続と人間関係の整理
- 3つの分析を継続する
- アイデアリサーチを続ける
- 人間関係の可視化(誰が応援してくれるか、反対するか)
第3週:情報の断捨離
新井:ここが重要なんです。
- 情報の断捨離(不要な情報収集をやめる)
- ドリームキラーとの距離を置く
- 生活ログ(時間の使い方を記録)
第4週:カタチから入る
新井:最後は「カタチから入る」ことです。
- 銀行口座の開設
- クレジットカードの準備
- 名刺の作成
「カタチから入る」というのは面白いアプローチですね?
新井:そうなんです。起業家としてのアイデンティティを作るんです。名刺を持つだけで、「自分は起業家だ」という意識が芽生えます。これが行動を促進するんです。
実際の行動に移すためのアドバイス
過去にセミナーを受けた方で、まだ情報収集している方もいらっしゃると思うんですが、どんなアドバイスをされますか?
新井:(笑)よくあるパターンです。「まだ情報収集中ですか…?」って聞きたくなりますね。僕からのアドバイスは明確です。2週間以内に「行動」を起こしましょう! 情報収集はもう十分です。完璧な準備なんて存在しません。まずは小さくてもいいから始めることです。
具体的にはどんな行動から始めればいいでしょうか?
新井:まずは今回お話しした3つの分析から始めてください。特に自己分析は1日あればできます。ノートに書き出すだけです。
そして、身近な人に「起業を考えている」と言ってみてください。これだけでも大きな一歩です。
成功のために大切なこと
最後に、起業準備で一番大切なことは何でしょうか?
新井:これは間違いなく「会社員を辞めない」ことです。
- やりたい人だけやる
- 好きなことをする
- 嫌いなことをしない
- カタチから入る
- その中の上りエスカレーターに乗る
- 考えない
- 調べる(データ)
- 会社員を辞めない
会社員のまま小さく始めて、軌道に乗ってから独立する。これが一番安全で確実な方法です。
貯金についても重要だとお聞きしましたが?
新井:そうですね。実際に起業した方々からのアドバイスでも、「貯金しておけ」という声が多いんです。最低でも200万円程度は用意しておいた方がいいでしょう。心の余裕が全然違いますから。
でも、貯金ができるまで待つ必要はありません。会社員のまま始めれば、収入を確保しながら事業を育てることができます。
まとめ
今日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、これから起業を考えている会社員の方にメッセージをお願いします。
新井:起業は特別なことではありません。「生き方の選択肢を増やし、モヤモヤしない人生を創る」ための手段の一つです。
最初の30日で人生が変わります。完璧を目指さず、まずは小さく始めてみてください。どうせ最初は上手くいかないんですから、安心して挑戦してくださいね(笑)。そして、一人で悩まずに、同じ志を持つ仲間を見つけることも大切です。起業18フォーラムでも、多くの会社員の方が起業準備を進めています。ぜひ一歩を踏み出してみてください。
新井さん、今日は本当にありがとうございました!
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