人生100年時代を生き抜く!40代からの「生涯現役起業」とは?~起業18フォーラム代表・新井一氏との対談~

新井一

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テーマ:起業

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

「黒字リストラ」は他人事じゃない!激動の時代をどう生き抜くか?

「まさか自分がリストラの対象になるとは思わなかった」

近年、「黒字リストラ」という言葉をよく耳にするようになりました。企業が業績好調であるにもかかわらず、人件費削減や事業再編のために社員を削減する動きが、特に中高年層に影を落としています。さらに、AIの台頭による業務の自動化や、若手の初任給アップによって50代の給料が相対的に下がるという現象も顕著になってきました。

このような激動の時代において、私たち40代はどのようにキャリアを築き、人生100年時代を「生涯現役」として生きていけばいいのでしょうか。今回は、会社員を対象に延べ6万件以上の会社員から起業相談を受け、多くの独立を支援されてきた「起業18フォーラム」代表の新井一さんに、このテーマについてお話を伺いました。

「何をしたいか分からない」が、最高のスタートライン?

新井一新井さん、今日はよろしくお願いいたします。早速ですが、会社を取り巻く環境が大きく変化する中で、40代・50代が今後を考えていく上で、起業はどのような選択肢になり得るのでしょうか?

新井:はい、よろしくお願いします。まさに今、お話しいただいたように、かつては盤石と思われていた大企業でも「黒字リストラ」が行われる時代です。年功序列賃金が見直され、20代の初任給が上がる一方で、50代の給料が下がるという逆転現象も起きています。このような状況下で、会社だけに依存する働き方は非常にリスクが高いと言わざるを得ません。だからこそ、会社に頼らず、自分自身で「稼ぐ力」を身につけることが、生涯現役でい続けるための重要な鍵となります。

具体的に「稼ぐ力」を身につけるとなると、「何をしたらいいか分からない」という方も多いと思うのですが、新井さんの元にはそういった相談も多いのでしょうか?

新井:ええ、非常に多いですね。「何か始めたいけれど、具体的なアイデアがないんです」という方がほとんどです。でも、私はそれでいいと思っています。むしろ、「これをやりたい!」と最初から明確なビジネスモデルを持っている人よりも、色々な可能性を模索できる分、「何をしたいか分からない」という状態の方が、起業のスタートラインとしては最適だと考えています。

それはなぜでしょうか?

新井:最初から固まったアイデアがあると、そこに固執してしまいがちだからです。しかし、起業において大切なのは、自分の強みや経験を活かしつつ、市場のニーズと結びつけることです。私たちは「会社員卒業プロジェクト」という18ヶ月のプログラムで起業支援を行っていますが、最初の6ヶ月間は特に、徹底的な自己分析とビジネスアイデアの創出に時間をかけます。この期間に、自分の「好き」や「得意」が、世の中でどんな価値を提供できるのか、様々な角度から深掘りしていくんです。

最小リスクで始める「2足のわらじ」戦略

起業18フォーラム会社を辞めて起業となると、やはりリスクが伴います。その点についてはいかがでしょうか?

新井:もちろん、いきなり会社を辞めて起業するのはリスクが高いです。だからこそ、私たちは「2足のわらじ」での起業を強く推奨しています。つまり、会社員として安定した収入を得ながら、並行して起業準備を進めていくということです。私の著書『働きながらリスクゼロで小さく稼ぐ 朝晩30分好きなことで起業する』にも詳しく書きましたが、無理のない範囲で、例えば朝晩の30分や休日の時間を使って、小さくビジネスをスタートさせることから始めるのが理想的です。

具体的には、どのように「2足のわらじ」で起業を進めるのですか?

新井:はい。「会社員卒業プロジェクト」の最初の6ヶ月は、主にインプットと準備期間です。会員限定の70本のメール講座で起業の基礎を学び、自己分析やビジネスアイデアの発想を深めます。同時に、定期的な勉強会を通じて、他の参加者との交流や、私からの直接的なフィードバックを受けながら、自身のビジネスプランを具体化していきます。例えば、「アイワーク」では、まだぼんやりとしたアイデアでも形にするためのワークショップを行いますし、「いきなり勉強会」では、集客の具体的なノウハウをお伝えします。あれこれ試しながらビジネスモデルを明確にし、導線の設計をコツコツ始めていきます。

「稼ぐ力」を身につけるための3つのチカラ

新井さんの著書には「知」「人」「金」の3つのチカラを高めることが重要だとありました。これらは起業においてどのように作用するのでしょうか?

新井:起業を成功させるためには、この3つのチカラをバランス良く高めていくことが不可欠です。

  • 「知」のチカラ:これは「情報収集力」と「自己分析力」ですね。世の中の動向や市場のニーズを把握するだけでなく、自分自身の強み、経験、情熱がどこにあるのかを深く掘り下げて知ることが重要です。私たちは、この「知」のチカラを高めるために、具体的なワークやフレームワークを提供し、徹底的に自分と向き合ってもらいます。例えば、「経験の棚卸し」や「価値観の明確化」を通じて、ビジネスの種を見つける手助けをします。
  • 「人」のチカラ:「人脈」ももちろん大切ですが、それだけではありません。起業仲間との「共感できるつながり」、そして「ドリームキラー」とどう向き合うかといった「人間関係のマネジメント力」も含まれます。一人で抱え込まず、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨し、また、あなたの夢を否定する人からどう身を守るか、これも重要な「人」のチカラなんです。フォーラムの勉強会や交流会が、まさにこの「人」のチカラを育む場になっています。
  • 「金」のチカラ:「資金力」ももちろんですが、それ以上に「資金を管理する力」「投資する力」が問われます。必要であれば少額の融資を受けるための事業計画書の作り方、そして得た利益をどう再投資していくか、といったお金を「生かす」ための知識とスキルが求められます。私たちは、最小限のリスクで始める方法をお伝えしているので、まずは大きな資金がなくても始められることを理解していただきます。

この3つのチカラを段階的に、かつ着実に高めていくことで、どんな方でも「稼ぐ力」を身につけ、会社に依存しない「生涯現役」を実現できると信じています。

AI時代だからこそ、人間が提供できる「価値」を見つける

起業18フォーラムAIの台頭で多くの仕事がなくなると言われています。このAI時代において、40代・50代が「生涯現役」であるために必要なことは何でしょうか?

新井:AIの進化は目覚ましいものがありますよね。確かに、単純作業やデータ分析など、AIが人間よりも効率的にこなせる仕事は増えていくでしょう。しかし、だからこそ、人間がAIに代替されない「独自の価値」を見つけることが重要になります。それは、感情を揺さぶるコミュニケーション、創造性、複雑な問題解決能力、そして何よりも「人間らしさ」です。

起業という観点からすると、具体的にどういった価値になるのでしょうか?

新井:それは、その人自身の「経験」や「人柄」に紐づくものです。AIがどれだけ進化しても、その人自身の人生経験からくる深い洞察や、人との温かい繋がり、共感を呼ぶストーリーは代替できません。例えば、長年培ってきた業界の経験や専門知識を活かしてコンサルティングを行う、趣味や情熱を活かしてコミュニティを運営する、といったことです。AIが効率化する部分をうまく活用しつつ、人間だからこそ提供できる付加価値を追求することで、生涯現役として活躍できるフィールドはいくらでも広がると考えています。

なるほど。これからの時代は、会社に「守ってもらう」という意識ではなく、自ら「稼ぐ力」を身につけ、変化に対応できる柔軟性を持つことが何よりも大切なのですね。新井さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

新井:こちらこそ、ありがとうございました。40代からの起業は決して遅いスタートではありません。むしろ、これまでの経験と知識を活かせる絶好のタイミングです。一歩踏み出す勇気さえあれば、きっと新しい未来を切り開けますよ。

編集後記

新井さんのお話からは、現代社会が抱える雇用問題への深い洞察と、それに対する具体的な解決策としての「生涯現役起業」の可能性が強く伝わってきました。特に、「何をしたいか分からない」から始めるという逆転の発想や、「2足のわらじ」でのリスクヘッジ、そして「知」「人」「金」の3つのチカラをバランス良く高めるという体系的なアプローチは、漠然とした不安を抱える40代・50代にとって、まさに羅針盤となるのではないでしょうか。AI時代だからこそ、人間ならではの価値を見出し、自律的にキャリアを築いていくことの重要性を改めて感じました。

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専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

起業18フォーラムを運営。会社員向けに特化した〝再現可能〟な起業ノウハウで、25年間で延べ6万人の起業を支援してきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛けている。会社員のまま起業する方法を伝授するプロ。

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