【仕事の人間関係相談ホットライン】内向的性格の原因と、生き辛さから楽になる方法
起業家インタビュー（聞き手：新井一＠起業18フォーラム）
多くの企業がDX（デジタルトランスフォーメーション）の重要性を認識し、取り組みを始めている一方で、思うような成果を上げられずに悩んでいる企業も少なくない。特に中堅中小企業においては、IT に対する苦手意識や、DXの本質的な理解不足が大きな障壁となっているケースが多い。
今回は、中堅中小企業向けのDX支援を手がけるシンビズ代表の土谷伸司さんに、DX推進における課題と解決策について伺った。ITスキル偏重からの脱却、組織のITリテラシー向上、そして「ITが苦手」という思い込みの解消まで、現場の最前線で感じている課題と、実践的なアプローチについて語っていただいた。
DXの本質を見失った企業が陥る「デジタル目的化」の罠
シンビズ代表 土谷伸司氏
新井：本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。土谷さんは中堅中小企業向けにDX支援をされていますが、現場でどのような課題を感じていますか？
土谷：ありがとうございます。実は多くの企業がDXに力を入れているとおっしゃるんですが、実際に現場を見てみると、ITに対する苦手意識が大きな阻害要因になっているケースが本当に多いんです。
新井：具体的にはどのような状況なのでしょうか？
土谷：一番多いのは、DXにおけるD（デジタル）がX（変革）の手段に過ぎないという本来の意味を理解せずに、デジタル自体が目的になってしまっているパターンですね。「とりあえずITツールを導入すれば何とかなる」といった感じで、取り組みが停滞してしまう。そういった課題について、クライアント企業から相談を受けることも本当に多いです。
DX人材への誤解が生む新たな課題
ITスキル偏重からの脱却
新井：DXの推進役となるDX人材についても課題があるとお聞きしました。
土谷：そうなんです。DX人材というと、どうしてもITスキルが高い人材として認識されすぎる傾向があるんですよね。でも実際は、ITが日々使いやすくなっていることに加えて、生成AIの浸透により、DX人材に求められる要件は大きく変化しているんです。
新井：具体的にはどのようなスキルが重要になってきているのでしょうか？
土谷：一般的に想像されるITスキルやデータ活用能力のほかに、実は次のようなスキルが重視されているんです。
- プロジェクト管理能力
- コミュニケーション能力
- 課題発見能力
- リーダーシップ
- 倫理観とガバナンス意識
特に注目すべきは、ITエンジニアの代表的スキルであるプログラミングは、今や生成AIが得意な領域でもあるということです。つまり、技術的なスキルよりも、むしろ人間的なスキルの方が重要になってきているんですね。
組織のITリテラシー向上が鍵
新井：とはいえ、組織全体のITリテラシーも重要ですよね？
土谷：まさにその通りです。DXを進める組織にとって、ITリテラシーを高めることは非常に重要です。私はITリテラシーを次の3つに分解して考えているんです。
- ITで何をできるか知っている
- 自分がやりたいことを知っている
- ITを使ってやりたいことを実現できる
新井：3番目はITスキルですが、1番目と2番目は少し違いますね。
土谷：そうなんです。実は1番目と2番目は、ビジネスパーソンとして本来備えていてほしいスキルなんです。特に生成AIを使いこなす場合には、やりたいことを実現する段階で、指示文として言語化することが重要になってきます。
ビジネススキルの重要性は言うまでもありませんが、同時に組織全体のITリテラシー向上も不可欠です。ただ、ITリテラシーを高めようとすると、従業員のITへの苦手意識が大きな阻害要因となってしまうんです。
「ITが苦手」は思い込み？シニアミドル層の可能性
新井：ITへの苦手意識について、もう少し詳しく教えていただけますか？
土谷：これは私が現場で強く感じていることなんですが、ITへの苦手意識は思い込みに起因していることが多いんです。DXプロジェクトの中核的メンバーでなくても、ITへの苦手意識があると、取り組みに積極的に参加できない。
実は、DXがうまくいっているとメディアで紹介される超大手企業であっても、従業員の多くがITに苦手意識を抱いており、苦労しているのが現実なんです。
新井：苦手意識の根本原因は何なのでしょうか？
土谷：興味深いことに、ITが苦手だという人に「なぜ苦手なのか？」と聞いても、何が根本原因なのか言い表せないことが多いんです。漠然と恐れを抱いているとか、過去の嫌な経験を思い出させるといった、具体性に欠ける回答が返ってくることがほとんどですね。
新井：それを解消するにはどうすればよいのでしょうか？
土谷：重要なのは組織的な支援体制です。頑張った人が評価されること、失敗が許容されることに加え、予算など組織的な支援体制も重要な要素となります。
特に私が注目しているのは、主に50歳以上の、業務をよく知っているシニアミドル層なんです。年齢ゆえの知的生産性の低下を受け入れ、ITが苦手であることは当然としがちですが、これも思い込みなんですよね。マインドセットを変えることで、組織の力を大きく伸ばすことにつながると確信しています。
組織を動かす「Quick Win」戦略
新井：そういった状況で、土谷さんはどのような支援を行っていますか？
土谷：私は、しっかりと取り組みを進める支援を自らのミッションとしています。特に力を入れているのは、ITが得意でないと思われているチームに、小さくて素早い成果（Quick Win）を達成させることです。
新井：Quick Winのアプローチについて、もう少し詳しく教えていただけますか？
土谷：Quick Winを達成させて、それを組織内外に周知することを通じて、改革の機運を高めることに注力する場合が多いですね。小さな成功体験の積み重ねが、最終的には大きな変革につながっていくんです。
特に「ITが苦手」と思い込んでいる方々に成功体験を提供することで、「案外できるじゃないか」という自信を持ってもらう。これが組織全体のマインドセット変革の出発点になるんです。
新井：後に、DXに取り組む企業へのメッセージをお願いします。
土谷：DXは決して難しいものではありません。デジタルは手段であり、目的は変革です。そして、その変革を支えるのは技術ではなく、人なんです。まずは「できない」という思い込みを捨てて、小さな一歩から始めてみてください。必ず道は開けると思います。
新井：本日は貴重なお話をありがとうございました。
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