【セルフ易占フォーラム】易占で「自分を信じる力」を育む
起業家インタビュー(聞き手:新井一@起業18フォーラム)
今回は、YouTubeチャンネル「貨物ジャーナル」を運営し、鉄道貨物の魅力を発信し続ける貨物ジャーナルさんにお話を伺いました。
はじめに:なぜ今、鉄道貨物輸送が注目されるのか?
現代社会において、物流は私たちの生活を支える不可欠なインフラです。しかし、その裏側では環境問題、ドライバー不足、災害リスクなど、様々な課題が山積しています。特に、地球温暖化対策としてのCO2排出量削減や、2024年問題に象徴されるトラックドライバーの労働環境改善は、社会全体で取り組むべき喫緊の課題として認識されています。
こうした中で、改めて注目されているのが鉄道貨物輸送です。単なる輸送手段としてだけでなく、これらの社会課題を解決する糸口として、その役割が再評価されています。
貨物ジャーナルさんのご紹介
鉄道ファンから物流業界の伝道師へ
新井:貨物ジャーナルさん、本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。まずは、貨物ジャーナルさんの活動についてご紹介いただけますでしょうか?
貨物ジャーナル:はい、ありがとうございます。YouTubeチャンネル「貨物ジャーナル」を運営しております。主な活動は、鉄道貨物輸送の魅力を発信することです。元々は鉄道ファンだった私が、物流業界の重要性に気づき、この素晴らしい輸送手段をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いで始めました。
- 主なコンテンツ:鉄道貨物の走行シーン、車両紹介、貨物駅の紹介、そして業界関係者との対談など、多岐にわたります
- 視聴者層:鉄道ファンの方はもちろん、物流業界の方々、そして一般の方々にもご覧いただいています
新井:素晴らしいですね。個人の深い興味が社会的な認識へとつながり、それが情報発信の強い動機付けとなっているのが伝わってきます。
鉄道貨物輸送の多角的な「大切さ」
環境負荷低減への貢献
新井:では、早速ですが、鉄道貨物輸送の「大切さ」について、具体的な側面から深掘りしていきましょう。まずは、環境面からはいかがでしょうか?
貨物ジャーナル:はい。環境面での貢献は、鉄道貨物輸送の最大の強みの1つですね。トラック輸送と比較すると、CO2排出量は約1/13に抑えられます。これは非常に大きな数字です。
新井:1/13ですか! 改めて聞くと驚異的な数字ですね。環境意識が高まる中で、企業がサプライチェーン全体のCO2排出量削減に取り組む上で、鉄道貨物輸送の活用は不可欠になってきています。
貨物ジャーナル:その通りです。CO2だけでなく、NOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)の排出量も少ないため、大気汚染の抑制にも貢献します。さらに、輸送エネルギー消費量もトラックの約1/8と、非常に効率的です。
新井:こうした環境メリットを考えると、国が推進する「モーダルシフト」(輸送手段をトラックから鉄道や船舶に転換すること)の重要性が改めて浮き彫りになりますね。
貨物ジャーナル:まさにその通りです。環境負荷の低減は、企業のCSR(企業の社会的責任)だけでなく、持続可能な社会を実現するための喫緊の課題です。鉄道貨物輸送は、その解決策の大きな柱となり得ます。
物流の安定性と効率性
新井:環境面だけでなく、物流の安定性や効率性という点でも、鉄道貨物輸送は非常に優れていますよね?
貨物ジャーナル:はい。例えば、26両編成の貨物列車は、約65台の大型トラックに相当する貨物を1度に輸送できます。これは、大量の貨物を効率的に、そして安定して運ぶ上で非常に大きな強みです。
新井:まさに「1度に大量に運ぶ」という点で、輸送効率が格段に上がりますね。さらに、高速道路の渋滞に左右されず、定時運行が可能である点も、サプライチェーンの計画性を高める上で重要です。
貨物ジャーナル:おっしゃる通りです。特に、近年深刻化しているトラックドライバー不足や、2024年問題で顕在化する労働時間規制といった課題に対して、鉄道貨物輸送は有効な解決策となり得ます。長距離輸送を鉄道が担うことで、トラックドライバーは短距離輸送に集中でき、労働環境の改善にも繋がります。
新井:なるほど。これは単に「効率的」というだけでなく、物流業界全体の持続可能性を考える上で、非常に重要な役割を担っているということですね。
経済的メリットと社会インフラとしての役割
新井:環境面、効率面に加えて、経済的なメリットや、社会インフラとしての役割も大きいですよね?
貨物ジャーナル:はい。特に長距離輸送においては、トラック輸送に比べてコスト効率が良い場合が多いです。燃料費や人件費の変動リスクを抑えられるメリットもあります。
新井:なるほど。初期投資やリードタイムの課題はあるものの、長期的視点で見れば、コスト面での競争力は大きいと。
貨物ジャーナル:そして、忘れてはならないのが、災害時の強さです。地震や豪雨などで道路が寸断されても、鉄道は比較的早く復旧し、代替輸送ルートを確保できるケースが多いです。東日本大震災の際も、鉄道貨物が物資輸送に大きな役割を果たしました。
新井:それは企業にとって、事業継続計画(BCP)を考える上で非常に重要な要素ですね。有事の際にサプライチェーンが途絶えないことは、企業の存続にも直結します。
ここで、鉄道貨物輸送とトラック輸送の主な比較点をまとめた表をご覧ください。
- CO2排出量:鉄道貨物はトラックの約1/13
- エネルギー消費量:鉄道貨物はトラックの約1/8
- 1度に輸送できる貨物量:26両編成で大型トラック約60台分
- 定時性:渋滞に左右されず定時運行が可能
- 災害時の復旧力:比較的早く復旧し、代替ルート確保が可能
- ドライバー必要数:長距離輸送を効率化し、必要数を削減
貨物ジャーナルさんが語る「鉄道貨物の魅力と課題」
YouTubeチャンネル運営の裏側
新井:ここまで鉄道貨物輸送の多角的な「大切さ」について伺ってきましたが、貨物ジャーナルさんは、その魅力をどのように発信されているのでしょうか?
貨物ジャーナル:私のチャンネルでは、鉄道貨物が持つ「力強さ」と「緻密さ」、そして「社会を支える縁の下の力持ち」としての魅力を伝えたいと思っています。単に列車が走る姿だけでなく、その背後にある物流の仕組みや、そこで働く人々の情熱も紹介することで、より深い理解に繋がると信じています。
新井:それは素晴らしい視点ですね。単なる「モノを運ぶ」だけでなく、その「物語」を伝えることで、多くの人の心を掴んでいるのでしょうね。視聴者の反応はいかがですか?
貨物ジャーナル:おかげさまで、視聴者の方々からは「鉄道貨物輸送の重要性を初めて知った」「物流業界に興味を持った」といった嬉しいコメントを多数いただいています。特に、若い世代からの反響も大きく、将来の業界を担う人材育成にも貢献できていると感じています。
業界の現状と未来への展望
新井:貨物ジャーナルさんの活動が、業界の未来を拓いているのですね。では、現在の鉄道貨物業界の状況と、今後の展望について、率直なご意見をお聞かせいただけますか?
貨物ジャーナル:正直なところ、鉄道貨物の輸送量は、鉄道貨物の輸送量は、2000年と比較して2019年には約40%減少しています。これは、トラック輸送の利便性や柔軟性、そして輸送コストやリードタイム、柔軟性の課題が背景にあると考えています。
新井:なるほど、メリットが多い1方で、そうした課題も抱えているのですね。この点は、率直に議論すべき重要なポイントです。
貨物ジャーナル:しかし、JR貨物さんも手をこまねいているわけではありません。IoTやAI、データ活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進し、輸送効率の向上に取り組んでいます。例えば、列車の運行状況をリアルタイムで把握し、より最適な運行計画を立てるような取り組みも進んでいます。
新井:それは心強いですね。DXは、鉄道貨物輸送が抱える「柔軟性」や「リードタイム」の課題を克服する鍵となりそうです。
貨物ジャーナル:また、若手社員の育成や技術継承にも力を入れています。私のチャンネルのような外部からの情報発信も、この1助となれば幸いです。
新井:輸送量の減少という課題を乗り越え、鉄道貨物輸送のさらなる発展のために、どのような点に注力すべきだとお考えですか?
貨物ジャーナル:やはり、「物流の全体最適」という視点が重要だと思います。鉄道単体でなく、トラックや船舶との連携を強化し、シームレスな複合1貫輸送を実現すること。そして、顧客ニーズに合わせた柔軟なサービス提供が不可欠です。また、ゼロエミッション化や再生可能エネルギーの活用といった、より高次の環境目標への挑戦も期待されます。
新井:まさに、鉄道貨物輸送が「選ばれる」ための戦略ですね。
対談を終えて:鉄道貨物が描く持続可能な未来
新井からのメッセージ
新井:貨物ジャーナルさん、本日は大変貴重なお話をありがとうございました。鉄道貨物輸送の多角的な「大切さ」を改めて認識することができました。
今回の対談を通じて、鉄道貨物輸送が単に「大量のモノを運ぶ手段」に留まらず、地球環境の保全、物流の安定化、そして災害時の社会インフラとして、私たちの生活と経済活動を根底から支える、極めて重要な存在であることを再確認いたしました。
特に、2024年問題に代表される物流業界の構造的な課題に対し、鉄道貨物輸送が具体的な解決策を提供できる可能性に、大きな希望を感じています。
読者の皆さまへ
貨物ジャーナル:新井さん、こちらこそありがとうございました。鉄道貨物輸送は、まだまだ多くの可能性を秘めています。私たちのチャンネルを通じて、より多くの方にその魅力と重要性を知っていただき、「物流は社会の血液」という意識が広がることを願っています。
新井:読者の皆様には、今回の対談を機に、普段目にする貨物列車や、その背後にある物流の世界に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。そして、持続可能な社会の実現に向けて、鉄道貨物輸送が果たす役割に、ぜひご注目ください。
貨物ジャーナルさんのような存在が、その魅力を広く発信し、業界の未来を切り拓いていることに深く感謝申し上げます。
【貨物ジャーナルさん著書】貨物列車 探究読本
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