法人記念品の王道アイテムは?昭和の終わりに誕生していた賜物
時代遅れの最強アナログ。不思議な人気の記念品「後編」
職人の「革巻きボールペン」編
最強のアナログ記念品
実はもうずいぶん前から、このような時代遅れの古いアイテムは削除した方が良いと勝手に考えていた記念品がありました。ところが、近年になりじわじわと人気が上昇。
数多くの法人記念品の中でも最強のアナログ製品「革巻きボールペン」です。ゼブラの既製ボールペンに一本一本、職人が丁寧に革を巻いて作ります。
さらに革で作られた頭のキャップが、アナログ感の強さを醸し出します。昔、子供時代に鉛筆ぼうしというものをお使いになった記憶はないでしょうか。
あの感覚と同様、ノック式ではなくわざわざキャップを外して使う革巻きのボールペン。クリック一つ、タップ一つで全てが完結するこの時代に逆らうように、この不便なアイテムが法人記念品に選ばれているのです。
東京都心の企業から
しかもオーダーは、割と東京都心の企業からいただいているというのも興味深いところです。会社記念品として、またイベントやパーティに来ていただいたクライアントへのお土産としての用途がメインです。一流企業のリーダーたちが、あえて手間のかかるアナログな記念品を、自社の大切な顧客への贈答に選んでいるのです。
職人手作りの、本当に素朴な品物です。いわゆるハイスペックでも、時代を先取りした製品でもない、「誰が、どう作ったか」が見えるプロダクトを手に持つことに意味と価値を持つ時代であることを考えさせられます。
誰よりもスピードと効率を重視し、第一線で活躍するビジネスエリートたちは、スペックで選ぶフェーズを終え、背景で選ぶフェーズにいるともいえるでしょうか。
工場での微笑ましいひと時
ある時、革小物の提携工場にお客様(企業のご担当者の方々)をご案内したことがあります。
その際、工場からのお土産にこの革巻きボールペンのサプライズプレゼントがありました。お客様は大変喜ばれ、手にしたボールペンのキャップを何度も取ったり付けたりと、まるで小学生のような無邪気なお姿。
「よろしければ、今日参加できなかった担当者の方々へのお土産にもどうぞ」と数本お見せすると、「いいんですか?!では〇〇と〇〇と、〇〇の分も・・・」と手に取られ、本当に微笑ましい光景でした。
同じ現場に本物の職人たちが居るという背景も功してか、革巻きボールペンの価値を、お客様の姿から感じ取れた基調な時間でした。また同時に、職人が丹精込めて作り上げたその一本は、お客様との豊かなコミュニケーションを与えてくれる信頼のツールであることも学びました。
ある意味、不便さは贅沢
廃盤にしようとさえ考えていたこの革巻きボールペンを、今さらながら使ってみました。そう、キャップを外して使うのです。秒を争うような忙しい時には絶対不向きだと先入観を持っていましたが、意外にそうではありませんでした。そもそも秒を争う瞬間にボールペンでモノを書くという行動はあり得ないですよね。
手に優しく馴染み、しっとりとした温度感がありキーボードの無機質な打鍵感とは対照的です。ノック式のスマートペンにはない味わいがあり、ひと文字ひと文字、なぜか普通のペンの時よりゆっくり丁寧に書いていました。気がつけば、そばにはPCではなくコーヒーを置いていました。ちょっとひと呼吸おくという、心のゆとり。
非効率を超えた、その先に在るものの価値。ある意味、不便さは一つの「贅沢」であると捉え直す視点が生まれたのです。
エイジングと残り10%の美学
デジタルデバイスは数年で旧式モデルになり、時間の経過とともに役割を終えます。ソフトウェアはアップデートされるたびに旧型を否定し、古いものを上書きし消し去っていきます。
しかし、このアナログ最強のペンは、持ち主とともに年を重ねます。古くなるほどに愛おしく、使い込むほどに持ち主の手になじみ、唯一無二の表情に育ちます。刻まれた小さな傷の一つ一つが、日々の積み重ねと挑戦と成長の証。
職人が作った時点では90%。残りの10%は、受け取った人が使い込むことで刻まれる傷や艶であり、それこそが真の完成である、という考え方もできるでしょう。デジタルにはないエイジング(経年変化)の美学と、残り10%を自分流に完成させるという美学ですね。
企業の文化や想いをカタチにするもの
その人の歩みや時間を刻み、年月の流れとともに価値を高めるアナログ記念品。
この需要が教えてくれたのは、法人記念品という存在が、単なるモノではなく、企業が歩んできた歴史、企業が積み重ねてきた努力、社員一人一人が歩んできた「尊い軌跡」を具現化する大切な象徴であることです。
長い時間の蓄積。そこにスピードや効率という概念は在りません。同じく一本一本、決して効率よく作ることができない、アナログアイテムには職人の丹精を込めた時間が宿ります。
その製品に企業のロゴを刻み、記念の文言や日付を刻み、企業の文化や想いをカタチにする。
最強アナログ、職人の「革巻きボールペン」は、時代遅れの記念品ではなく、もしかしたら時代の最先端をいく記念品なのかもしれません。


