2024年太陽光パネルのサイズ共通化と出力について
FIT制度の改訂・市況の変化から、一時期は年間で2GW程度の市場規模にまで落ち込んだドイツ市場は、ここ数年は太陽光・蓄電システムともに順調に伸びてきております。
本コラムでは、2024年6月にドイツ・ミュンヘンで開催された再生可能エネルギーと太陽光発電の展示会「Smarter E Europe」において、ドイツ太陽光発電協会(BSW-Solar)が発表したレポート「太陽光発電の拡大は大詰めの段階へ」を紹介いたします。
参照元: https://www.solarwirtschaft.de/en/2024/06/19/photovoltaic-expansion-on-the-home-stretch/
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”太陽光発電の拡大は大詰めの段階へ”
出典元:https://www.solarwirtschaft.de/en/2024/06/19/photovoltaic-expansion-on-the-home-stretch/
ベルリン/ミュンヘン、2024年6月19日:
ドイツの太陽光発電産業では、10万人を超える就業者が、エネルギー転換と気候保護全体を推進するために懸命に働いています。昨年、ドイツ国内の太陽光発電産業は、100万件以上の太陽光発電設備と約57万5000台の蓄電システムの販売により、約300億ユーロ(約5兆100億円、1ユーロ=167円で換算) の売上高を達成しました。これは、ドイツ太陽光発電協会(BSW-Solar)がミュンヘンで開催された展示会「The smarter E Europe」のオープニングで発表した分析データによるものとなります。(下記参照)。
・グラフ1. ドイツ国内の太陽光発電産業の就業者数 (2023年):
出典元: https://www.solarwirtschaft.de/wp-content/uploads/2024/06/BSW_Grafiken_Jobmotor_2133x1200px_EN.jpg.
・グラフ2. ドイツ太陽光発電市場の売上高 (2023年):
出典元:https://www.solarwirtschaft.de/wp-content/uploads/2024/06/BSW_Grafiken_Wirtschaftsmotor_2133x1200px_EN.jpg
BSW-Solarの2024年の予測では、太陽光発電システムと太陽光発電用蓄電システムの国内販売が昨年倍増したのに続き、新たに設置される太陽光発電と蓄電設備容量も2桁台前半の成長が続くとしています。これは、太陽光発電の拡大がエネルギー転換の大詰めの段階にさしかかってきたことになります。2030年までに、ドイツの電力需要をカバーする太陽光発電の割合は、現在の12%から約25%へと約2倍に拡大する見込みです。
ドイツ太陽光発電協会のカールステン・ケルニッヒ専務理事は、次のように付け加えました 。
「この野心的な目標の約40%が達成されたのは、国民全体による太陽光発電への素晴らしい支援のおかげによるものです。しかし、エネルギー転換の次の段階では、すべての参加者がより最高のパフォーマンスを発揮する必要があります。気候保護に関して言えば、ビジネス界と政治界のプレーヤーもまた、ボールを持っていなければならないと考えております。」
・グラフ3. 2030年の太陽光発電導入目標 (約40%の達成率):
出典元: https://www.solarwirtschaft.de/datawall/uploads/2024/06/PG_Zielerreichungsgrad_I-1.jpg
BSWによれば、コロナ・パンデミックとエネルギー危機も、太陽光発電産業にさらなる成長を促す刺激となりました。ケルニッヒ専務理事は、「ここ数年、ドイツでは住宅用太陽光発電の分野で特別な経済ブームが起こり、家庭のバルコニーで小さなエネルギー革命が起きました」と説明しています。最近、個人所有者の屋根上太陽光発電への需要はやや冷え込みましたが、依然として高い水準にあります。しかも2024年の4月と5月のように、月にこれほど多くの太陽光発電設備が稼働したことはかつてありませんでした。
ケルニッヒ専務理事は、今後2年間の主な成長分野を「オープンスペース(空き地・遊休地)と企業の屋根のソーラー電化」と予想しております。ドイツ連邦ネットワーク機関であるBundesnetzagenturが発表したデータによると、今年1〜4月に企業の屋根に設置された太陽光発電は、昨年の同期間を81%上回りました。BSW-Solarの委託で5月下旬に実施された、太陽光発電に対応した屋根を持つ企業約450社を対象としたYouGovの調査では、半数以上(56%)が今後3年以内に太陽光発電システムを設置する予定であると回答しました。また、10社中4社が同期間に車両の電動化を計画しています。
The smarter E Europeの開幕に際し、BSWのケルニッヒ専務理事は次のように述べました。
「出展者数3,000社、来場者数115,000人以上と予想されるこのヨーロッパ最大のエネルギー展示会は、特にひとつのことを示しています。私たちの業界は、太陽光発電と革新的な貯蔵・充電インフラに対する需要が、今後数年間で急速な成長をもたらす明るい未来に踏み出す準備が整っています。輸送と暖房の分野での移行が徐々に勢いを増すにつれて、さらに多くの太陽光発電の活躍する分野が登場することになるでしょう。EV (エレクトロモビリティ)は世界中で凱旋を始めています。ヒートポンプは、その初期段階はやや不安定だったものの、やがて新しい暖房の標準になるでしょう。」
BSW-Solarが施工会社を対象に実施した調査によると、ドイツの住宅分野では、太陽光発電顧客の約80%が家庭用蓄電システムも導入していることがわかりました。太陽光発電に加えて、40%がヒートポンプや電気自動車用の充電設備も設置しています。
SolarPower Europeのデータによると、昨年新たに設置された太陽光発電容量に基づく国別ランキングで、ドイツは中国、米国、ブラジルに次いで6位から4位に躍進しました。「エネルギー転換のパイオニアとして、ドイツは太陽光発電技術の拡大において再び高速車線に躍り出た。」とケルニッヒ専務理事は喜びつつ報告してします。
とはいえBSW-Solarは、太陽光モジュールとその上流製品の生産分野でキャッチアップする必要性を認識しています。太陽光発電所の設置とは対照的に、ドイツ政府は今のところ、国際競争が激しく資本集約的な市場における太陽光モジュールのギガ工場の建設に必要な投資保障を確立できていません。官僚主義の削減に関しても、まだまだ改善の余地があります。
編集後記:
ドイツの太陽光発電と蓄電市場に関するマーケット・レポート:
Intersolar 2024の開催に合わせ、BSW-SolarはFraunhofer ISEおよびIntersolar Europeの協力のもと、ドイツの太陽光発電および蓄電池市場に関するマーケット・レポートを発行しました。本レポート「ドイツの太陽光発電と蓄電池市場」では、ドイツの太陽光発電および蓄電池市場に関する最新統計と、ドイツにおける現在の資金調達メカニズムの詳細を提供しています。現在の市況、太陽光発電市場の展望と発展、蓄電システムの役割の概要について紹介しています。
マーケット・レポートはこちらのリンクから入手可能です(英語版になります): The German PV and Battery Storage Market | German Solar Association (solarwirtschaft.de)
6月19日にミュンヘンで開催されましたBSW-Solar記者会見のプレゼンテーション:
BSWの記者会見で発表されるデータや業界動向は、2024年6月19日12時現在、以下のリンクからご覧いただけます(ドイツ語版になります):https://www.solarwirtschaft.de/datawall/uploads/2024/06/PK_BSW-Solar_Handout_Intersolar2024.pdf
BSWメディアライブラリー:
ドイツの太陽光発電・蓄電池市場の発展に関する最新のプレス用資料グラフィック等は、BSWメディアライブラリーでもご覧いただけます:
(英語版リンク): https://www.solarwirtschaft.de/en/press/downloads/
(ドイツ語版リンク): https://www.solarwirtschaft.de/presse/mediathek/
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現在のドイツ市場の回復と発展は、日本市場にとっても良い手本になるに違いないと考えております。
謝辞: 出典元BSWの発表資料やデータが大変参考となりました事、この場をお借りして御礼申し上げます。