九州地域の出力制御の推移について
国際再生可能エネルギー機関 (International Renewable Energy Association: IRENA)が3月27日に「2023年に導入した再生可能エネルギー発電設備の導入容量は42023年に導入した再生可能エネルギー発電設備の導入容量は473GW」との記事を発表いたしました。そのうち太陽光発電は346GWと73%のシェアを占めております。中国は297.6GW(太陽光は216.9GW)と圧倒的な導入量である一方、日本は4GWと世界の太陽光市場のわずか1.1%にとどまっております。
図1. 再生可能エネルギーの発電容量(左側: 累計容量、右側: 2023年の導入量):
出典元: IRENA Renewable capacity highlights より抜粋
記事詳細 (日本語版): https://www.irena.org/News/pressreleases/2024/Mar/Record-Growth-in-Renewables-but-Progress-Needs-to-be-Equitable-JP
記事ハイライト (英語版): Capacity_Highlights_2024.pdf
再生可能エネルギー由来の発電設備容量は毎年増加し続けておりますが、2030年までの温暖化対策(世界の気温上昇を1.5度以内)の目標を達成するために必要な再生可能エネルギー容量は現在の約3倍の11テラワット(11,000GW)、うちG20諸国では9.4テラワットの導入が必要であるとの報告を、IRENAは3月19日発表しております。
今回はIRENAの「COP28の再生可能エネルギー3倍という目標は緊急の世界的な軌道修正によってのみ修正可能」の記事についてご紹介いたします。
注: 英語版のオリジナルに基づいて、一部の日本語表記・文面を弊社にて編集しております。文中の米ドル表記の部分に、参考用の円表記(1ドル=153.00円で換算)を追記しております。
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2023年の記録的な再生可能エネルギーの成長にもかかわらず、継続する構造的障壁と顕著な投資不足により、エネルギー転換は軌道から外れたままです。
アラブ首長国連邦、アブダビ / ドイツ、ベルリン、2024年3月19日 – COP28 で設定された2030年までに再生可能電力容量を3倍にするという世界的な目標の達成は、そのような成長を導く条件を確立することに大きく依存します。2030年までに再生可能電力容量を 3 倍にすることは技術的に実現可能で経済的にも実行可能ですが、その実現には、決断、政策支援、大規模な投資が必要です。
COP28 成果の追跡: 2030年までに再生可能電力容量を3倍には、2023年において新たに記録的な再生可能エネルギーの展開がなされ、世界のエネルギーミックスに473GWを追加したことを浮き彫りにしました。しかし、国際再生可能エネルギー機関 (IRENA) による報告は、再生可能電力容量を3倍にすることは、エネルギー転換に対する体系的および構造的障壁の克服に依存していると結論付けています。
政策の進化、地政学的な変化、コストの低下、これらはすべて、世界中の市場で再生可能エネルギーの急速な拡大を推進する役割を果たしてきました。しかし、今日のベルリン・エネルギー転換対話で発表されたIRENAの世界エネルギー転換展望の概要で説明されたように、再生可能エネルギーの電力容量を3倍にするには、資金供給の増加と緊密な国際協力に支えられる形で、インフラ、政策、労働力の能力を強化するための協調的な努力が必要です。
2030年までに年間平均で約1,100GWの再生可能エネルギー容量を導入する必要があり、これは2023年に樹立した記録の2倍以上となります。再生可能発電への年間投資は、2023年の5,700億ドル (約87兆2100億円) から、2024年から2030年の平均で1兆5,500億ドル (237兆1500億円) へ急増する必要があります。
「軌道修正をはかり3倍の目標を達成可能としておくために、化石燃料からの体系的な移行が緊急に必要です。 」
フランチェスコ・ラ・カメラIRENA事務局長は次のように述べました。「再生可能エネルギーを3倍にするというCOP28での歴史的なUAE合意があった今、これらの発電能力の追加は、新記録を樹立したにもかかわらず、目標達成を保証するには程遠いことを明確に示しています。IRENA は管理機関として、鍵となる指標全体の関連進捗状況を毎年監視します。我々のデータは、進歩が依然として不十分であり、エネルギー転換が軌道から外れたままであることを裏付けています。」
図2. 年間の再生可能エネルギー増加容量:
引用元: https://infogram.com/renewable-power-capacity-additions-per-year-1h0n25o8n5xoz4p
2030年までに必要な11テラワット (TW) に達するにはさらに7.2TWの再生可能電力を導入する必要があるように、3倍の目標達成は決して確保されたものではありません。また一方、現在の予測では、緊急の政策の介入がなければ目標は依然として達成できないことが指摘されています。例えばG20諸国は、再生可能エネルギー容量を2022年の3TW未満から2030年までに9.4TWまで拡大する必要があり、それは世界全体の80%以上を占めるようになるものです。
インフラおよびシステム運用 (例: 送電網、ストレージ) への投資の加速、改訂された政策と規制 (例: 電力市場の設計と許認可の合理化)、サプライチェーンを強化し必要なスキルを育成するための措置、および国際協力を通じて促進される公的資金を含む投資の大幅な増加が不可欠です。
再生可能エネルギーには大きな潜在力があるにもかかわらず、発展途上国は不釣り合いに低いレベルの投資規模になっています。エネルギー転換関連の投資は過去最高に達し、2023年には2兆米ドル (約306兆円) を超え、新興市場と発展途上国が世界の投資の半分強ほどを占めました。途上国120か国は世界の再生可能エネルギー投資のわずか15%だけとなり、サハラ以南アフリカはエネルギー不足人口の割合が最も高いにもかかわらず1.5%未満だけの受け取りとなりました。
対照的に、化石燃料は2022年に1.3兆米ドル (約198兆9000億円) の補助金を受け、これは、2030年までに 再生可能発電容量の3倍増を達成するために必要な年間投資に相当します。IRENA の1.5 ℃シナリオの重要な側面は、再生可能エネルギー使用量の増加が、それに対応する化石燃料への依存度低下と連動していなければならないということです。どちらの面も遅れています。G20加盟国だけでも、化石燃料強化に向けて2022年に記録的な1.4兆ドル (約214兆2000億円) の公的資金を支出しており、これはCOP28で化石燃料からの移行を目指すという約束に真っ向から矛盾するものです。
グローバル・サウスへの資金の流れを確保し、3倍の誓約を守るためには、更なる国際協力が不可欠となるでしょう。サハラ以南アフリカ諸国は世界で最も高い金融コストに直面し、国際開発金融機関の関与や公的金融の役割の拡大を含め、国際協力の強化の必要性を明確に示しています。
大規模な投資を呼び込み、すべての人に社会経済的利益をもたらす包括的なエネルギー転換を実現するには、公的金融の戦略的利用が最優先事項です。これには、途上国のエネルギー転換を効果的に支援するために、多国間金融メカニズム内を含む構造改革が必要です。
・COP28 成果の追跡について: 2030年までに再生可能電力容量を3倍に (英語版)
・2023年の世界エネルギー転換見通し: 1.5℃への道のり(英語版)
エネルギー転換の進捗状況の詳細については、こちら (英語版) をご覧ください。
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前述のIRENAの発表した記事に述べられている気温上昇を1.5℃で抑えるために必要な再生可能エネルギー導入量は毎年1.1TW(1100GW)相当、うちG20諸国は約8割の880GWを毎年導入するレベルとなります。太陽光発電が2023年と同等レベルの73%の割合として試算するとG20諸国は毎年約640GWの新規増設が必要となります。
日々、世界中で技術革新や活用方法が生まれている太陽光発電について、引き続き日本の皆さまへサポートしてまいります。