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0歳からの〝お口〟のケアで、口と歯の健全な成長を

赤ちゃんから口と歯の健やかな成長を導く歯科医

岡井有子

岡井有子 おかいゆうこ
岡井有子 おかいゆうこ

#chapter1

骨格の正しい発達を促す「ランパセラピー」で、歯並びが悪くなる根本原因にアプローチ

 赤ちゃんや子ども、お母さんのための歯科医院「こどもと女性の歯科クリニック」。院長の岡井有子さんは、矯正治療「RAMPA(ランパ)セラピー」と予防歯科に力を注いでいます。

 ランパセラピーは顎顔面口腔育成療法をベースにしています。歯並び自体ではなく、歯列が乱れる根本原因である鼻や上あご周辺(中顔面)の骨格にアプローチし、歯列に加え呼吸や姿勢の改善を導きます。近年、首や口の筋肉バランスが崩れ、舌の付け根にある舌骨(ぜっこつ)と呼ばれる骨が下がり、中顔面が下方に成長する子どもが多いとか。舌やあごも下がり気道が狭くなるため口呼吸となり、歯並びに乱れが生じます。

 「ランパセラピーでは中顔面の骨格を上前方に成長するよう促し、気道や鼻腔を広げます。鼻呼吸に正され、舌が上あごにつくことであごの形が整い、歯がきれいに並ぶスペースを確保できるように。鼻と口が近くなり、顔立ちもすっきりすることが多いです」

 鼻炎やいびき、アデノイド肥大などへの効果も期待でき、耳鼻咽喉科医と連携する場合もあります。
 「当院では〝発達障がいの傾向がある〟〝低出生体重児で生まれた〟などでもお悩みだった患者さんがランパセラピーを受け、結果的に発達の遅れに良い影響が出た事例もあります。ランパを通して、より健全な口腔機能を目指す中で様々な良い報告がされていますね」

 矯正に用いるのは、口腔内に入れる装置と、顔の外側に付けるフレーム装置。外側のフレームは1日10時間~12時間以上(4歳~小学生)、約3カ月装着し、期間を空けて2~3回繰り返します。装置の色や飾りを選べるなど、本人が前向きに取り組める工夫もあります。

#chapter2

赤ちゃん歯科や独自の予防プログラムで、歯が生える前から口の健康を守る

 同クリニックでは、歯が生える前の新生児やマタニティ期から受診できる「赤ちゃん歯科」を設けています。

 歯科医になる以前、看護師として働いていた岡井さんは、授乳指導など産婦人科での知見や、自身の子育て経験も強み。口腔内のチェックやマッサージのほか、おっぱいの飲ませ方や抱っこの仕方など、正しい姿勢についてもアドバイスしています。
 「赤ちゃんの姿勢は、お口の健康に大きく影響します。理想は子宮にいたときの丸まった姿勢ですが、縦抱き用抱っこひもの普及により、首の後ろが緊張状態にある赤ちゃんが増えています。緊張が続くと下あごの位置が下がり、将来の歯並びやかみ合わせに悪影響を及ぼすこともあります。成長にあわせて正しい姿勢を導き、お口と体を育てます」

 また、お父さんも含めて家族で利用できる、会費制の予防歯科プログラム「ウェルビーイングクラブ」を用意。0歳・1歳児は月に一度、2歳以上は3カ月に一度、定期健診を行い、フッ素イオン導入や年1回の唾液検査など、保険適用外の処置も行います。
 「歯磨き指導に力を入れ、磨き残しを着色して写真で記録したり、口腔内の細菌をお子さんに見てもらったり、お家での歯磨きへの意欲を高めます」

 利用者から喜ばれるのが、母子手帳のように歯と口の成長を記録できるオリジナルファイルとか。
 「受診ごとにお子さんの写真を加え、歯型とともにお渡しします。赤ちゃんから来られていたお子さんが大きくなり、大事そうにファイルを抱えてきてくれる姿にうれしくなります」

岡井有子 おかいゆうこ

#chapter3

「こわくない歯医者さん」をテーマに、子どもが楽しく通える工夫も

 岡井さんが歯科医を志したのは、外科病棟で高齢者のケアにあたっていた看護師時代でした。
 「胃ろうの患者さんが口から食べられるようになり、元気に回復されたのを見て、食べることは生きるエネルギーになると実感しました。自分の歯で食べる幸せに貢献したいと思ったことがきっかけです」

 生涯自分の歯を守るには、幼い頃からの予防が重要と考え、大学院では小児歯科学を専攻。かみ合わせについて研究する中で「ランパセラピー」に興味を持ち、卒業後は赤ちゃん歯科にも知見を深めました。

 開院にあたって大切にしたのは、子どもと女性が安心して通えること。
 「子育て中に、子どもを預けて出かけることにハードルを感じていました。お母さんは、子どもの健康には意識が高くても、自分のことは後回しにしがち。親子で一緒に過ごせるクリニックにしたいと思いました」

 「歯医者さんをこわくない場所に」との思いから、居心地の良さにもこだわります。ハート形のグリーンが迎えるエントランス、青空に白い雲が浮かぶ診察室、時折変わる壁のイラストなど、子どもが「行くのが楽しみ」と言うほど、仕掛けがいっぱい。初診では絵本を使って器具や処置について説明するなど、子ども目線での配慮があります。

 岡井さんの取り組みを「早く知りたかった」という声も多く、関西や東北など遠方からの来院も。歯科的アプローチだけでなく幅広い視点から、子どもの健やかな未来を見据えて導いてくれます。

(取材年月:2022年6月)

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岡井有子

赤ちゃんから口と歯の健やかな成長を導く歯科医

岡井有子プロ

歯科医師

こどもと女性の歯科クリニック

歯列の乱れの根本原因である、鼻周辺の骨格に働きかけ、呼吸を改善する矯正法「ランパセラピー」の専門医院として、多くの治療実績があります。生後すぐから、口腔ケアと正しい姿勢を指導する「赤ちゃん歯科」も。

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