その退職代行サービス、契約して大丈夫?!
こんにちは。消費者考動研究所/消費生活アドバイザーの池見です。
インターネットの通信販売(以下ネット通販)は、販売者と直接手渡しで代金と商品を交換しない取引です。その状況を悪用した詐欺的な販売サイトの被害が、ここ数年の間Z世代から高齢者まで多発しています。
事例1 商品が届かない
生産中止になった5万円のスニーカーをスマホで検索したら、12000円で売っている店を見つけた。残りあと1点で、支払い方法は銀行振り込みしか選べず、少し不安だったが注文した。
業者から、「代金振り込み確認後、3営業日以内に発送する」とメールが届き、翌日指定された銀行口座へ振り込んだ。口座名義はなぜか個人名A氏で、きっと個人事業主だろうと思った。
1週間後、商品は届かず、催促しようと思っていたら、知らないB氏からメールが届いた。
「注文品は欠品で届けられない。交換・返品手続きのため、SNSの友だち登録をするように」と書いてあり、指示に従った。すると、QRコード決済の情報を登録し、返金テストのため保証金12000円をQRコード決済で送金するように言われて送金した。その後、相手から返金はなく、SNSで送った苦情は既読スルーされて、連絡が取れない。
事例2 粗悪品が届いた
SNS上に、カシミヤのコートが9800円と広告がポップアップした。元々コート自体は欲しかったので、クレジットカード払いのようと思ったが、少し日本語が不自然だったので不正利用を警戒し、指定された銀行口座へ振り込んだ。
2週間後、荷物を受け取って商品を確認すると、明らかにカシミヤではなく、薄っぺらな素材のコートだった。しかも、梱包には中国語が印字され、日本国内の発送代行会社が宅配便の送り主になっていた。
宅配業者に受取拒否したいと申し出たが、梱包を開けているため断られた。注文先の業者には、「注文どおりの商品を送っている」と返品返金を拒否された。納得がいかず、何度も業者に返品返金を要求したら、「お見舞金として2000円でどうか。返品はしなくてよい」とメールが届いた。
詐欺的な通販サイトの特徴
こうした詐欺的なサイトには、下記のような特徴・傾向があります。
- 代金を先に指定口座へ振り込み、入金確認後に商品を発送する条件になっている。
- 販売WEBサイトをスクロールすると、「安い」「からだに良い」「在庫が残りわずか」といったアピールや、根拠のない優位性などの説明を、繰り返し表示している。
- 会社組織のはずなのに、振り込み先口座はなぜか個人名義。
- 振り込み先金融機関が国内なのに、会社概要の住所はなぜか海外。
- 会社所在地と振り込み先口座の金融機関の所在地が、かけ離れて別な場所にある。
- 取引に関する問い合わせ連絡先電話番号、販売責任者名、解約や返品のルールなどの記載を販売事業者に義務付けた「特定商取引法に基づく表記」*1 の内容に、不備や不審な点がある。
- WEBサイトのURLの最初に、httpsのsがついていない。
- WEBサイトのURLに、暗号化を示す鍵マークがついていない。
- 「商品が欠品し、返金手続きにはSNSの友だち登録とQRコード決済の送金が必要」は詐欺です。
- 広告の商品とかけ離れたものが届いたのに、返金返品の対応をせず、安価の和解金を提示してくる。
*1 通信販売事業者を規制する特定商取引法の詳細については、消費者庁の「特定商取引法ガイド」もご参照ください。
対策
大原則として、上記のような点で少しでも不安や疑問を感じたら、直ちに注文を中止し、近くの消費生活センターに相談なさることを強くお勧めします。
その他にも…
- 注文ボタンを押す前に画像を保存:サイトの隅にある「特定商取引法に基づく表記」と会社概要、販売サイトの商品説明画面、最終の注文内容確認画面は、スクリーンショットで証拠を残しましょう。
- 代金を振り込む前に不審な点に気づいたら、振り込まずにキャンセルしてください。
- 代金を振り込んた後、催促しても連絡はなく、商品も届かない場合、相手の講座を凍結する振り込め詐欺救済法で被害を回復できるかもしれません。
- 事例2のような場合は、安易に和解金で妥協せずに、発送代行会社に苦情の取次ぎを依頼し、解決する時もあります。
- 住所・氏名など、一度業者に提供した個人情報を取り返すことはほぼ不可能です。今後、不審なメールや電話・配達物に注意して、もし届いたら応じないようにしましょう。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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