【DX人材】社内のDX推進につながる取得してもらうべき5つの資格とは?
「金融業界におけるDXの推進状況はどんな感じなのだろうか?」という疑問を持つ方もいるはずです。金融業界のIT化は他業界に比べて早くスタートしましたが、DX化については多くの課題を抱えています。
他業界よりもDX推進の妨げになることが多く、あまり積極的に進められていないのが現状です。しかし、「DX銘柄2021」に金融企業が選定されている事実もあるため、DXを推進する手段は存在するといえます。
そこで本投稿では、金融業界におけるDX、DXを実現させるためのポイントを解説します。最後までご覧になれば、金融業界のDXを詳しく理解できた上で、自社のDX推進に役立てることができるはずです。
目次
金融業界とITの関係性
まずは金融業界とITの関係性をみていきましょう。金融業界のIT化は他業界に比べて早く、1970年代からIT化をスタートしています。IT化を早くスタートした理由としては、金融業界はより高度なセキュリティが求められる業界であるためです。
しかし、IT化の概念が世間に定着する前に高度なセキュリティを築こうとしたため、莫大なコストを要するシステムが完成しました。その柔軟性に欠けたシステムが仇となり、新しいITシステムにうまく対応できていないのです。
また、当時のシステムは外部との連携を想定していなかったため、古いシステムを単体で使い続ける要因にもなっています。つまり、それら古いシステムや考え方が、現在のデジタル化を阻んでいる原因になっているのです。
金融業界におけるDXとは?
そもそもDXとは、最新のデジタル技術を活用してサービスやビジネスモデルを変革させることを意味します。このDXは金融業界でも非常に重要な取り組みです。
金融業界のDXが推進すれば、これまでよりもセキュリティが強固になるのはもちろんのこと、個人や企業に対してよりスムーズな融資が可能となります。また、金融業界に新たなビジネスモデルが誕生し、以前までは考えられなかったサービスや商品が登場するでしょう。
そのほか、事務プロセスの簡略化や単純作業の自動化など、DXによる基本的なメリットは金融業界でも実現できます。
しかし、実際のところ金融業界のDX化はあまり進んでいません。他業界に比べてもその差は顕著であり、いくつもの課題が浮かび上がっています。
なお、他業界におけるDX推進の現状については、「商社業界におけるDXとは?DX導入事例やデジタル化に向けた動きを解説」や「製造業におけるDX推進とは?現状の課題を把握して成功ポイントをみつけよう」で詳しく解説しています。興味がある方はぜひ確認してみてください。
金融業界における「DX銘柄2021」
ここまで、金融業界におけるDXについて解説しました。続いて、金融業界における「DX銘柄2021」をご紹介します。
経済産業省は2021年に「DX銘柄2021」として、「デジタル技術を前提としたビジネスモデルの変革にチャレンジし続けている企業」を東京証券取引所と共同で選定しました。選定した企業は金融業界だけでなく、建設業界やIT業界、製造業界など、他分野にわたって選定しています。
なお、「DX銘柄2021」の金融業界は、銀行・証券・保険を代表する企業が選ばれました。選ばれた金融企業は下記のとおりです。
- 銀行:株式会社りそなホールディングス
- 証券:東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社
- 保険:MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社
また、「DX銘柄」に選定されていない企業の中から、特に注目されるべき取り組みをしている企業は「DX注目企業2021」に選定されました。「DX注目企業2021」に選定された金融企業は以下の5社があげられます。
- 銀行:株式会社三井住友フィナンシャルグループ
- 証券:株式会社大和証券グループ本社
- 保険:SBIインシュアランスグループ株式会社
- 保険:SOMPOホールディングス株式会社
- 集金:リコーリース株式会社
これら金融企業はDX化に長けており、新たなサービス開発やビジネスモデルの変革に前向きに取り組んでいます。これから自社のDXを推進させていく上では、特に参考にすべき企業だといえるでしょう。
金融業界がDXを実現させる上での3つの課題
金融業界における「DX銘柄2021」は理解できたでしょうか?次に、金融業界がDXを実化される上での課題を3つ解説します。まずは金融業界が抱える課題を明確化させましょう。
長い伝統と継承
金融業界が抱える課題1つ目は、長い伝統と継承です。金融業界は歴史の長い企業が多く、これまでに積み重ねてきた伝統を守り続けています。
その長い伝統と継承が大きな変化を拒んでしまい、新たなシステムや技術をうまく取り入れられない状況を作っています。もちろん金融業界だけの課題ではありませんが、長い伝統と継承がDX推進の足枷になっている可能性があるのです。
金融業界特有の風潮
金融業界が抱える課題2つ目として、金融業界特有の風潮があげられます。金融業界は個人・法人のお金や証券を扱うビジネスモデルであるため、それら重大な資産を安全に預かるには強固なセキュリティが必要です。
また、昔から金融業界は顧客からの信用が最重要事項であり、情報漏えいや資産損失などは絶対に許されません。その風潮は他業種とは少し異なる金融業界特有のもので、安全を最優先にするあまり、DX推進の優先度がどうしても下がってしまうのです。
閉ざされたシステム
金融業界のDXを推進する上では、閉ざされたシステムも課題となります。DXという大規模なプロジェクトは社内の数人で取り組むものではなく、社内一丸となって推進しなければ実現しません。
しかし、顧客から預かる資産を万全に管理するためにも、金融機関の情報システムは強固なセキュリティで管理されます。一部の関与する担当者とシステム責任者、専門業者だけがアクセスを許されており、ほぼ完全に閉ざされたシステムを採用しています。
その影響で内部システムや業務内容がブラックボックス化しやすいため、社内一丸となってDX推進に取り組むことが難しいのです。
さらに、金融業界における多くの企業が日本を支える大企業であることから、DXを推進させるためには莫大な予算をかけなければなりません。その点もDX推進を妨げている1つの要因だといえます。
金融業界がDXを実現させるための3つのポイント
DXを実現させる上での課題がわかったところで、その課題をクリアして実現に近づけるポイントを3つ解説します。これからDXを推進させる予定の方は、ぜひ以下3つのポイントをご参考ください。
デジタル人材の確保
金融業界に限らず、企業のDXを実現させる上ではデジタル人材の確保が非常に重要です。デジタル人材とは、DX推進に必要なデジタル技術を活用し、積極的に企業のDX化を進める人材のことです。
企業のDXを進めるには単純なITスキルだけでは不十分であり、AIやIoTといった先進技術の知見と活用するためのスキルが求められます。また、専門スキルのほかにも、チームメンバーをマネジメントする柔軟なコミュニケーション力も必要です。
優秀なデジタル人材を早めに確保できれば、DXの実現に大きく近づくことができるはずです。しかし、高度な専門スキルを扱える優秀なデジタル人材は、これから先さらに不足すると予測されます。自社でデジタル人材を育成することも視野に入れ、デジタル人材の確保に注力しましょう。
マインドの変化
DXを実現させるためのポイント2つ目として、マインドの変化があげられます。現時点での金融業界はあらゆる変化に対して奥手であり、最新テクノロジーの導入を躊躇する傾向にあります。
また、金融業界は一昔前のマインドが残っていることから、契約書やハンコといった古い文化を大切にしています。現在のシステムは大きく変化しており、それら最新テクノロジーを積極的に導入していくためには、やはり根本的なマインドを変化させることが重要になるでしょう。
業界全体の規制緩和
業界全体の規制緩和もDXを推進させる上ではキーポイントとなります。現在の強固な規制を緩和することで、金融業界全体がDXに対して前向きに取り組める可能性があるためです。
金融業界は国民の生活インフラ的な役割を果たすため、規制改革やビジネスモデルの変革によるメリットよりも、仕組みを変化させないことでの安全や安定が優先されます。これは、国民の生活を支える業界体質として仕方がない部分もあるでしょう。
しかし、この強固な規制を変えない限りはDX化が進まないことも事実であるため、どこかのタイミングで業界全体の規制緩和を視野に入れる必要があるのです。業界全体とのバランス的に困難な問題ではあるものの、DXを実現させる上ではとても重要なポイントになります。
金融業界がDXを実現させることで得られる2つのメリット
最後に、金融業界がDXを実現させるメリットを2つ解説します。業界全体がDXのメリットを理解することで、金融業界の各企業が前向きにDXを検討できるはずです。
個人・企業への融資がスムーズになる
新しいテクノロジーを取り入れてDXを実現させれば、個人・企業への融資がスムーズになります。これまでの審査内容に取得したビッグデータを活用し、サービスの向上や高度化を図ることで、審査通過の判断がよりスピーディーになります。
審査通過の判断が早くなり融資までの時間が短縮されると、企業側はいまよりもスピード感のある事業展開が可能です。それに伴い、金融業界も早いサイクルで融資等を展開できるようになり、他業界含めてさまざまな相乗効果が得られるでしょう。
新規ビジネスに期待できる
デジタル技術を用いることで、金融業界の新規ビジネスにも期待が持てます。
金融業界の新規ビジネスと聞いてもイメージが湧きづらいですが、代表的な事例として「株式会社大和証券グループ本社」が展開している金融資産の運用サポートがこれに該当します。この運用サポートは資産運用に最新ツールを導入したことで、資産の種類や金額、運用のモニタリングなど、投資判断のさまざまなサポートを行います。
さらに、金融業界がDXを積極的に推進すれば、金融業界だけでなく他業界のビジネスモデルにも変革が起こります。クラウドやオープンAPIなどを活用し、これまでとは違う与信評価の基準が採用されることで、財務実績の貧しい中小企業でも融資の対象になる可能性があります。
これまで融資を受けられなかった企業に資金が行き渡ることにより、新たなビジネスモデルが生まれるきっかけになるでしょう。
まとめ
本投稿では、金融業界におけるDX、DXを実現させるためのポイントを解説しました。
金融業界は他業種に比べて早くIT化をスタートさせましたが、その古いシステムが現代におけるDX推進の妨げになっています。また、現状の金融業界は「長い伝統と継承」や「金融業界特有の風潮」などの課題を抱えており、企業のDX化をうまく推進できずにいます。
それら金融業界の抱える課題や推進するためのポイントを理解し、ぜひ自社のDX推進に役立ててみてください。
また、DXを進める方法や手順については「社内DXを推進する具体的な5つの方法!導入する目的と課題点を解説」で詳しく解説しています。これからDXを推進する予定の方はご参考ください。