【経営者必見!】システム開発で知っておくべきポイント7選
前回に引き続き架空のシステム開発を例に、今回は要件定義の準備の1つ「業務フローの作成」に焦点を当て、要件定義の注意点や考え方を解説します。
新規事業向けシステム開発の要件定義の極意
Part1 【要件定義で行う作業の流れ】
Part2 【要件定義の重要性と、その具体的な準備方法】
Part3 【業務フローの作成】業務の洗い出しと業務プロセスの整理 ←今回はココ
Part4 【業務フローの作成】業務フロー図の作成
Part5 【システム化の範囲を定める】〜【データ量を予測する】
Part6【事業展開に応じたシステムの拡張を検討する】〜【関係者で見直す】
Part7 【まとめ】
業務フローの作成は、業務の可視化と効率化を図るための重要なツールです。これにより、事業の成長や競争力の強化に寄与することができます。
- 業務フローの作成方法がわからない
- 新規事業のためにシステム開発を行う
- システム開発で絶対に失敗したくない
- 発注者が要件定義の前に何をすべきかを知りたい
そんな方は、ぜひ最後までご覧ください!
※このコラムの内容は動画で公開しています。Youtube版はこちらをご覧ください。
業務フローを決める
業務フローとは、仕事の流れを図式化したものです。仕事の手順や、過程を分かりやすく示し、どのように業務が進んでいくかを視覚的に理解できるようにするものです。これはシステム開発を行う行わない関係なく作成するメリットは十分にあります。
では業務フローをなぜ作成するのか?業務フローを作成する具体的なメリットは6つあります。
1. リソースの最適配分
業務フローを作成することで、各業務の作業量やタイミングを把握できます。これにより、人員や設備、予算などのリソースを最適に配分し、過不足なく業務を遂行することが可能になります。
2. 効率的なスケジュール管理
業務の流れを視覚的に示すことで、各タスクの依存関係や進行状況を明確にし、プロジェクト全体のスケジュールを効率的に管理できます。これにより、無駄な時間やリソースを削減し、業務をスムーズに進めることができます。
3. 業務の標準化と品質向上
業務フローを基に、業務プロセスを標準化することで、作業のばらつきを減らし、品質を均一に保つことができます。また、新人教育や業務の引き継ぎもスムーズに行えるようになります。
4. 問題点の早期発見と改善
業務フローを作成し定期的に見直すことで、業務プロセスの問題点やボトルネックを早期に発見できます。これにより、迅速に改善策を講じることができ、業務効率の向上やコスト削減につながります。
5. コミュニケーションの円滑化
業務フローを共有することで、関係者全員が業務の流れや役割分担を理解しやすくなります。これによりコミュニケーションが円滑になり、チーム全体の協力体制が強化されます。
6. リスク管理の強化
業務フローを作成することで、各プロセスにおけるリスクや依存関係を明確に把握できます。これにより、リスクを事前に予測し、適切な対策を講じることが可能になります。
業務フローの作成は、業務の可視化と効率化を図るための重要なツールです。これにより、事業の成長や競争力の強化に寄与することができます。
さて、業務フローの必要性・重要性は感じ取って頂けたかと思いますので、業務フローを作成するための手順を説明します。随時繰り返しますが、新規事業における場合を前提としています。
1.事業目的の再確認
2.業務の洗い出し
3.業務プロセスの作成
4.業務フロー図の作成
5.関係者レビューとブラッシュアップ
1.事業目的の再確認
まず、最初に事業目的やシステム開発の課題を再確認しましょう。ことあるごとに申し上げているのですが、事業目的は都度確認することで、方向性を見失わないようにするためです。
2.業務の洗い出し
この事業において、発生し得る業務をリストアップし、各業務の概要を記載します。漏れなく洗い出すことが大切なので、最初からきれいに整理することを考えず、業務の大小問わず自由に発想するのがいいでしょう。この考え方は、KJ法が役立つと思います。
KJ法はシステム開発の専用の手法ではなく、大量のアイデアを出し整理する方法論のことです。ビジネスマンなら、さまざまな場面で使える手法ですので覚えておくととても役に立ちます。
3.業務プロセスの作成
洗い出した業務を整理し、順序をまとめます。どんなタイミングで、誰が、何の業務を行うかです。判断が必要な業務なら、その旨も記載します。
4.業務フロー図の作成
業務プロセスを視覚的に表現するために、フローチャートなどに図式化します。フローチャートは、システム開発において広く使用される技術ですが、他の多くの分野でも役立つ汎用的なツールです。もし、使ったことがなければそれ程難しいものではありませんので、これを機会に覚えて頂くと便利なツールです。
5.関係者レビューとブラッシュアップ
作成した業務フロー図を関係者と確認します。そこで出たフィードバックを業務フロー図に反映させ、最終的な形に仕上げます。出来上った業務フロー図は、再度関係者に確認してもらい、承認を得ます。
一般的に業務フローを作成する際には、最初に範囲の明確化をすると言われることもあるでしょう。しかし、新規事業における最初の業務フロー作成では、あえて範囲の明確化に拘る必要はないと思っています。なぜなら、新規事業は自社にとって未知な世界でもあり、最初から枠を決めてしまうより、あえて自由に考えた方が、新しい可能性を見出すことができたりするからです。
「フードコート座席順番待ちアプリ開発」の場合
では、前回に引き続き「フードコート座席順番待ちアプリ開発」の場合で具体的に考えてみましょう。
事業目的の再確認は割愛し,業務の洗い出しから始めます。どのような業務が存在するでしょうか。整理は後にすることとして、思いつくものを挙げてみます。ここでは、重複を恐れず、質よりも量を出すことを意識してみるといいと思います。
ひととおり、考えられる業務を洗い出しましたので、次は業務プロセスを作成します。洗い出した業務を整理・分類してみます。この結果を分類しなおすと、3つの業務に分類されました。
まずお客様サポート業務について、どんなタイミングで・誰が・何の業務を行うか判断が必要なら、その内容をまとめてみます。
フローの決定においては、 各業務の開始ポイント・終了ポイント・各ステップの順序・分岐条件などを決定します。お客様サポート業務の開始ポイントとなるのは、会員からの問い合わせで、担当はオペレーターです。
この内容をさらに細分化してみます。
次に、座席順番待ち管理業務を見てみましょう。座席順番待ち管理業務は、座席への案内・分析・テーブルの設定という業務にさらに分類されます。
座席への案内業務の開始ポイントとなるのは、営業開始時間です。
座席順番待ち管理業務の分析の開始ポイントとなるのは、月初です。これは、毎月月初に前月の状況報告を上司へ行うという想定です。
座席順番待ち管理業務のテーブル設定の開始ポイントとなるのは、任意です。
最後にクーポン管理業務です。本業務の開始ポイントとなるのは、任意です。
これで、一通り業務の洗い出しと業務プロセスの整理を終えました。具体的に並べてみると「このようなケースが不足しているのではないか?」「ここはさらに細分化が必要ではないか?」という点が見えて来ると思います。作業が一通り完了したなら、日を変えて見返したり、関係者とブレストをするなどして精緻化していきましょう。
まとめ
新規事業のシステム開発における要件定義の前準備として、業務フローの作成について解説をしました。次回は、今回作った業務プロセスを業務フロー図へ落とし込んでみます。併せてご覧いただき、ぜひご参考になさってください。