水蒸気のメカニズムと化学の基礎知識

後藤卓志

後藤卓志

テーマ:新築住宅

元素周期表


前回のコラムに記載した水蒸気が上昇するメカニズムについて記載したいと思います。
一件本筋とはずれるようですが、建物を考える上では必要な知識です。

感覚的には湿った空気は下に滞留するイメージがあるかと思います。
おそらく地下室がジメジメするところからくるものなのではと思います。

大気中の空気の成分の大半は8割弱の窒素分子(N2)と2割の酸素(O2)です。
残りの1%程度は様々な分子で構成されています。

原子量を計算してみます。
義務教育で学んだ記憶があるかと思いますが、
「すいへいりーべぼくのふね~」というやつです。
Nの原子量は14です。大気中には分子として存在するので×2になるので、28。
Oの原子量は16です。同じく×2になるので、32。
一方で水蒸気である水はH2O。水素原子2つと酸素原子1つで構成されています。
Hは1×2と酸素の16を足し算すると18になります。
窒素分子28、酸素分子32、水分子18を比べると一番軽いのが水分子である水蒸気であることが分かります。
つまり軽いので上空に上がっていくということですし、動き回りやすいということです。

地下がジメジメしやすいのは、コンクリートが周囲の安定した温度帯の地盤に影響を受けて年中ひんやりとした環境下であるため、夏などの大気中に水蒸気を多く含む時期に、冷たい面に冷やされることで結露するからであり、換気が上手く行われていないことが原因です。湿った空気が重いからではありません。

雨の降っている低気圧化では、水蒸気を多く含むので上昇気流が起きます。
晴れの高気圧化では、その逆で下降気流が働きます。
一般的にイメージされていることと実際は真逆のことが自然界では起きています。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

後藤卓志
専門家

後藤卓志(一級建築士)

choord一級建築士事務所

建築プロセス全体を持続可能な視点から捉える建築家。お施主様それぞれのサステナブルを具現化する。東南アジアでの植林活動を主宰し、地球環境への直接的な貢献を行う。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

将来を見据えサステナブルな建築へ編集する一級建築士

後藤卓志プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼