「もっと追い込まないと変わらない」「汗をかかないと運動した気がしない」
こうした思い込みを持ったまま、体を変えようとして挫折した経験はありませんか。
1980年に出版された東京大学宮下充正名誉教授の著書BLUE BACKSの「トレーニングの科学」という本の中で、限界まで頑張ることが正しくないことが書かれていました。元をたどると1961年出版の「Physiology Of Strength」の中で示されています。
私はシステムエンジニアとして培ったIT的な思考法で人体を研究し続けてきた立場から、この「根性論的な運動観」に長年疑問を持ってきました。
私が2008年に体系化した「セラサイズ(脳細胞活性ストレッチ理論)」は、「頑張らなくていい」「汗もかかなくていい」というコンセプトを中心に設計されています。これは「楽をすればいい」という話ではなく、脳科学と細胞学に基づく科学的な発想からくるものです。
高負荷運動の落とし穴
高い負荷をかければかけるほど、怪我のリスクが増えます。限界まで頑張ることが必ずしも良いとは限らず、「耐久試験」のようになってしまうこともあると私は感じています。限界まで追い込む運動は疲労が残りやすく、体への負担も大きい。
さらに見落とされがちな問題があります。それは「脳が関与しない動きを繰り返している」ケースが多いということです。普段からスポーツをしている方は、反復練習によって動きが自動化されていることがあります。だからこそ早く動くことができるのですが、一方で、同じ動きを続けることで「脳が動きを処理しなくなる」状態が生まれることがあります。
人体をITのシステムとして捉えると、特定の動作パターンしか使っていない状態は、ソフトウェアの一部の機能しか使っていないようなものです。使われていないプログラムがあるように、使われていない神経回路が存在し、それが体の可動域や動作のぎこちなさにつながっている可能性があります。
脳科学が示す「新しい動き」の価値
脳科学の観点から見ると、「考えながら行う新しい動き」には重要な意味があります。脳は新しいパターンの動きに対して、既知の動きよりも多くのニューロンを動員して処理しようとします。これが「脳への刺激」という観点で重要になってきます。
セラサイズでは、毎週異なる動きを取り入れており、これまでに約6000種のメニューが考案されています。「毎回同じことを繰り返す」のではなく「毎回新しいことに挑戦する」という設計が、脳と体のつながりを意識するきっかけになるという考え方です。
プロのダンサーやアスリートでも、初めての動きに戸惑うことがあります。「こんな動きを今まで一度もしたことがない」という経験は、その動きを「いつも使っていなかった神経回路で処理する」きっかけにもなります。普段あまり行わない動きを取り入れることで、これまで使われにくかった神経や筋肉への意識が向きやすくなり、体の使い方の幅が広がることを目指しています。
細胞学のヒントから生まれたセラサイズの発想
セラサイズの理論的な基盤の一つが、細胞学における「ヒートショックプロテイン(HSP)」の概念です。ヒートショックプロテインとは、細胞がストレス(熱や物理的刺激など)にさらされたときに産生されるタンパク質群で、細胞の修復や保護に関与するとされています。
重要なのは、この細胞レベルの反応を引き起こすには「強烈な負荷」が必ずしも必要ではなく、「適切な刺激」が大切だという点です。この発想が「低負荷でも体に適切な刺激を与えることができる」というセラサイズの設計思想の基盤になっています。
また、ゲームクリエイターとしての経験から「ゲームはストーリーを乗せると面白くなる。運動にもストーリー性を取り入れることで楽しみながら取り組めるのではないか」という考えが加わり、古事記やギリシャ神話をテーマにした動きを取り入れるなど、独自の工夫が重ねられてきました。
運動が続かない人にこそ届けたいメッセージ
「運動は苦手」「一般的な筋トレや運動がきつくて続かなかった」という方が、表参道セラサイズ・スタジオを訪れます。これはこのスタジオならではの特徴の一つです。低負荷であることから年齢や体力を問わず取り組みやすく、長く継続している会員もいます。中には遠方から通う方もおり、Zoomによるオンラインレッスンや動画配信(セラサイズTV)でも参加できます。
私が強調したいのは「筋肉を鍛えるのではなく、神経のつながりを整えることを意識する。その積み重ねが、結果として健康寿命の延伸につながると考えている」という哲学です。これは「頑張らないで健康になる」という発想ではなく「体の仕組みを理解して、賢く動く」という発想です。
現在は2011年のスタジオ開設から会員を継続的に迎え、2012年のスタジオオープン以来、口コミで参加者が広がってきました。今も社会人大学院で研究を続け、東京大学名誉教授・跡見順子氏からも推薦をいただいています。体の可能性をもっと引き出したいと感じている方は、ぜひ一度、表参道セラサイズ・スタジオにお越しいただくか、Zoomオンラインレッスンをお試しください。
「頑張らない運動」のほうが体は変わる?脳科学から見た低負荷運動の意外な真実
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Mybestpro Members
小川清貴(運動指導者)
社団法人国際細胞活性協会
元エンジニアのIT的視点で人体を研究し、脳科学と細胞学に基づく独自のメソッド「セラサイズ」を考案。毎回新しいメニューで飽きずに続けられ、脳と体のつながりに着目した運動指導を行っています。
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