「黒字リストラ」と「キャリア顧問」からのメッセージ
4月に新入社員を迎えた企業の中で、早くも早期退職という現象が発生しています。
先日も電車の中で、上司らしき男性と担当者らしき女性が「見る目がなかったのかな」という会話をしていました。
最近では「退職代行」というビジネスまであるようです。
それでは、「キャリア顧問」のアプローチを少し解説しましょう。
●社員が会社を辞めようと考える時に何が起こっているのか。
新入社員の場合、入社企業に対して各人何かしらの期待を持っているはず。
その期待は、「安定してそうだから」「企業の商品が好きだから」等人により様々な期待のはずです。
入社後は、一定期間の研修を受けて配属されます。そして配属先は自身の希望や期待する部署とは限りません。その場合、本人は「こんなはずじゃなかった」という失望感や挫折感を必ず抱きます。その本音を配属先の上司や人事が汲み取る機会は殆どないまま配属先での仕事が始まります。ここに最初のギャップが生じます。
そして、自分がやりたいと思った仕事ではない、という想いのまま続いていきます。もちろんこの間に「希望と違っていたけど頑張ってみよう」という心理的要素もあると思いますが最初のギャップは埋まらないまま続いていきます。
一方企業側からみれば、「新人だから」というラベリングの基、配属先の仕事を早く覚えてもらおうとします。この時に丁寧な仕事の教え方や新入社員ひとりひとりに寄り添った指導ができる企業は一つまみです。どこも人手不足です。
仕事の目的をきちんと理解できず、相談できる仲間や上司もおらず、自分の希望ではない配属先で焦燥感が募ります。場合によっては精神的に影響を受ける人も出てきてしまいます。
●キャリア顧問のアプローチ
新入社員に対しては、入社時から定期的なキャリア面談によって本人の気持ちにギャップがないか心理を探ります。入社の本当の動機は何だったのか、今のもやもやは何か、本人は今後どうなりたいのか。そして具体的な人事課題として可視化し上司、人事、経営側に伝えます。
社員はひとりひとり個性や価値観が異なります。「新人」というひとくくりの見方ではなく、個別に本音を聞いてあげることで気持ちが楽になり、内面的な進歩を促し、意欲的に続けようというモチベーションに必ず繋がります。これは新入社員に限らず、中堅や年長社員も同じであるという結果が私達のキャリア面談からわかっています。
実際に最近面談した新入社員のひとりは「もう一度頑張ってみます。せっかく就職したのに親にも言えなくて困っていたのです。話を聞いてもらって楽になりました」と言っていました。
●「人的資本経営」という考え方
日本でも「人的資本経営」という意識が芽生えつつあります。
経済産業省は「人的資本経営」を「人材を【資本】として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上に繋げる経営の在り方」と定義しています。
人的資本経営 https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/index.html
人的資本に関する考え方や取組は世界的に広がっています。特に日本では人口減少が進み、企業や経済を維持する為に社員ひとりひとりの付加価値を高めていく事が不可欠と思います。



