新規事業の企画書の書き方|テンプレートと合わせて分かりやすく解説①
「新規事業の参入領域が見極められない」。そんな悩みを抱えている人は、フレームワークを用いることで、悩みのタネを解消できるでしょう。
誤解を恐れずに言えば、フレームワークとは先人が築き上げてくれた、「当てはめるだけで分析が完了するテンプレ」です。今回は、新規事業の参入領域を見極めることができるフレームワークについて紹介していきます。
新規事業の効果的な参入領域は分析によって見極められる
早速ですが、新規事業の参入領域を決めるにあたり、自社ではどのような取り組みによって見極めていますか?もしあまり体系だったものがなければ、ここで紹介する3つのフレームワークを活用してみましょう。
PEST分析
1つ目に紹介するのは「PEST分析」です。
「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字をとったフレームワークで、外部環境を分析するのに適しています。
PEST分析を用いるメリットですが、新規事業というのは多くが外部環境に影響されるものばかりです。そのため、先に社会情勢を把握しておくことで、大きな損失をこうむるリスクを減らすころができるのです。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップとは、主にターゲットとなる顧客層や、市場分析における自社の立ち位置を確立させるためのフレームワークです。
ポジショニングマップを使うことで、競合が少なく収益性の高い分野を見つけることができ、市場を独占できます。
ポジショニングマップ作成には2つの軸を用意する必要があり、軸の取り方は開発する商品やサービスによってさまざまです。
例えばビールの新開発を行う場合、縦軸に「キレ~コク」、横軸に「苦味~爽やか」を取るとします。そうすると、マップ上で「サントリーはここ、アサヒはここ」と競合他社の位置づけが行えます。
そして空いている箇所に自社を置けるよう製品を開発することで、ブルーオーシャンで戦えるのです。
軸を取るコツは、開発する商品の機能や顧客が求めるニーズ、使う機会や用途などで取ることです。
VRIO分析
最後に紹介するのは「VRIO分析」です。「Value(経済的価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」の4つの頭文字から取っており、参入領域における自社の優位性を測ることができます。
「Value」とは、自社が持つ経営資源は市場に対してどれほどの付加価値を生むか、で考えます。ポイントは資産価値などの金銭で測るものではなく、相対的な価値としてきちんと分析することです。
「Rarity」と「Imitability」は似ていますが、自社が持つ経営資源自体の希少性と、自社が行う事業を他社が模倣できるか、の指標で考えます。
例えば、スイスの高級腕時計「HUBLOT(ウブロ)」のように自社製ムーブメントを使用している場合、他社はその資源を利用することはできず、「Rarity」は高いです。
またウブロの場合はFIFAの公式タイムキーパーであったり、「成功者の証」というブランドイメージがあります。他の時計ブランドが仮に「〇〇の証」としてブランドを高めようと思っても、ウブロのように築いてきた歴史がないため、なかなか模倣しづらいでしょう。
4つ目の「Organization」は、実際に自社が持つ経営資源が希少であり模倣できない最高のものだったとしても、それらを活用できる会社の仕組みや人材がなければ意味がありません。
実際に新規事業がスタートした際に、機能する力が自社にあるか、それを測るための指標になります。
市場分析を取り入れた新規事業に取り組むプロセス
ではフレームワークを理解したところで、実際に新規事業に取り組む際の具体的なプロセスについて見ていきましょう。
市場分析の後は製品分析を行う
市場分析を行い、参入領域が決まった後は、製品分析を行いましょう。
製品分析には「4P」などのフレームワークを使用し、競合他社との差別化を図れる製品を開発する必要があります。
せっかく参入領域が良くても、自社製品と競合他社の製品を差別化しなければ顧客に選んでもらえません。参入領域を決めた時と同じくらい、詳細に分析しましょう。
理念やビジョンを決める
製品分析が終わり、どういった製品・サービスを作っていくかが決まったら、新規事業における理念やビジョンを決めましょう。
理念やビジョンの重要性に気づいている人は少ないですが、会社全体として目指すべき方向性の大事な指標になります。
理念やビジョンが曖昧だと、事業がうまくいかなくなった時、どういった施策を打てばいいのか迷ってしまいます。しかし目指すべきゴールが見えていれば、そこにたどり着くまでの最短ルートで施策を打ち出せるでしょう。
計画書を作成する
最後は新規事業の計画書を作成しましょう。
初めから具体的に作成するのではなく、ある程度の大枠のみ作り、全体像を把握するために利用するのがおすすめです。計画書を作る目的によっても違いますが、多くは上司に承認をもらうための計画書だと思います。
その場合少なくとも明確にしておかなくてはいけないのは、「予算」「スケジュール」「成果見込み」です。ここにプラスして、実際に事業を進めた際の成否ラインをフェーズごとに設けていると、GOサインをもらいやすくなります。
②へ続く