毎日1ステップ!ファイナンス記事で学ぶビジネス英語:moving into
自社の業績報告を、わかりやすく伝える英語力は、英語を使って仕事をする、すべてのビジネスパーソンにとって、大きな武器です。
今回の記事では、英語初心者が、売上報告や業績説明を、英語でできるようになるためのステップを解説します。
目次
ステップ1:英語を考える前に必要なこと
業績報告と言っても、結果としての数字だけを伝えても、意味がありません。
業績数字につながった要因は何なのか、現場で起きていること、数字から見える経営課題などを、わかりやすく説明できるようになましょう。
本当に使える英語コミュニケーションは、英語だけを勉強しても足りません。
英語の学習とあわせ、以下のスキルを磨いていきましょう。
- 日々の業務についての理解と分析力を高め、ビジネスの現場で起きていることをしっかり理解する
- 決算や予算でまとめた数字を、背景要因と一緒に、第三者にわかりやすく伝える文章力を磨く
- 結果(数字)を導いた、複雑にからまった様々な要因から、重要課題を見極める
これらの基礎力がそろい、必要な英語力を身につけることで、わかりやすい業績説明ができるようになります。
英語を使うプロフェッショナルとして、あなたの活躍の場を飛躍的に広げる第一歩は、ビジネスパーソンとしての仕事力の向上です。
ステップ2:誰に報告するのかを意識する習慣をつける
伝わりやすい業績報告をするためには、今回の業績報告は、誰に向けてのものなのかをしっかり意識しましょう。
話す相手により、何をどこまで、どのくらいの補足や詳細情報が必要なのかを判断できます。
相手が聞きたいことを前提に、こちらが話す内容を準備するのが、英語でのコミュニケーションが成功する最大の秘訣です。
一般的に、業績報告では、以下の点に気を付けましょう。
- 必要以上に業界の専門用語を使わない
- 会計やファイナンスの知識のない人にも、わかりやすいことばを使う
- 事実なのか、自分の意見や推測なのか、しっかり区別する
どうしても専門用語を使う必要がある時は、言い換え文や補足説明をいれてみると親切です。
その次に、以下を考えましょう。
- 報告内容の順番を工夫する
- 定期的な報告では、内容に一貫性を持つ
- 表やグラフなど、適度にビジュアルを工夫する
少し補足します。
一般的な損益計算書(Profit and Loss Statement)の報告は、通常 Top Line の売上・収益から入り、諸々の経費(Cost、Expense)の説明、そして利益についてのコメントが最後になります。
途中、粗利率や、人件費率、経常利益率など、重要比率の説明を入れることもあります。
一方、業績報告では、各企業や自分の部門にとって、一番大事な数字から報告するのが効果的です。
ビジネスの報告では、最初に聞いたことが、一番印象に残ります。 何をどの順番で報告することが、聞き手にとってもっとも役立つのかを考えましょう。
業績報告をしている中で、受けた質問やフィードバックを参考に、より良い報告書になるよう、継続的に改善することも大切ですね。
そして、ある程度フォーマットがまとまったら、その後は毎回一貫性を持っていきましょう。
こういった点に留意していくと、「あの人の説明はわかりやすい!」と高い評価を受けることができます。
一般的に、会計担当者の報告は、細かくなりすぎる傾向があります。
細かい報告を求める上司が相手であれば別ですが、詳細を言いすぎると、得てして大切なメッセージが伝わりません。
英語ということもあって、残念ながら内容を誤解されてしまうケースは、私も何度も経験しています。
先ずは、最重要課題に絞って報告する。 相手の理解や質問に応じて詳細を提示する準備をしておくなど、臨機応変に対応していきましょう。
ステップ3:英語報告書に適切な前向き表現を覚える
英語ネイティブのビジネスパーソンは、どんなに厳しいビジネス環境にあっても、前向きな姿勢を崩しません。
批判的に響くコメントや、解決策を持たない、グチのように聞こえてしまうコメントはご法度です。
問題の大きさを相手に伝えたい一心で語ることが、想像以上にネガティブな評価を受けてしまうことがあるので要注意。
マネイジメントの決断が間違っていたのが問題の根源にあったとしても、不安を表情や口調に出すのも得策ではありません。
Forward looking (前向き姿勢)で、試練は乗り越えられるというトーンを意識しましょう。
企業が抱える問題点やリスクを冷静に指摘しつつ、ネガティブになり過ぎない、バランスをもった報告ができれば最強です。
そういった表現やトーンを学ぶのは、 グローバル企業のアニュアルレポートが参考になります。
自社を取り巻く市場環境や足元の業績がどんなに厳しくても、企業のトップは弱音を吐きません。
前向きな表現を使って、世界の株主にメッセージを送るのが、CEOからのレターです。
そういったグローバル企業のレポートから、自分が使えそうな表現を抜き出してみる勉強法も効果的です。
実際に自分の報告書に書くことができれば、その英語は自分のものとなります。
書くことができれば、実際に話すための土台にもなっていきます。
アニュアルレポートを、ビジネス英語の習得に役立たせる方法は、以下の記事で詳しく書いています。
英語のアニュアルレポート 決算報告書でビジネス英語を学ぶ
最初から一人で取り組むのは、ハードルが高いかもしれません。
単発講座でのご相談にも応じていいます。
ステップ4:業績説明によく使われる用語を覚える
業績報告に使われる用語は、ある程度決まっています。
無限にあるわけではないので、どのような単語が使われるのかを、覚えておくと便利です。
中には、紛らわしい用語もありますので、一度理解の整理をしておきましょう。
損益計算書に使われる、一般的な用語を下記に整理しました。
基礎的な用語ですが、復習しておくと、苦手意識の払拭にもなります。
業績報告で使われる用語は、他にもたくさんありますので、今後の記事でも紹介していきます。
自分の業界や会社がどの表現をどう使っているかを復習する
会計で使われる専門用語をおさえたら、今度は自分の業界がどのような専門用語を使うのかをおさえましょう。
金融、メーカー、IT関連など、それぞれに特有な用語があります。
各業界で頻繁に使われいる用語は、カタカナ英語になっている場合も多くあります。
そういった用語は馴染みも深いので、積極的に使うようにしてください。
残念ながら、教科書のようなものは存在しないので、英語ニュースなども参考に、業界用語を学んでください。
中級者以上であれば、以下が参考になります。
Yahoo!ファイナンス
ウォールストリートジャーナル
ファイナンシャルタイムズ
初級者、すでに日本語になっているニュースを、キーワード検索で同じトピックの英語ニュースを探し、並べて読んでみるのがおススメです。
英語原文で専門用語を見つけ、それがどのように日本語に訳されているかを確認できると理解が深まります。
ステップ5:業績報告で使われる、一般的なフレーズを覚える
過去20数年間、外国人上司や同僚に向けて、私自身、業績報告や予算提案を何度もやってきました。
100戦錬磨なようでも、まだまだ勉強の日々は続いています。
伝えるべき内容に集中し過ぎで、英語が上手く口から出ないこともあります。
そんな時に役立つのが、汎用的なフレーズを徹底的に頭に入れておいて、いつでも使えるようにしておくこと。
これができると、本筋に集中する余裕を持つことです。
下記の著書では、ビジネスシーンで役立つフレーズを盛りだくさんで紹介しました。
リーダーのためのビジネス英会話フレーズブック
こちらの記事 ファイナンス担当者の自信のつく英語フレーズで、この中から、業績報告に役立つフレーズをご紹介しています。
ぜひ、ご自身の状況にあわせて応用し、明日から使える英語の学習に役立ててください。
まとめ
この記事では、英語初心者が、自信をもって英語で会社の業績報告ができるようになるまでの道筋を解説しました。
これから行う業績報告は誰に対するものなのかを意識し、適切な内容を取捨選択することがスタートです。そして、前向き志向な英語ネイティブに勘違いされないように、どんなに難しい局面でも、ネガティブにならない表現を身につけましょう。
基本的な用語と、よく使うフレーズを少しずつ覚えて、使えるようになっていく努力がいざという時に大きく役立ちます。
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