外国人社員とのコミュニケーションがうまくいかない理由|日本語の難しさと対策

石川陽子

石川陽子

テーマ:外国人とのコミュニケーション

こんにちは。
エルロン代表・元人事×日本語教師歴12年の
石川陽子です。


「〇〇しておいてね」と外国人社員に頼んだとき、
「はい、わかりました」とうなずいていた。
でも、いざ確認すると、手がつけられていなかった・・


こうしたご相談を、
外国人社員を採用する企業からよく伺います。
私にとっても、とてもリアルな話です。

なぜなら、私はこれまで2000人以上の
外国人に日本語を教えるなかで、
「わかりません」と言えずにいる姿を、
何度も見てきたからです。

「日本語って、そんなに難しいの?」

そう思った方もいらっしゃるかもしれません。


はい、難しいんです!!


世界に約7000ある言語のなかでも、
日本語は“最も習得が難しい言語グループ”のひとつに
分類されています(アメリカ国務省調べ)


この記事では、
日本語ネイティブの方にこそ知っていただきたい
「日本語の難しさ」について、
私の実体験とデータを交えながら、お伝えしたいと思います。


「伝えたつもり」が、伝わっていない

弊社が、ある法人で実施したアンケートでは、
85.7%の外国人スタッフが
「日本語が原因で仕事に困ったことがある」
と回答しました。


でも、同じ職場で働く日本人社員からは
そのことが見えにくいのです。


なぜなら、外国人社員の方々は
「わかりません」と言いにくいから・・。


理由は、

「先輩に申し訳ない」
「日本語ができない自分が恥ずかしい」

そんな気持ちや、
相手に迷惑をかけたくないという遠慮もあります。



匿名で回答いただいたアンケートには
実際にこんな声がありました。


「スピードが速いと聞き取れません。
 でも、止めるのも悪い気がして…」
「手続きの書類が難しくて、よくわかりません」
「字の読み書きが苦手です。漢字はとても難しいです」



私の胸の中には、
「伝え方を変えれば、もっと伝わるのに…」という
もどかしさが湧きました。


日本語が難しい、3つの理由

米国合衆国国務省が公表した
「言語習得難易度ランキング」では、
日本語は“最も習得が難しい言語グループ”に
分類されています。


何が、そんなに難しいのでしょうか?
3つの理由をご紹介します。


理由①:覚える文字が多すぎる
英語は大文字・小文字あわせて52文字。
一方、日本語は、ひらがな・カタカナ(各71音)に加え、
N1レベルで約2000字の漢字を覚える必要があります。


理由②:言葉の使い分けが複雑すぎる
「なおす」は「修理」か「治療」か、文脈がないとわかりません。
敬語になると「食べる→召し上がる」など、まったく違う言葉になります。


理由③:コミュニケーション文化が違う
「掃除してね」ではなく「もう少し掃除してくれると助かるんだけど」
「エアコン下げて」ではなく「この部屋ちょっと暑いね」

“空気を読む”前提の会話は、
文化の違う相手には意図が伝わりにくいのです。


“伝える努力”が、チームを強くする

外国人スタッフが日本語を習得するのは、
実はとてもハードルが高いことです。


たとえば、
日本語能力試験(JLPT)のN2に合格するには、
およそ1400時間の学習が必要だと言われています。


これは、毎日3時間の勉強を2年間続けて、
ようやく到達できるレベルです。


もし、私たちが仕事をしながら、
同じ時間をかけて外国語を
学ばなければならないとしたら…
その大変さは想像できますよね。


しかも、N2に合格していても、
それは“会話力”を保証するものではありません。

JLPTは読み書き中心の試験なので、
実際の職場でスムーズに会話するためには、
別の練習が必要になります。



だからこそ、伝える側が(日本人が)
少し工夫をすることに、大きな意味があるのです。

外国人スタッフとのやりとりで、
ぜひ取り入れていただきたい伝え方の工夫は、
たとえばこんなものです。


・一文を短くする(復文を避ける)
・難しい言葉を、簡単で伝わりやすい言葉に言いかえる
・文末までしっかり言い切る
・ゆっくり、はっきり話す


こうした小さな工夫の積み重ねが、
「あ、伝わった!」という実感につながります。


こうした伝え方を
「やさしい日本語」と呼んでいます。



日本語が伝わらないのは、
「話す側のせい」でも「聞く側のせい」でもありません。


でも、伝える側がほんの少し工夫するだけで、
すれ違いは確実に減らせます。

職場でのコミュニケーションが、
きっともっとスムーズになるはずです。


そのことを、この記事を通して
少しでも知っていただけたらうれしいです。


ぜひ、お試しください!

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

石川陽子
専門家

石川陽子(グローバル共創デザイナー、日本語講師)

株式会社aileron(エルロン)

アウトプット重視の「教えない日本語授業」で、短期間で話す力を育成。業界ごとのカリキュラムで、現場対応力も強化します。管理職向けの「やさしい日本語」研修も提供し、外国人材が活躍できる職場づくりまで支援。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

日本語教育を通じて社内コミュニケーションを円滑化する専門家

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のビジネス
  4. 東京の人材育成・社員研修
  5. 石川陽子
  6. コラム一覧
  7. 外国人社員とのコミュニケーションがうまくいかない理由|日本語の難しさと対策

石川陽子プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼