外国人採用で失敗する原因とは?人事としての実体験から見えたこと
こんにちは。
エルロン代表、元人事 × 日本語教師歴12年の石川陽子です。
外国人人材の採用で、求人票によく書かれる条件。
「日本語能力:N2以上」
“日本語でしっかり業務ができる人”に来てほしい。
そんな想いから設定している企業がほとんどだと思います。
でも実は、その基準だけでは、優秀な人材を
取り逃がしてしまう可能性があることをご存知でしょうか。
「日本語能力:N2以上」
JLPT(日本語能力試験)は、
マークシート形式で行われる試験です。
主に次の力を測ることができます。
・文法知識や語彙力がどの程度あるか
・文章を読み、情報を理解する力
・日常会話を聞き取り、内容を把握する力
たとえばN2レベルでは、
新聞、雑誌、ビジネス文書、案内文など
多少難しい文章でも大意をつかめる。
テレビやラジオ、ニュース、日常会話など
普通のスピードの話を聞いて内容を理解できる。
…といったことが期待されています。
つまりJLPTは、
「日本語で情報を受け取る力」が
一定水準にあることを証明する資格と言えます。
一方、職場で求められるのは――
・相手の意図を汲むコミュニケーション能力
・円滑に報連相ができる会話力
・メールやチャットでの実務スキル
・日本の現場特有の文化的背景理解
など、より相互的なコミュニケーション力ですよね。
そのため、
JLPTだけでは「働くうえで必要な力」まで測れない!
「N2・N1を持っている=即戦力」ではない
ということを、まずは知っていただきたいです。
ここで、実際の事例を紹介します。
就活中のベトナム人専門学生。
JLPT(日本語能力試験)はN3です。
彼は温厚で、相手に寄り添った言葉が自然に出てくる人。
「日本で働くなら、日本語で会話ができるようにならないと!」と、
外国人がいない環境でアルバイトし、会話力を磨いてきました。
また、
・日本語で書かれた企業ホームページを一人で読み取り
しっかりした志望動機を日本語で説明できる
・やり取りも落ち着いてできる
日本語力があります。
母国の大学でもITを学び、
日本で働くために、日本の専門学校に進学。
エンジニアを目指して就職活動中です。
私自身、元人事として、彼の人柄や専門知識は
新卒採用としてとても魅力的だと感じました。
しかし…
彼は面接のスタートラインに立てていません。
理由はただひとつ。
「N2を持っていない」ということ。
この留学生は、面接に進むことができず
日本での就職を諦めそうになっています・・
JLPTだけを採用条件に置いてしまうと、
こうした “伸びしろのある人材” を
見逃してしまうことがあります。
企業が本当に必要とするのは、
仕事を通じて成長し組織に貢献してくれる人
それは、JLPTの結果だけでは測れないと
今の私は、心から感じています。
面接で見る “働ける日本語力”
— 重要なのは「意識」と「素養」
では、外国人人材を採用する企業は
どこを見て「活躍できる人」だと
判断すればいいのでしょうか。
結論から言うと、
日本語習得に対する意識と
コミュニケーションの素養です。
その点を面接で話して
確認していただくことをオススメします。
① 日本語習得に対する意識
日本語力は「今のレベル」よりも
「もっと伸ばしたい」という意識があれば
採用後にどんどん成長します。
面接では、
例えば次の点を評価してみてください。
・日本語をどのように学び、伸ばしてきたか
・苦手を克服するための工夫ができるか
・仕事を通して日本語力を伸ばしたい意思があるか
言語習得は長距離走です。
成長意欲を持つ人は、就業後に
日本語力を着実に上げていきます。
② コミュニケーションの素養
職場で活躍するためには
ただ「話せる」だけでは不十分なのは
日本人社員も同じですよね。
・伝わらなかったときに言い換えができる
・わからないことを質問できる
・相手の表情や状況から気持ちを察しようとする
こうした相互理解への姿勢を持っている人は
職場で信頼関係を築きながら成長できます。
試験の点数が示すのは「理解できる範囲」。
一方で、働けるかどうかを決めるのは人柄とコミュニケーション力。
JLPTの結果よりも、
その人がどれだけ日本語が使えるのか、
日本語で人と関われるかを見ることが
企業の採用力向上につながります。
今回は、どうしてもこれを伝えたくて
コラムに書いてみました。
外国人採用のヒントになれば嬉しく思います。



