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『進学先をどう決める?充実した高校生活を送るために』

井上昇哉

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テーマ:高校受験

こんにちは、与一の井上です。

基礎学も2回が終了し、徳島新聞では今年度の各高校の募集人数や現時点での志望者数などが発表されました。いよいよ中3生は、受検高を決めなければならない時期が近づいてきました。

今回は、つい最近大学に合格し、無事与一を卒業することとなった“K君”についての話をさせてもらいます。それを通して、「進学を考えるとき、何を物差しに高校を選ぶのか」について考えてるきっかけとなれば、本当に嬉しく思います。

絶対に“レベルが高い高校”に行くべきなのか

3年前の今頃だったと思います。K君から「僕の親に先生の立場から“客観的に”進路の話をしてほしい」と頼まれました。
曰く「もっと頑張ってA高校に行きなさい」と言われたと。
その時点までの彼は〈A高校志望→基礎学の点数を受けてB高校志望→親に励まされてA高校志望〉と志望校が定まらず、行き来している状態でした。
私が感じたことは「志望校を決める物差しが、点数のみになっている」ということでした。

「大学、特に国公立大学への進学を一番の進学の目的とするのであればA高をお勧めします。
ただしA高校の中でもある程度のレベルにいなければ国公立大学に進むのは難しく、それが適わなかった場合『せっかくA高校に進んで勉強も頑張ったのに、希望の大学に入れなかった。』と残念な思いをする子は少なくありません。
K君の現状を考えると、他のことをある程度犠牲にしないと、同じ結果となる可能性は低くありません。
一方B高校に進学すれば、A高校に進学するよりも国公立大学への進学は確実に厳しくなり、かつ進める大学の幅も狭くなります。
しかしその分勉強に割くべき労力の比重は低くなり、部活動や趣味などを楽しめる余裕が持てると思います。」

私がお母様に送ったメールの内容は大方このようなものでした。
そして最後にこうお伝えしました。「本人の気持ちで決め、保護者・本人皆が納得の上で進路を選んで欲しい」と。

“レベルが高くない方”を選んだ結果

先日、与一からの卒業に際しK君のお母さんがご挨拶に来てくださいました。
その時に「高校進学で迷っている時に先生が言ってくれたことが彼の人生のターニングポイントになりました。本当に言われた通りになりました。」
との本当にありがたいお言葉を頂きました。
K君は結局B高校に進学しました。そこで未経験の競技に取り組み始め、最終的にはキャプテンを務めました。また暇を見つけては自分の趣味を楽しんでいました。
勉強面では非常に成績が良かったという訳ではありませんが、決して手は抜かず、“現状における最善”を尽くしていたという印象です。
そして進学先について言えば、“伸び伸びと”過ごした高校生活のお陰か、将来なりたいものを、本当に大学で学びたいことを、そのために進学すべき大学を、「自分で」見つけました。そして学校の先生や、少しだけ私の力を借りながら「自分で」しっかり対策をし、見事に合格をしてみせてくれました。

私は進路に悩む中高生に、必ず「人生は一度しかないのだから、選択のどちらが良い悪いは較べようがない。だから正解も不正解もない」と言います。
K君についてもB高校という選択が正解だったのかどうかはわかりません。ですが「充実した高校生活を送れた」と間違いなく言えるでしょう。

物差しは「点数」だけで良いのか

相談してくれた当初K君が考えていたように、「少し頑張ったらいけるから」という理由で進学先を選ぶ子が現在は非常に多い印象です。もちろん頑張って成績を伸ばし、目標を達成することには計り知れない意義があります。それでもその「背伸び」の結果、進学後にしんどい思いをしたり、後悔したりする子が少なからずいるのも残念ながら事実です。

近い将来学区制撤廃が行われることもあり、ますます「点数」を物差しに進学先を決める傾向は強くなるのかもしれません。ですが別の観点から見れば、学区制撤廃は「より自分の実力に合った高校に入ること」、言い換えれば「より自分に合った進学先を選ぶ」きっかけになる、そうした考え方もできるのではないでしょうか。

大学進学を最優先に高校を選ぶことも、部活動などを優先に高校を選ぶこともどちらも間違ってはいません。ですが少なくとも、「点数」以外の物差しを持ち、選んでみることを考えてみてください。その上で、本来最も重視するべき「学校生活を楽しむ」ことができるような選択肢を、皆さんが選んでくれることを心から祈っています。

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井上昇哉
専門家

井上昇哉(塾講師)

学習塾「与一」/合同会社 あたまをたがやす

テストで点をとるための授業ではなく、自ら考え答えにたどり着く経験を重視した授業スタイルを確立。“「考える」を考える”ことを身につけることで、勉学、行動、思考すべてにおける人間的成長を促します。

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