自筆証書遺言の書き方と無効になるケース
遺言書を書いた方で、ご自分の死後、遺言書がきちんと実行されるのか不安に思う方はいらっしゃいませんか?
遺言書は作成した事実を、また、保管している場所を本人以外のだれかが知っていなければなりません。せっかく書いた遺言書を保管するために頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?今回は遺言書の保管方法について種類を分けて解説します。
まず、公証役場で遺言書を作成した場合、作成した公証役場で保管されます。遺言者が119歳まで原本を保管するだけでなくスキャンデータも公証人会のデータベースに保管されますので、公証役場が津波で流されても、火事で焼失しても謄本(写しですが原本と同一の効力あり)を作成してもらうことが可能です。公証役場では保管料はとられれませんので、作成費用に含まれていると言えるでしょう。
次に、自筆で作成した場合、これまで、自宅の金庫や仏壇の引き出しに保管したりしていましたが、発見されずに日の目をみない、あるいは逆に発見されて廃棄、隠蔽されたりすることがあり得ました。
令和2年7月10日から自筆遺言を法務局で保管してくれることになりました。もちろん有料です。でも公証役場のように遺言作成はしてくれません。あくまで自分で作成したものを保管申請します。保管料は3,900円、月額でも年額でもありません。一回払えばずっと保管してくれます。どこの法務局でも保管申請ができるのではありません。遺言者の住所地または本籍地または不動産所在地です。この不動産所在地もありなのが法務局らしいです。
これを、司法書士が代理で申請することはできません。本人が法務局に出向かなければならないのです。また、遺言の形式が法的に適合していないと法務局は受付をしてくれません。ただし、内容が法的に疑義があっても、極端にいうと遺言の内容が法的に無効であっても、指摘はしてくれません。薄ら笑いはするかもしれませんが。
遺言者が亡くなると、相続人や受遺者、遺言執行者などが法務局に申請して、遺言書の原本に代わる、「遺言書情報証明書」遺言画像データの証明書を発行してくれます。これを司法書士が代理で申請することもできるようです。証明書を申請すると他の相続人に法務局から通知がなされますので、家庭裁判所で検認は不要ですが、他の相続人にばれることにはなります。
やはり、こっそり他の相続人が知らない間に相続財産をもらってしまうには生前贈与か生命保険しかなさそうです。
生前贈与か保険にするのが難しい場合は、やはり遺言信託が確実な方法になります。