遺言による相続の3方式とメリットデメリット
公正証書遺言は信頼性の高いものですが、遺言として効力がないと判断されてしまうケースもあります。
公正証書遺言が無効になるのはどういった場合か見ていきましょう。
公正証書遺言とは
公正証書遺言は公証役場において、2人以上の証人の立ち合いのもと、遺言者が公証人に遺言内容を口頭で述べ、公証人がそれを遺言書にします。
その際公証人は、単に書式にまとめるだけではなく、専門家ではない人たちには判断ができないような部分について適切にアドバイスを行ないます。
こうして作成された公正証書遺言は法的な不備がありませんし、遺言書の「原本」は公証人によって保管され、紛失や偽造される心配もありません。遺言者には原本と同一の効力を持つ「正本」が渡されます。
遺言能力について
遺言は自分の死後、資産をどうしたいか、その「最終の意思」を法的に実現しようとする制度です。そのため遺言の作成時には、ある程度の判断能力(意思能力)が必要になります。これを「遺言能力」と言います。
遺言者である本人が遺言の内容を理解し、遺言によって自分の死後どのような結果になるかを判断する能力です。
遺言を書いた人に「遺言能力がない」と判断されてしまえば、その遺言は無効になります。重度の認知症の方が遺した遺言書は、この遺言能力が問題になり無効になるケースもあります。
公正証書遺言が無効になるケース
公証人は、公証人法によって「正当な理由がなければ公正証書遺言作成の依頼を断ることができない」とされています。
そのため、遺言者との面談時、受け答えがおぼつかなく「遺言能力」について「あやしいな」とおもっても、それだけの理由で遺言書の作成を断ることはできません。
公証人は、遺言者の遺言能力を鑑定する立場にはないのです。医師の診断を受けるようすすめることはあり得ますが、遺言者に危惧を抱きつつも遺言書が作成されることがあるのです。
こうした場合、公正証書遺言であってものちに遺言としての効力がない、つまり無効であると判断される場合もあります。
遺言書を公正証書で作成したいが、遺言能力があやしい、受け答えが公証人の前でちゃんとできるか不安な場合、経験の多い専門家を通して手続きされることをおすすめします。