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遺言がある相続における遺留分の取り扱い

小笠原哲二

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テーマ:遺言の相談

遺言書は、亡くなった人の最終の意思ですから法的な効力を持たせることができます。しかしその一方で「遺留分」と呼ばれるものがあります。今回は、民法で保証されている遺留分について見ていきましょう。

遺言による遺産分割の指定は法定相続分に優先する

遺産相続は法律で原則が設けられており、法律によって定められている相続分のことを「法定相続分」と言います。

たとえば、Aさんが1億円の資産を残して亡くなったとします。相続人を配偶者である奥さんと子供2人としましょう。

この場合、資産1億円の法定相続分は、配偶者である奥さんに5000万円、子供2人にそれぞれ2500万円となります。

ただしAさんが遺言書を残し「××の土地は社会的に有意義な団体である〇〇に遺贈する」としてあれば、法律にもとづく法定相続とは別に、Aさんの意思が優先されることになります。遺言による遺産分割の指定は法定相続分に優先するのです。

遺留分とは

しかし、Aさんが「財産はすべて愛人のB子にやる」という遺言書を作成していた場合、遺産を相続できない奥さんや子供たちは経済的に困窮する可能性もあり不満が出てきます。

そのため民法では、妻や子などの相続人が「最低限相続できる財産」を保証しており、それを「遺留分」と言います。

具体的には、法定相続分の1/2の遺留分が認められています。
Aさんの例で言えば、配偶者である奥さんは法定相続分5000万円の1/2の2500万円。子供2人はそれぞれの法定相続分2500万円の1/2の1250万円ということになります。

遺留分減殺請求の期限

この「遺留分」を請求する権利のことを「遺留分減殺請求」と言います。そして、遺留分減殺請求ができる期間は法律によって決められています。

一つは「遺贈があったことを知った日から1年間」。
言いかえれば遺留分減殺請求をできる権利があると知ってから1年ということです。

もう一つは「相続開始の時から10年」です。
これは、遺贈や相続開始等を知らないままであった場合を考慮した期間です。ただし、10年を過ぎてしまえば請求権は消滅します。

遺言の残される場合、遺留分を侵害する内容でも遺言書を作成することは可能ですが、遺言書の作成時点での財産目録を作成し、法定相続人の遺留分がどの程度侵害され減殺請求された場合どの財産で支払うのかまで検討のうえ内容を決めることをおすすめしています。

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小笠原哲二
専門家

小笠原哲二(司法書士)

司法書士法人 小笠原合同事務所

超高齢化社会において複雑化する「相続」「財産管理」「終活」などの問題を、幅広い知見と人脈を活かし、信頼あるコーディネーターとして解決までサポートします。

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