職人だからわかる「いい仕事」と「残念な仕事」

畳屋を長くやっていると、いろいろな畳を作り、いろいろなお宅に納めます。
でも、ふと考えました。
「自分が開発した畳を、自分自身は毎日の暮らしで使っているだろうか?」
今回、森吉商店のオリジナル畳「リビングエアー」を、自宅に敷きました。
作る側から、使う側へ。今日は、敷いてみて感じたことをお話しします。
倉庫で出番を待っていた「リビングエアー」
リビングエアーは、森吉商店が独自に開発した畳です。
クッション性や、丸洗いできる構造などにこだわって作りました。
今回使ったのは、訳あって長い間、倉庫で眠っていたもの。
ようやく出番を迎えた場所が、私の自宅でした。
「自分で開発した商品なんだから、まず自分で使ってみろ」
そんなことを言われているような気がします。
第一印象は「めっちゃプヨプヨでキモチイイ!」
施工を終えて、さっそく畳の上を歩き、寝転がってみました。
めっちゃプヨプヨでキモチイイ!
飾らずに言うと、これが私の第一印象です。
普段の畳とはまた違う、独特のやわらかさを感じました。
畳の心地よさというと、い草の香りや肌触りを思い浮かべる方も多いでしょう。
それに加えて、足で踏んだ時、腰を下ろした時、ゴロンと寝転がった時の感触も大切です。
自宅に敷いてみると、その感触を自分の暮らしの中で確かめられます。
「この上で過ごすのは気持ちいいな」と、素直に思いました。
作る側と使う側では、見るところが違う
職人として畳を作る時は、寸法や仕上がり、材料の組み合わせ、耐久性などを考えます。
もちろん、どれも欠かせません。
一方、使う人にとって大切なのは、毎日の暮らしの中でどう感じるかです。
歩いた時に気持ちいいか。
座って過ごしやすいか。
掃除やお手入れに手間がかからないか。
使い続けても、心地よく過ごせるか。
作っている時には気づかなかったことが、実際に使うと見えてくる。
だから、自分で使うことにも意味があると思っています。
本当の評価は、使い続けてから
敷いたばかりの今は、とても気持ちよく感じています。
ただ、この第一印象だけで、長く使った時の良し悪しまでは分かりません。
クッション性は、使い続けるとどう変わるのか。
汚れた時のお手入れは、実際にやってみてどうなのか。
毎日使ううちに、気になるところは出てこないか。
これから、自分の暮らしの中で確かめていきます。
良いところだけでなく、改善したいところが見つかれば、それも次のものづくりに生かしたいと思います。
畳屋の仕事は、納品して終わりではない
私が大切にしているのは、畳をきれいに作ることと、その先の暮らしです。
畳を通じて、お客様に喜んでもらうこと。
そのためには、作る技術とともに、使う人の気持ちを理解することも必要だと思っています。
今回、自宅にリビングエアーを敷いて、私自身も一人の使用者になりました。
これからは職人としての説明に加えて、自分で使って感じた良さや気になる点も、お伝えしていきたいと思います。
まずは「めっちゃプヨプヨでキモチイイ!」からのスタートです。
半年後、1年後にどう感じているのか。自分でも楽しみにしています。
暮らしは、足元から整う。
有限会社森吉商店
徳島県阿南市
畳・襖・障子・網戸の施工、オリジナル畳の開発・製造


