畳の裏返しは、必ずきれいになるわけではありません

畳や襖を張り替える時、柄や色をなかなか決められずに悩まれるお客様がおられます。
見本帳を何度も見比べて、
「こっちもいいな」
「いや、こっちも捨てがたい」
「部屋に合うのはどれかな」
と、じっくり考えられる。
そんな時、お客様からよく言われるのが、
「時間かかってごめんなさい」
という言葉です。
でも、僕の気持ちはまったく逆です。
こんなに真剣に畳や襖のことを考えてくれている。
それが、すごくうれしい。
今日は、その理由を書きます。
畳や襖は、思っている以上に部屋の印象を変える
畳も襖も、昔は「だいたいこんな色」「だいたいこんな柄」という選び方が多かったと思います。
でも今は、かなり選択肢があります。
畳なら、
- 緑系
- グレー系
- ベージュ系
- 市松模様
- 縁あり
- 縁なし
など、色も柄もいろいろあります。
襖も同じで、昔ながらの和柄だけでなく、すっきりした無地調やモダンな柄まで選べます。
だから、迷うのは当然です。
むしろ、真剣に選べば選ぶほど迷います。
職人から見ると「迷っている時間」も大事です
お客様は、
「こんなに時間をかけて悪いな」
と思われることがあります。
でも、僕はそんなふうには思いません。
畳や襖は、一度張り替えたら毎日見るものです。
数年、場合によってはもっと長く使います。
だから、
「せっかくなら自分が気に入ったものを選んでほしい」
と思っています。
急いで決めて、
「やっぱりあっちにしておけばよかった」
となる方が、僕としては残念です。
実際の部屋に合うかどうかも一緒に考えます
見本帳だけで見る色と、実際の部屋に入れた時の印象は違うことがあります。
壁の色。
柱や建具の色。
家具。
照明。
日当たり。
こういう条件で、同じ畳表や襖紙でも見え方は変わります。
だから僕は、
「この部屋ならこっちが合いそう」
「少し明るくしたいならこの色」
「落ち着かせたいならこっち」
というように、現場を見ながら一緒に考えます。
ただし、最後に決めるのは僕ではありません。
お客様が『これが好き』と思えるものを選ぶことが一番大事です。
一番うれしいのは、納品した時です
悩んで悩んで決めた畳や襖。
それを実際に納めて、
「これにしてよかった」
「部屋がすごく良くなった」
と言ってもらえる。
これが、うれしいんです。
たぶん職人の仕事って、
きれいに作るだけじゃないんですよね。
前にも書きましたが、僕は
畳の仕事で一番大事なのは、畳をきれいにすることではなく、畳でお客様に喜んでもらうこと
だと思っています。
柄を選んで悩んでいる時間も、そこにつながっていると思います。
急がなくて大丈夫です
畳や襖の柄選びで迷ったら、遠慮しなくて大丈夫です。
時間がかかってもいいです。
何回見比べてもいいです。
分からなければ、
「どれが合うと思う?」
と聞いてください。
こちらも一緒に考えます。
選ぶところから楽しんでもらう。
そして、納めた時に喜んでもらう。
それも、畳屋の仕事だと思っています。
森吉商店では、Instagramでは短く現場感を伝え、マイベストプロではこうした判断や考え方を深掘りして伝える運用にしています。


