社員定着率の高い会社の求人

福山研一

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今回は、求職者の視点で、求人を見る上で社員定着率の高さはどんなところで判断されているか、ご紹介したいと思います。

まず、わかりやすい客観的なデータとして、以下の3つが考えられます。
最近は、大手中心の四季報等の情報以外にも、ハローワークの求人票やナビサイト等でも公開されるケースが増えているかと思います。

①離職率・離職者数
②平均勤続年数
③育児休業取得状況

①については、その名の通りですが、全従業員数に対しての離職率なのか、新たに入社した人のうちの○年以内離職率なのかで、印象が変わってきます。
ちなみに、厚生労働省などで示されている大卒新入社員の3年以内離職率が3割程度で推移していますので、それも比較する上での1つの目安になると思います。

②については、定着率という観点では長いに越したことはありませんが、新しい会社や年配の中途採用社員を積極採用している会社は、平均勤続年数が短くなることも考えられ、一概には判断しかねます。

③は、法令に則った制度の運用が実際に行われている会社かどうかという点と、育休を取得した後も復帰して働きたいと思える会社かどうかという点もあると思います。ただ、これも少人数の会社などで、育休取得対象の社員がいない場合も考えられます。


それから、これは個人的な見方の1つですが、会社HPや採用ページに、実際の社員の顔写真や社員の声が掲載されている会社は、比較的定着率の高い、働きやすい会社ではないかと思っています。

そもそも顔出しするのは少々抵抗のあることですので、それでも会社のPRのためにと思えること、また長い期間公開されるわけですので、いずれ退職するかもということが意識になく、長期的に勤めていく前提で捉えていること、すなわち、定着率も高い会社と位置付けられるのではないかと考えます。
会社をいいと思っていないと、社員の声としてのコメントも難しいものです。
(厳しい業務命令によるものは、むしろ逆になりますが。)


その他、会社情報として、社内イベントの多さや、アットホームな雰囲気を出しているものも、定着率の高さがうかがえそうですが、これは見る応募者によって捉え方が分かれるところです。

確かに定着率の高い会社の一面かもしれませんが、
業務時間外まで会社の人とつきあうのか、
せっかくの土日にボランティアがあるのか…等々
ネガティブに受け止められるケースもありますので、
来てほしいターゲットに合わせて、見せ方には注意が必要です。


以上、求職者側の求人を見ているポイントをご紹介させて頂きました。
求人を出す企業の側でも、こうした視点に意識を向けて頂ければと思います。


なお、社員定着率が高い会社が一般的に良いと思われがちですが、
定着率がいいので、上のポストが詰まっていて、なかなか昇進昇格できないとか、
年功序列的に給料は高いが、あまり仕事をしない人がいるとか、
弊害が見られる会社もなかにはあるそうですので、何のために定着率を上げるのか、目的を見失わないようにご注意ください。

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