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消費者契約法の概要と改正点(1/2)

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消費者と事業者の間で行われる商品の売買やサービス取引では、両者の情報量や交渉力に大きな差があることから消費者が不利益を被る場合があります。そこで、消費者の利益を守るために2001年に消費者契約法が施行され、不当な勧誘による契約は取り消すことができること、および不当な契約条項は無効であることが規定されました。
 2006年の法改正では、消費者団体訴訟制度が導入されました。これは、一定の要件を満たす適格消費者団体に、事業者の行う不当な行為に対する差止請求を行う権利を認めたものです。
 2016年にも法改正があり、一部の規定を除き、2017年6月3日から施行されています。今回の改正では特に、高齢者が悪徳商法などの被害に遭うケースが増えていることを踏まえて「適量契約」が取消可能になりました。
 ここでは、消費者契約法の概要と、今回の法改正の内容を見ていきましょう。

■ 消費者契約法の概要
 消費者契約法は、消費者と事業者の取引において、消費者の誤認などがあった場合に契約を取り消すことができるとともに、事業者の損害賠償責任を免除する契約条項については全部または一部を無効とするものです。消費者が事業者と締結した契約であれば、労働契約以外のあらゆる契約が対象になります。
 1) 取り消し可能な契約
 消費者が契約を取り消すことができるのは、勧誘時における次のような不当行為により、消費者が誤認・困惑して契約した場合によります。
● 不実告知
 重要事項について事実と異なることを告げること。例えば、実際にはそのような効果がないのに「この機械を設置すると電気代が安くなる」と言って機会を販売したようなケース。
● 断定的判断の提供
 将来の不確実な変動が確実であると告げること。例えば、将来の値上がりが不確実な金融商品を「確実に値上がりする」と言って販売したようなケース。
● 不利益事実の不告知
 消費者の利益になることだけ告げて、不利益になることを故意に告げないこと。例えば、隣地に建物が建って日照が遮られるようになることを知りながら「眺望・日当たり良好」と説明してマンションを販売したようなケース。
● 不退去
 消費者の自宅等で、消費者が退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず退去しないこと。例えば、消費者が帰ってほしいと何度も告げているのに、しつこく勧誘を続けて販売をしたようなケース。
● 退去妨害
 消費者が退去する意思を示したにもかかわらず、事業者が退去させないこと。例えば、事業者の販売店等で、消費者が帰りたいと何度言っても帰らせず商品を売りつけたようなケース。

2) 無効となる契約条項
 消費者契約法で、消費者の利益を不当に害するものとして無効となる契約条項は、以下のようなものです。
● 事業者の損害賠償責任を免除する条項
 消費者に損害が生じても、事業者は賠償しないとするもの。例えば「当スポーツジムはいかなる事故についても一切責任を負わない」といった条項。
● 消費者に高額な損害賠償を負わせる条項
 契約解除に伴う平均的な損害額を超える部分、あるいは年利14.6%を超える遅延損害金は無効。例えば、「家賃の支払い期限を過ぎた場合は年率30%の遅延損害金を支払うものとする」といった条項。
● 消費者の利益を一方的に害する条項
 消費者の権利を制限したり重い義務を課したりして一方的に消費者の利益を害するもの。例えば、「建物の賃貸借契約終了時に、契約時に差し入れた保証金から一定額を控除し、それを賃貸人が取得する」という特約。

 ■ 法改正の内容
  平成27年版の「消費者白書」では、65歳以上の人による消費生活相談件数の伸びが、65歳以上の人による消費生活相談件数の伸びが、65歳以上人口の伸びを大きく上回っています。特に、高齢者が多量の商品を売りつけられる事例が目立っていることを受けて、今回の法改正では、取り消し可能な契約に「適量契約」が新たに加えられました。例えば、「一人暮らしであまり外出することがなく日常的に着物を着ることもない高齢の女性に対し、事業者がそれを知りながら店頭にやってきた際に勧誘して何十着もの着物を販売した」などが該当します。
 一方、アイドルとの握手権がついたCDを大量購入した事例は、消費者が事業者から勧誘を受けたわけではないことから取消の規定は適用されません。また、インターネットの通販サイトで消費者自身が注文して大量の商品購入をした場合、事業者がその消費者にとって著しく大量であることを知って勧誘したわけではないので、取り消しはできません。

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