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身元保証について

内山瑛

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身元保証とは、会社・企業等に入社する際に、その従業員の身元を保証するために結ぶ、雇い主と保証人との契約をいいます。保証の内容は、単なる身元の確認にはとどまらず、従業員本人が雇い主に対して何らかの損害を与えた場合、その損害賠償責任を従業員本人と一緒に負うというものです。いわゆる保証の一種ですが、将来、従業員が雇い主に与えた損害の賠償全てを含むのですから、借入の保証やアパートの賃貸借の保証とは違って、先々何が出てくるかわからない、予測不能で非常に広範な責任を負うことになるわけです。

賠償責任を負う具体例としては、社内で暴れて高価な調度品を壊してしまった、喧嘩して同僚を殴り怪我させてしまった、会社のお金を使い込んだ、SNSに安易な投稿をして炎上や風評被害を招いてしまった等々、酌量の余地のない故意犯や、不注意で取り扱いを間違えて機械を壊してしまった、交通事故を起こして大切な配送品を壊してしまった、ついうっかりメール操作を誤って個人情報や営業秘密を流出させてしまった等々の過失犯があります。

流石に故意犯の可能性は人格をみればある程度わかるかもしれませんが、過失犯は十分あり得ます。過失犯の場合、雇い主との責任の分担という考え方から、必ずしも従業員が100%の責任を負うわけではありません。それでも今の時代、個人情報や営業秘密の流出が億単位の損害を生んでも不思議ではありません。責任の範囲が縮小されても、元の損害が大きければ身元保証人の責任は重大です。

世間では軽く考えられがちな身元保証ですが、実はこんなにも重く、怖いものなのです。
もっとも、このような予測不能で大きな責任を無期限に認めてしまうと、過酷な状況に追い込まれる身元保証人が次々と出てきます。そこで、身元保証制度については法律(身元保証に関する法律)で、次のような一定の制約が加えられています。

(1)保証期間は入社から最長5年、期間の定めがなければ3年とする。(商工業見習者の場合は原則5年)合意の上での更新は可能だが、自動更新は不可。
(2)従業員の不適任や不誠実で、現実に雇い主に損害を与えるおそれがある場合、従業員の任務が変わってより重い責任を負ったり、遠隔地に赴任して身元保証人による監督ができなくなった場合には、雇い主はそのことを身元保証人に通知しなければならない。
(3)上記通知を受けた場合、身元保証人は将来に向かって保証契約を解除することができる。
(4)従業員が雇用主に損害を負わせた場合でも、雇い主の監督状況、身元保証人となった経緯、これまでの監督状況、従業員の地位の変化など一切の事情を考慮して、裁判所は、身元保証人が負担すべき責任の範囲を縮小することができる。

いずれも身元保証書には書かれていませんが、法律で決められ、これに反する合意は許されないとされる絶対的な制約です。身元保証人にとっては、自分の身を守るための大きな武器となります。

以上が身元保証制度の概要となります。要するに、新入社員が仕事を覚え、一人前になるまでの間、おかしなことをしないように監視してください、という制度なわけです。

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